第8話 2章 言葉の能力の正しい使い方と未熟さ故の失敗 特殊能力練習時期 1

 幻悟は今まで学校に通わせてもらうことが出来るようになってから、自分の<<言葉の特殊能力>>を良い使用方法だけに練習をかねて使うことがあった。彼が言ったことは事実となって確実に反映されることから学校中の子ども達に神童と呼ばれる程の成長を見せ、注目され続けるようになる。彼は良い行為を限定に困っている人を助ける等、神秘的な言葉の力を有効活用して人と喜びを共感するのに楽しさを感じるようになっていた。この<<特殊能力>>を使用していく内に彼は自分自身にも使用できることに気づく。しかし、幻悟は『勉強や運動が得意になりたい』等の多くの子ども達が願望として持っていることをしなかった。


 彼は反対に『自分の努力で才能を見つけたい』と<<言葉の特殊能力>>で念じる。幻悟は平等に同年代の皆と競い合いたいようだ。彼は学校の小学四年生クラスの仲間達になじんでいく内に自然と気が合う友人も出来始めた。彼はまず、前の席にいる小海成人こうみなりとという少年と友達になる。幻悟がつい、他人行儀にしていると成人という少年から「気楽にあだ名で呼んでいいよ」と言われた。


 彼はさわやかなイメージを感じる成人と、とても気が合う。彼はさわやかで気さくな友人の成人に広長道也という名の級友を紹介してもらった。幻悟はその道也少年とも趣味の話などで気が合う。彼は道也少年とも仲良く遊んでいる内に自然とこの少年を「ミッチー」とあだ名で呼べるようになっていた。数日・数十日と時が経ていく内に幻悟がこの二人の少年と一緒に行動しているのは日常的なことになる。

 そして、この日も彼はふくよかな顔立ちが印象的な道也と気さくな成人と一緒に学校についての意見交換をしているところである。

「なぁ、幻悟君。好きな授業ってすぐ終わると思わない?」

「そうだね、せいじん君。ボクも面白い授業は長く続いてほしいもん」

「だから、なりとだって!」


 幻悟からあだ名遊びで面白がられている成人ではあるが、つい本名を叫んでしまうことがあった。彼は成人のその癖を知ってはいたが、一応道也に確認する。人の嫌がる行為はしたくないからだ。

「良いんだろ? あだ名は好きにアレンジして言ってくれていいって聞いたと思うけど……なぁ、ミッチー?」

「そうだぞ、成人。その呼ばれ方が嫌になったのか? 心配するだろうが」

「それはそうだけど……つい口を挟みたくなってね」



 幻悟と道也は、成人が嫌がっている訳ではないと理解できて安心した。

「そうか? 嫌ならやめるから言ってくれよ」

「うんっ、心配かけちゃったね」

「それならお前ら、話をさっきのものに戻そうぜ。俺も面白い授業は長く続けていたい派な」

 幻悟・成人・道也の3人の少年は『好きな授業は時間が短く感じる』との話題から『好きな授業のどこがいいか』についての話題へと展開させていく。

「ボクは国語の音読をするのが好きだよ。その人物になりきった気分でやると面白いんだ」

「幻悟君はやっぱりそれなんだ。ボクは図工で粘土細工している時が一番さ」

「幻と成はそれか。オレは音楽で歌を歌っているときが一番好きだぜ」


 彼ら三人の少年はそれぞれの意見に対して『もっともだ』とうなずきあった。

「しかし、せいじんにミッチー。勉強は読み・書き・計算以外の事は選択制が良いよな?」

 幻悟の意見に成人・道也両友達とも異論はないようである。この日も彼らにとって画一された退屈な授業と楽しい休み時間は過ぎていき、もう放課後になった。今日も彼にとってはお馴染なじみなことになっている成人と一緒の帰宅だ。いつもと違うのは道也が用事で先に帰宅したことくらいである。そして帰宅途中での事。


 成人が帰宅途中で今まで言いだせなかったというような口ブリで幻悟に疑問をぶつけてきた。

「ところでさっ、幻悟君は決めつけを嫌うよね。君が決めつけると同時に不思議な現象が起きて本当になるアレと関係しているの? もしそうなら――――――――――」

 成人はそこで一瞬戸惑う。だが、意を決して幻悟に言った。

「医者でもない幻悟君に頼るのは変だとは思っているよ。だけど可能性があることは何でも試したいんだ。実は僕の妹、生まれつき原因不明の病気でね、その……君の<<言葉の力>>なら治せるかもって期待しちゃって。迷惑じゃないなら一度会ってくれるかい?」

 幻悟は、成人の話を聞くと、即座に引き受けると意味をこめてVサインする。

「うん、いいよ。明日はちょうど休みだし」

(しかし、成人君はボクのこの<<言葉に宿る特殊な力>>の真価を見抜いたのかな? だとしたら常識以上の観察力だよ)

 幻悟は彼に感嘆するし、その疑問をどう覚えたのかを成人に機を見て聞いてみればいいと判断してその考えを払拭ふっしょくした。

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