第19話 アイラの冒険者登録みたいです

武器を揃えた俺は冒険者ギルドへと向かった。

(あぁそう言えば、ザックはもういないんだっけか…。新しいギルドマスターはいい奴だといいんだが)


ザックが暫くいないことを思い出して少しテンションが下がってしまった俺だが、隣を歩いているアイラを見て微笑ましい気分になる。


「…?どしたの?」

「いや、アイラは可愛いなぁと思ってさ」

「…ツバサは、褒め上手」


相変わらず朝からリア充オーラをまき散らしている俺達であった。



そして冒険者ギルドについた俺達は

(どんな依頼があるんだろう)

などということを考えながら、嬉しそうな表情を浮かべながら中に入っていった。


冒険者ギルドに入ると、冒険者たちが一斉にこちらを向いた。

--あの女の子超可愛くね?(*´Д`)ハァハァ

--あの男って恋人か?あんな美少女と仲良くしやがって!

--いや、それはないだろ(笑)


などと外野が煩いので俺は黙らせるために威圧を発動させた。


「「「うっ」」」


一瞬で外野を黙らせた俺はそのまま受付へ向かった。

受付には見覚えのある女性がいた。


「やぁ、久しぶりだなリリー」


俺がそう声を掛けると


「ツバサさん!お久しぶりです!!…そちらの方は?」

「こいつはアイラ、一応俺の奴隷ということになっているが、俺の大切な人だ」

「…ん、よろしく」


俺がそう言うとリリーの顔色が少し悪くなった気がするが、おそらく気のせいだろう。


「とりあえずアイラの冒険者登録をしたいのだが、奴隷でも冒険者登録は出来るよな?」


(これで奴隷は冒険者になれないとか言われたら困るなぁ)

などと思いながらリリーに聞いてみた。


「えーと、冒険者は奴隷でもなれますが、アイラさんは可愛いので他の冒険者に襲われないように気を付けてください。冒険者ギルドの説明はいかがなさいますか?」

「その点は大丈夫だ。俺が話しておく」

「かしこまりました。それとツバサさんはギルドマスターから話があるそうなのでギルド長室までお越しください」

「わかった、じゃあアイラはここで少し待っていてくれ」

「…ん、ギルドカード作って待ってる」


そう言って俺はギルド長室へと向かった



俺はギルド長室の前に立つとノックをした、すると


「入ってくれ」


そう部屋の中から声が掛かったので、俺は部屋に入った。


「初めましてツバサ君、私がザックさんに新ギルドマスターに任命されたグレッグだ、よろしく。君の事は前のギルドマスターから聞いてるよ。」


そう話しかけてきたのは眼鏡をかけた知的な雰囲気のある30代前半位の男性だった。


「あぁ、よろしく。…ところで俺をこの部屋に呼んだ理由はなんだ?ただ挨拶がしたかっただけじゃないんだろ?」


と、俺が聞いてみると


「そうそう、君は魔族を倒したり盗賊団を壊滅させたりと沢山の業績を残してきたからね。君はこの前ザックさんと戦ってAランクになったばかりだけど、早速Sランクになって貰いたいんだ。君がSランクになれば、この街に攻めてこようとしている魔族や盗賊の抑止力になると思うんだが…どうかな?」

(まじかよ、こんなに簡単にSランクになれるなんて嬉しい話だ。別に断る理由もないから丁度いいか)

「別に俺は構わないが…俺は一度も冒険者の依頼を達成していないのに、そんな簡単にSランクになっていいのか?」

(これが俺がSランクに躊躇している理由なんだよな…ほかの冒険者の恨みを買いそうだ)

「そこは安心してくれ、君はこの前SSSランクのザックさんとの勝負で互角に引きこんだらしいじゃないか。ザックさんが本気を出していないとはいえ、今までザックさんに負けなかったのは君だけなんだよ!」

「なるほどだ、そこまで言うのなら俺に文句はない」

「ありがとう、ご協力感謝するよ」


こうして俺はギルド加入から1週間もたたないうちにSランクになってしまったようだ。


「えーと、話は以上で終わりか?」

「あぁ、話は以上で終わりだよ。時間を取らせて悪かったね」

「気にするな」


そう言って俺Sランクになれたことでテンションが上がったのか、満面の笑みでギルド長室を出た。



そして受付に戻ると、アイラがデブでパソコンばかり弄ってそうな奴にナンパされていた。


「あいつ…ぶっ飛ばしてやる」


物騒なことを呟いた俺だが、念には念をということで一応男を鑑定してみた

『鑑定』

------------

ニート   人間


LV14

HP 900/900

MP 800/800


スキル

なし


称号

働けニート


加護

なし

------------

「…可哀想な奴だな」


そう呟いて俺はその男に近づきかなり強めの威圧を発動させた


「!?」


男はビクッと肩を震わせてから油をさしていないロボットみたいな感じでこちらを向いた。


「君は俺の大切な女に何をしているのかな?ん?」


俺は威圧に殺気を上乗せするとそう聞いた。すると


「ブ、ブヒィ!?お願いだ!殺さないでくれぇ~」

男はそう言い残して何処かへ走り去っていった。

「大丈夫かアイラ?」

「…ん、問題ない」


特にアイラに問題はなかったようなので、俺はホッとため息をついた。


「とりあえず依頼を受けようか」

「…ん」


そうして俺達は依頼を探し始めた。

依頼はアイラに合わせてFランクから探すことにした


「アイラがいいと思ったのを選んでくれ」


暫くしてからアイラが


「…ツバサ、これがいい」


そう言って渡してきたのは一番無難なスライムの討伐だった。

(これならアイラもケガをしないだろうし、俺のモンスターテイムのスキルも試

せるから一石二鳥だな)


「よし、それにしよう」

そうして受付で依頼の受注をすると、ウキウキしながら二人は森に入っていった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る