第24話 魔大陸みたいです

「なんかこの魔大陸にいると最初にこの世界に転移してきた時のことを思い出すな…」


しかし、ここは明らかに俺が来たばかりの森とは違う点があった。


「…この森のモンスターのレベル絶対おかしいだろー!!なんだよレベル999+って!!いくらスライムでも怖いのは怖いわっ!!!」


俺は死にもの狂いでダッシュしながらそう叫んだ。

何しろこの大陸のモンスターはおかしいのだ。レベルが999+のモンスターが居たり、俺の力でも勝てないスライムが居たり、動きが速すぎるオーガが居たりするのだ。


「はぁ、はぁはぁ…あー疲れたぁ」


そう言って俺は地面にパタリと倒れこんだ。冷えた地面が火照った体に触れて気持ちいい。

もうすでにここに来てから3日が過ぎようとしているのに、俺は何も進展がない。そろそろ夢に神様が出てきて、「前に封印した力を開放しに来たよ」とか言ってくれないかな…。

そんなことを考えつつ俺の意識は遠のいていった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

気が付くとそこは久々の白い部屋だった。


「久しぶりだね。」


俺は声の聞こえた方を向いた。

すると案の定神様だった。


「あぁ、久しぶりだな。今回の要件は俺の力を元に戻しにでも来たのか?」

「本当は違うと言いたいところだけど、君ほど運が悪い人間は初めて見たよ。」

「まじかよ、そんなに不幸な人間だったなんて…まぁでも、確かにそうだよな。いきなりこんなところに飛ばされて、獏に記憶を喰われて、挙句の果てにスライムに負けるんだからな…」

「まぁまぁ、そんなに落ち込むことはないよ。今から君のステータスを元に戻すよ。そうしないと君が死んじゃうからね。」

「今更思ったんだけどさ、神様が俺を元の場所に戻すんじゃダメなのか?」


そう、俺はずっと疑問に思っていた。なぜ神様は俺の能力を完全に操作しないで、いちいち俺のステータスをいじりに来るのか。


「神にも色々とルールがあってね、例えば『悪いことをしていない人間を殺してはいけない』とか『人間に過干渉してはいけない』とか『未来を伝えてはいけない』みたいに細かい区分がいくつもあって、それをやぶると僕たちは死んじゃうんだ。」


意外とちゃんとした理由があったようだ。


「ほぅ、神様でも死ぬのか…」

「そりゃそうだよ、死は魔神も人神も全能神も魔族もエルフも勿論人間もみんな平等に訪れるものだからね。神だけ死なないなんておかしいでしょ?そんな不公平な世界を創っちゃダメなんだよ」

「なるほどな、死は平等…か」

「そういう話は置いといて、とりあえず君を封印していたスキルを開放するよ」

『一部ステータス封印解除』


おぉ、力が…力がみなぎってくるぜ!

うおぉぉぉぉぉぉ!!

みたいな展開はなかった。


「なんか、あまりいつもと変わらないな…」

「大丈夫だよ、外に出たらわかるよ。夢から覚めたらまずステータス鑑定を使うといいよ。」

「分かった」

「じゃあ、そろそろ夢から覚める頃だから…スライムに負けないようにね!!」

「…ふっ、負けねぇよ」


そう言って俺の意識は再び遠のいていった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「…ふぁあ、よく寝た……とりあえず言われたとおりにステータス鑑定をするか」


『ステータス鑑定』

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ツバサ   人間…?


LV 36

HP 572000/572000

MP 724000/724000

筋力 548000

防御 498200

素早さ 479000



スキル

鑑定 LV10(MAX)

強奪 LV6

吸収 LV15

消化 LV18

水魔法 LV8

火魔法 LV6

風魔法 LV7

無魔法 LV3

雷魔術 LV1

土魔術 LV1

光魔術 LV1

威圧 LV6

剛腕 LV8

跳躍 LV7

状態異常耐性 LV7

気配察知 LV13

アイテムボックス

剣術 LV9

体術 LV7

二刀流

モンスターテイム LV2


パッシブスキル

ヴァルキリーの恩恵

ステータス数値化


ユニークスキル

異世界翻訳


称号

異世界を渡りし者

加護を授かりし者

スライムの天敵

林業の敵

救済者

リア充

不幸の塊


加護

剣神の加護

人神の加護

狩神の加護

戦乙女の加護

破壊神(環境)の加護

武神の加護

恋愛神の加護

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だんだん人間から離れてる気がする…。

しかも『人間…?』ってなんだよ!

まぁそれはいいとして…とりあえずあのLV999+のスライムをどうにかしなくちゃいけないんだよな…。


「よし、とりあえずスライムにアクションを起こすぞ!」


そう決めた俺はすぐにスライムの場所を調べることにした。すると、意外にも今いる場所から100m以内にいた。


「獲物発見!」


そう言って俺はスライムのいる場所のすぐ近くに移動して、スライムを詳しく鑑定することにした。

『鑑定』

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キングスライム  魔物


魔大陸にすむ魔物ではかなり珍しい種類。

その強さは魔族の幹部クラスなら圧勝できるほど。


HP 100/100

MP 500/500

筋力 149000

防御 420000

素早さ 45000


スキル

吸収 LV22

消化 LV18

分裂 LV20

回復魔法 LV20(MAX)

自然回復 LV99(MAX)


称号

スライムの王

レベルカンスト


加護

なし

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…どうやらスライムもかなりのチートのようだ。

でも、俺はまだ負けていなかった。


「モンスターテイムを使ってみるか…。」


そう呟いた俺はこっそりとキングスライムに近づいていった。

そして手の触れられる距離にまで近づいた瞬間、俺はキングスライムに飛び掛かり、モンスターテイムを発動させた。

すると、スライムはプルプルと震え始めた後に俺に頭を下げてきた。なので俺が頭を撫でてやると、スライムはまた嬉しそうにプルプルと震え始めた。

どうやらテイムが成功したようだ。

そして俺の魔大陸最初の仲間は世界最強のスライムとなった。

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