第2話 パノプティコン

「爽平さ~ん、起きてくださーい」

 1階からヒメの声が響いてくる。6畳間に敷いた布団の中で、しばし非服従の反抗を試みる。

「今日から講義が始まるんですよね~」

「き、今日は休講なんだよー」 

「そんな訳ないじゃないですか」  

 突如、襖を開ける音がしたかと思うと、ものすごい力で布団をひっぺがされる。朝日に目が眩む。

「嘘はいいですから早く起きてください。朝食の準備ができてますよ」

 眩しさと眠気で目を開けずにいるが、音から察するにヒメは窓を開け、ひっぺがした布団を縁に布団をかけたのだろう。作戦終了とばかりにそのまま階段を降りる音が聞こえる。ヒメに対してガンジー流の抵抗も意味はなさない。潔く身を起こす。

 今朝の献立は焼き魚定食だった。居間の卓には既にヒメが控えており、炊飯器からご飯をよそっていた。

「おはよう」

「おはようございます。今日からですね。頑張って下さい」

 

 寮での火災から三日たった今日はいよいよ講義開始日だ。だがそれだけではない。今日からいよいよ本格的に火災について調べ始めることになる。この土日は新歓祭が開催されており、各サークルが新入生を勧誘しようと様々な催しを開いていた。その間大学の総務課や自治会等は雑務に忙殺されるようで、学生用窓口は開かれておらず、火災現場への立ち入り許可も降りなかった。

 よってこの2日間は事件を調べることもなく、かといって退学の可能性を抱えたままサークル見学もする気も起きるはずはなく、ただだらだらと過ごしていたのだ。

「あ、文道さんからの頂き物がまだ残っているんでした。食後の口直しにどうですか?」

 ヒメが戸棚に手を伸ばし、中から取り出したのは山吹色に光り輝く……ではなく普通の豆饅頭だ。

 そういえば二日前、いきなり文道が定食屋に饅頭を持ってやってきたのだ。今更難癖をつけに来たのかと思ったが、そうではなかった。

『どうやら俺が渡したタバコのせいでいらん面倒を抱えちまったんだってな。謝って済む問題じゃないが、是非これを受け取ってくれ』

 確かに起因は文道にある。しかしそれに異を唱えず甘んじたのは自分だ。何も逆恨みするつもりはなかった。

 その旨を伝えると、文道は破顔して手を握ってきた。どうやってここを探り当てたのか聞いてみると、どうも結城があの後俺の無罪を力説すべく押しかけに来たらしい。それを受けて文道は詫びの気持ちを饅頭にして持参してきたのだ。


「文道さんはとてもいい人ですね」

 ヒメは饅頭を机に載せながら、いつもの微笑を浮かべている。

「私も何回か出前を持って行ったことがあります。ドアを叩くとすぐに開けてくれて、とても気配りの出来る方なんですよ」

 あの男にそんな一面があったのは意外だった。それであの騒音さえ無ければ理想の隣人、という印象を持てたのかもしれない。

 饅頭を口に放り、その後でパセリを食む。やはり食後の口直しにはこれが一番だ。 


「爽平さん、気合い入れていきましょう」

 玄関で靴を履く俺の背にヒメは力強くエールを送る。確かに、冤罪によって無一文となった俺から家賃を回収するにはその冤罪を解くしか方法はない。家主としては切実な問題だろう。

「大丈夫。任せろ」

 ちらりと振り返りながらそう言って、俺は定食屋を後にした。



     *



「で、真っ先に俺の所へ来るのか。他に知り合いはできなかったのか?」

 大学の食堂で、結城のセリフはまるで気の毒な人間を前にしているかのようだった。周りを見回すが、そのような人間は見当たらない。俺以外に。

「今日の講義なんて概要説明だけで終わりだろ。どうやって知り合いを作れって言うんだ」

「そんなの、別に向こうから話しかけてきたり、こっちから隣の席に座ってみたり……や、こんにちは。さっきはどうもありがとう」

 喋っている途中で、近くを通りかかった女子が結城に話しかける。こんな女は見たことがない。ということは大学で知り合ったということか!

 2、3言葉を交わした後、笑顔で去っていく女子の顔を見て問いただす。

「お前、やっぱりモテるよな」 

「はぁ?」

 当然と言えば当然だ。顔は整っているし物腰も穏やか。女の扱いには慣れているし、何より地元では名の知れた大金持ちの家の生まれだ。今の女子学生はまだ知らないだろうが、時間の問題だろう。噂が広まればさらに女が寄ってくるに違いない。

「そんなことより!どうやって濡れ衣を晴らすかが問題だろう」

「ん、そうだな。まずは現場を見たい。この前総務課に出向いたら門前払いにされて今困ってるんだ」

「なるほどな……」

 結城はしばし考え込む。投資部に所属している結城はこの土日も大学で活動を始めていたようだし、何かつてがあると思ったのだが……。

「知り合いに自治会の1年生がいる。今から電話して聞いてみるよ」

 ビンゴ!

 結城は携帯を取り出し、連絡を取り始めた。しかしよくそんなほいほいと知り合いの輪が広まるものだ。

 

「すぐ来るってよ。ちょうど食堂の近くに居るらしい」

 携帯を耳から離し、結城は口角を上げる。

 首尾は上々だ。ちょうど食事も終わったし、その女子学生がスムーズに協力してくれれば今日中に糸口が見つかるかもしれない。口直しに付け合わせのパセリを食べながら今後の段取りを考える。

「爽平、お前パセリ食べてたっけ?」

 携帯をしまいながら、結城が奇異の目を向けてくる。秀才で名が通ってた結城でも、パセリは食べないのか。

「いや。だが案外いけるぞ。パセリにはβカロテンなんかが豊富に含まれてるんだ。食べないのは勿体ない。あ、食べないんなら結城のもくれ」

 パセリの素晴らしさを啓蒙しながら、結城の皿に残っていたひょいとつまみ、口に放る。

 うん、うまい。

「うわぁ、パセリ食べてる……」

 いきなり後ろで、聞き捨てならない言葉が呟かれる。振り返ると、そこには女子学生が立っていた。

「どうも、結城くん。で、話って何?」

「ああ、ごめんね。知り合ったばかりだってのに急に呼びだしちゃったりして」

「構わないけど」

 結城の爽やかな挨拶に応じつつ、至極当然のように女子学生は俺たちの席に加わる。こいつが結城の言っていた人物か。

 俺の右向かいに腰を下ろすと同時に、仄かに香水の匂いが漂う。肩まで伸ばした髪に、きりりとした顔立ちが覗く。ヒメとは正反対の雰囲気がそこには感じられた。

「こちら、法学部の小島ハナさん。で、俺の目の前に座ってるのが文学部の幸田爽平。それで、ハナさんを呼んだ理由なんだけど……」

「寮の火災についてでしょ?」 

「「え!?」」

 意外な一言に結城と同時に声を上げる。

「別に驚く事ないでしょ。この大学であの火事を知らない学生はいないわよ。まぁ流石にあなたの部屋が出火元だってとこまでは伏せられてるみたいだけどね」

「じゃあなんでハナさんは知ってるんだ?」

 ハナは答える代わりに、右手に抱えたポーチから新聞のようなものを取り出す。

「これは新聞部が自治会に上げて掲載不可をもらったゲラよ」 

「新聞部?」

「この大学での出来事を知りたいなら新聞部が発行している『満大月報』が一番詳しいのよ」  

 机に載せられた新紙の一面をよく見る。右上に大きく『満大月報』とタイトルが据えられている。そしてその横にはなんとも目を引く題字の記事が掲載されていた。

『【男子寮にて火災、死傷者なし】

 今月5日、男子寮の一室から火災が発生。総務課の発表によると、火は男子寮一階から出火したとみられ、火災発生の約十分後に火は消し止められた。被害の詳細は未だ伝わってこないが、消火の際に隣室の受水装置が破損したとみられ、寮の上下水道に被害が及んでいる模様だ。人的被害は見られなかった。

 出火の原因に関して、総務課は人的なものという見解を示したものの、その詳細については触れなかった。』

 もうここまで火災が知られている。予想していたことではあるが、心に重石が乗ったような気分になる。だが一つおかしい。

「これ、今日の地方紙にも同じような情報が載ってたぞ。どうして掲載不可なんだ?」

 俺の問いに、ハナは煩わしそうに呟く。

「ページをめくってみなさいよ」  

 言われた通りにする。

『【寮火災、犯人は新入生か】

 男子寮で発生した火災について、総務課及び広報課はその原因の詳細を明らかにしていない。火災に立ち会った学生間には箝口令が敷かれており、火災に至った経緯、犯人については謎である。だが今回新聞部独自の調査で容疑者が判明した。

 容疑者は火災発生場所である122号室に入寮している文学部1年、幸田爽平であるとみられる。幸田氏は室内にて喫煙、その火の不始末により火災が発生した可能性がある。学生の一人が総務課に対し、幸田氏がタバコを部屋に持ち込む姿を証言したということも伝えられている。

 大学側の、幸田氏への処罰は未だ漏れ伝わってこないが、火災に加え未成年喫煙を考慮すれば、退学という処分も考えうる。詳細について、情報が入り次第紙面において追記する。』

「俺の名前が載ってる!」

 俺はハナに詰め寄る。

「こんなの横暴だろ!俺が犯人だってのは未だ確実ってわけじゃないんだ!」

 ハナは依然無表情を崩さない。

「だから言ったでしょ、掲載不可だって。さすがに個人名まで出すのはやりすぎよ。まぁ、こういうのはよくある事だから、気にしないで。来週には修正されたものが第2版として印刷されるわ」

 気にしないで、と言われてもここまで俺の名前が伝わっているという事は心がさらに重くなる。

「だがな、その火事は冤罪かもしれないんだ!」

 結城が大きな声で食ってかかる。

「冤罪?」

 ハナは動じる事なく結城をじっと見つめる。

「こいつはな、タバコを吸わないんだ。それにも関わらず総務課は出火原因をタバコと断定した。これは明らかに胡散臭い」

 結城は自信満々に言い切る。昔からの癖ではあるが、こいつは事が俺のような親しい間柄の人物に及ぶと、どうも直情的な性格を見せる時がある。しかし今の発言に関しては俺も同意見なので何も言わない。

「それはないわ。だって私、火災が起きる前に爽平さんがタバコ持ってるの見たし」

「なに!?」

 まさか、とは思ったがそれを口にせずにはいられなかった。

「もしかして、総務課が言ってた目撃者って……」

「たぶん私ね。自治会の用事でたまたま近くにいたの。で、寮の窓からあなたがタバコを持って部屋に入ってくのが見えたから」

 あの時だ。隣室の文道とやらがタバコを押し付けてきた時だ。騒音への配慮だとは思うが、あきらかに不同な取引だった。

「それは俺のタバコじゃない!ただ持ってただけで犯人扱いか?」

 不幸が重なりすぎた。これではあんまりだ。荒い語気は力を失い、言葉尻が弱くなる。

「たったそれだけの証言で俺は退学か……」

「え!?退学?」

 俄にハナが面食らったような声を上げる。

「なんで退学なのよ!?証拠は十分揃ってるわけじゃないでしょ?」

「ああ、そうだ。だが総務課の連中は俺の話には耳を貸さない。煙草の火が原因ってのもまだ消防の鑑識が正式に認めたものじゃない」

「そんなのおかしいわ……」

 結城が話を引き継ぐ。

「だから自治会に所属しているハナさんに手伝ってもらいたいんだ。冤罪かどうかはともかく、事実確認をしておきたいんだ」

「じゃあ火事の原因は何なのよ?」

「それは……まだわからない。でもあの寮は相当古いし、漏電やガスの元栓が緩んでいたっておかしくない」

 ハナはしばし押し黙ったまま、思案しているようだった。

「私のせいで退学ってのも後味悪いわ……」

 と呟いたかと思うと、今度は意を決したかのようにはっきりと言い切る。

「いいわ。会長に頼んでみる」

「ありがとう。助かるよ」

 仏頂面を崩すことなく、ハナは俺をじっと見て言う。

「でも私が請け負うのは会長への口利きだけよ。会長が容疑者を現場に入れるのを許可するとは思えない」

       


      *



「なるほど、うん、いいよ。総務課の方には僕から上手いこと言っておくから」

 学生会館3階の自治会会長室。黒井会長はすんなりと言い切った。

「え、本当にいいんですか?」

 ハナは素っ頓狂に声を上げる。

「ハナさんには入学間もないうちから頑張ってもらってるからね。頼みの一つくらい聞いてあげなきゃ。それに、我々は学生の権利を守るのが仕事だ。今回の火災は僕も腑に落ちない点がいくつかある。当事者が現場を一目見ておきたいと言うなら、それを後押しするのは我々の活動として理にかなってる」

 黒井会長は淀みなく述べる。隣のハナが小声で「やけに優しいわね……」と呟くのが聞こえた。

「勿論当事者だけで現場に入らせるわけにはいかないよ。ハナさんには爽平くんたちの付き添い兼監督をお願いしたいんだけどいいかな?」

「わかりました」

 不満を垂れるのかと思ったが、表情一つ変えずに返事をする。

 「ではこれで」と会長室を辞去しようとした時、黒井会長が結城を呼び止めた。

「結城くん、だったよね?金城部長から聞いたよ。投資部に入ったってね。頑張ってね」

 それだけ言うと、黒井会長は席に戻り、書類仕事に戻った。会長室の扉を閉め、学生会館を出る。

「なんであの会長は結城のことを知ってたんだ?」  

「いや、俺も全くわからない。でもまぁあの口ぶりからするとうちの部長と知り合いってことだな」

「そんな話はどうでもいいでしょ。早く寮に行ってやること済ませちゃいましょ。私だって暇人じゃないのよ」

 先ほどとは打って変わって、つれない態度でハナが話を中断させる。それはもっともだ。それにしてもハナという女は猫かぶりが上手そうだ。



    *




 結城は投資部の集まりがあるらしく、寮の立会いには来なかった。 

 寮に着くと、ハナが管理人にまず入室の断りをする。事前に会長から話が行っていたようで、すんなりと中に入ることができた。管理人室の前を横切る際、鋭い視線が突き刺さるような気がしたが。

 出火元である122号室の入り口には、消防が張ったのか黄色の蛍光テープが貼られていた。だがそれ以外はあの時のままの状態で残されており、両隣の部屋は扉が開け放されたままで、機械室では修理された受水槽があの時と同じ音を立てていた。反対側の121号室には家具や服が残ってはいたが、様子から察するに住人の文道先輩は一時的に退去しているようだった。

「とりあえず中に入ってみましょ」

 そう言うとハナは躊躇うことなく部屋の中へ踏み入る。靴に踏まれ、炭化した床がばりばりと音を立てる。

 そういえば火災以降部屋の6畳間には入っていない。どうなっているのだろうか。廊下からではトイレの個室に阻まれて中は見えない。ごくりと生唾を飲み込む。

「うわぁ、酷いわね。部屋中真っ黒焦げ」 

「はぁ、やっぱりか。あの火の勢いじゃ当然ではあるけど……」 

 6畳間は見る影もないほどに焼け跡がひどかった。あの火勢では当然なのだが、両壁に穴が開き、漆喰と灰にまみれた居室は見るに堪えなかった。

 一方のハナは別に労わりの言葉を寄越すわけでもなく、6畳間を歩き回る。

「ねぇ、床に積もってるこの白いのは何?」

「これは……おそらく漆喰かな。壁に穴を開けた時に舞ったんだよ」

「へー」

 水が混じった漆喰は床全体に薄い粘土の層を築いていた。

 ハナはそのまま玄関から見て右側の壁に寄る。

「この穴は、確かお隣の文道って人が開けたのよね。この壁を壊せるなんて相当な馬鹿力の持ち主ね」

「ああ、騒音まき散らす奴だったけど、あの時パニックにならずに動いてたのは素直に感心したな」

「でも、その行動自体はあまり感心しないわね」

「え?」

 意味がわからない俺にハナは穴の空いた壁の向こう側――文道の部屋を指差す。文道の部屋にはあの騒音の元凶であろう大型スピーカーや、その他に教科書類や酒瓶も大量に転がっていた。

「窓が開いてるわ」

 確かに、6畳間の最奥に面する窓は大きく開け放たれていた。部屋は火災時の状態のまま保存されているので、誰かが開けたという事はないだろう。

「これじゃあ風の通り道が出来て火が大きくなる原因となるのよ。火事において一番大事なのは水をかける事ではなく空気を火に与えない事よ」

「へぇ」

 この時の俺はだいぶ腑抜けた顔をしていた事だろう。ハナの説明は的確だった。

「それはともかく、隣に受水槽があったのはラッキーだったわね」

 ハナは転じて反対側の壁、その先に見える機械室を覗く。

「ああ、確かにな」

「元はそこの機械室も学生用の部屋だったのよ。それで受水槽も外に置かれていたの。でもどうしても冬に凍ってしまう、けれど保温用の電気代もバカにならない。って事で20年前くらいに受水槽を一番端のその部屋に移したの」

「なるほど」

 重なり過ぎた不幸の層に、一つだけ幸運が混じっていた、ということか。

「それにしても、幸田くんって案外機転が利くのね」

 褒めているのだろうか貶されているのだろうか。

 だがあの時パニックから脱し、頭を働かせて行動できたのは直前に結城に諭されたからだろう。そう思うと全くもって不幸が重なっただけとは考えられなくもない。最悪、寮全体に火が回って死人が出てもおかしくなかったのだ。

「ねぇ、鍵って幸田くんが持てるのだけ?他には無し?」

「う~ん、どうだろう。あぁ、管理人はマスターキーを持ってるんじゃないか?」

「そう」

 するとハナは踵を返し、部屋から出て行ってしまう。俺も後を追う。ちょうどその時、120号室から山田先輩が数冊の本と筆記具を片手に部屋から出てきた。お、と目が合うが、途端に山田先輩は嫌忌の目を向ける。そして何か言おうと口を開く。が、その前にハナが山田先輩に駆け寄る。

「あの、私自治委員会所属のハナと申しますが、ここの部屋に住んでいる方ですか?」

 虚を突かれたようだが、目の前の端麗な(皮を被った)女子学生を前に非難の目は鳴りを潜めたようだ。

「そうだけど、何か用かな?」

「121号室の文道さんについてお聞きしたいのですが、今どこにいるのかご存知ですか?」

 てっきり容疑者である俺の事を聞き出そうとするのかと思ったが、そうではないらしい。

「ああ、文道さんねぇ……あまり親交もないしなぁ。多分友人の家にでも居候してるんじゃないかな。壁に穴が空いた部屋じゃ住む気も起きないしね」

 ここで一瞬俺に視線を送る山田先輩。

「でも僕としてはありがたいかな。なんせ1日中大音量で音楽を聞かなくても良くなったし。いやー、耳栓が必要ない生活というのは快適だね」

 確かに今の山田先輩の耳には何も付いていなかった。 

「そんなに騒音が酷いんですか?」

 ハナの問いに、山田先輩は大きく頷く。

「そりゃもうイライラしっぱなしさ。だけどあんな風貌だろ?なかなか強く言い出せなくってねぇ。昔はここまでひどくはなかったんだけど、ここ数ヶ月は特に酷いね」

 愚痴の捌け口を得た先輩は特に饒舌だ。が、そこから得られる情報も特に意味をなさないだろう。

  

 

    *

  

 

 山田先輩との話が終わった後、ハナはそのまま管理人室の窓を叩いた。

「あの、ちょっとよろしいですか?マスターキーっていつもどこに保管してますか?」

「そんな事学生の君には教えられんよ」

 新聞から目を離さないまま、至極もっともな反応が返ってくる。

「じゃあ火災が起きる10分前、席を立ったりしませんでしたか?」

 なるほど、そういうことか。

「申し訳ないけどね、お嬢ちゃん。わしはマスターキーを常に持ち歩くようにしとる。用を足しに行く時も寮を閉めて帰る時も常に身につけておるんじゃ。大学側から許可も得ておるしな。そやからお嬢ちゃんが思うようなことは無いと断言できる」

「じゃあその大学側は?きっと盗まれた事ぐらいあるはず……」

「それも無理だ」

 管理人が俺の名案を遮る。

「大学側はこの寮に関してはあまり関知しないんだ。マスターキーはわしが持ってるものだけだ」

「そんな、おかしいでしょ、そんなの……」

「そんな事言われても若いもんの考えることなぞ儂には分からんよ」 

 ハナの背中は心なしか落胆の色が浮かんだが

「そうですか。失礼なことをお聞きして申し訳ございませんでした」

 とあっさり言って辞去した。そのまますたすたと外に向かうハナ。

「おい、一体どうしたってんだ。何かあったか?」

 歩みを止め、こちらを振り返る。そして一言

「この事件は何かがおかしい。よく分かった」

 とだけ言った。

「おかしい?どういうことだ?」

 ハナは質問には答えずまた歩き出す。

「今から結城くんも呼んでよく話し合うわよ!」   

  



      *




 集合場所は議論の末「定食屋」に決まった。結城の家は2駅分離れており、何より間借りしている身だ。叔父さんの目があるからだろう、無遠慮に上がりこむわけにはいかない。ハナは独り暮らしのようだったが頑なに拒絶した。家がどの地区にあるのかも俺に教えようとはしなかった。防犯上の理由らしい。まぁいいが。

「いやー、爽平さんにも結城さん以外のご友人が出来て何よりです!これで心配せずにいられます」

 2人が店に来ることを告げると、満面の笑みで喜びをあらわにするヒメ。他に良い言い回しがあるだろ、と心の中でツッコミを入れる。

 俺以外の2人は課外活動の類もあり、その間俺はここ2日前から始めたお手伝いに精を出していた。カウンター脇にあるあの小さな部屋で持ち帰り用窓口の番をしていたのだ。

 案外ここの学生も利用するらしく、三々五々に連れ立った男子学生が「瓶ビール人数分ね!」と景気よく注文し、そのまま瓶ビール片手に飲み歩く、といった光景が多々あった。居酒屋で飲むよりも安上がりなのだろう、おそらくこの後誰かの下宿先か、さもなくば大学の芝生に寝っ転って飲み明かすのか。そんな姿を想像して、自身を顧みる。果たしてこの俺にそんな未来が訪れるのだろうか。


 湿った気持ちを振り払い、窓の横に視線を向ける。外に面した部分に呼び出し用のブザーが据え付けられている。これは外の客が厨房で料理をしているヒメに、持ち帰り希望を知らせる合図に使うものだ。

 厨房から見えない位置にこんな出窓を作ったのは、おそらく当時はまだヒメの両親が生きていたからだろう。父親と母親が厨房と接客を担当し、ヒメとユリの姉妹が持ち帰り出窓で手伝いをする。おそらくそんな光景があったのだ。

 しかし両親の死で、この店はヒメと時々来るお手伝いさんで切り盛りしなければならなくなった。だからこのブザーをつけたのだ。

 このブザーが鳴るとき、ヒメは一体何を想うのだろう。

 しかし今日のところは俺が番をしている。客はブザーを鳴らす必要はない。



 

 全員集合したのは夜8時を過ぎた頃だった。結城は何回か顔を出しに来てるので承知のことなのだが、ハナには相当な一驚を与えたらしい。

「うわキモッ!あんた火事を餌にこの子の同情誘ったの!?」

 そして視線をヒメに転じる。

「ねぇあなた、もし嫌ならきちんと言ったほうがいいのよ?何ならこいつを起訴するまでの間うちに住んでもいいから」

 無礼な奴め!と心の中でツッコむ。

 だが、声に出さないのはハナの言うことがまるっきり見当はずれという訳でもないと思ったからだ。横目にヒメを見る。

「そんなことはありませんよ。爽平さんは優しい方です。それに私は同情心で入居をお引き受けした訳ではありません。きちんとお家賃は受け取らせていただきます」

「でもこいつ今文無しでしょ?総務課に有り金全部没収されちゃったんだから」

「ええ、でもお金は後で返ってくるはずです。正当な処置ではありませんからね。爽平さんは無実なんですから」

 ヒメはそう言うといつものようににこりと微笑む。あの日花壇の前で俺に同じようなことを言った時も、最後にこうして笑ってたっけ。

「それに、ハナさんもそう思うからこそ爽平さんに手を貸してくださるんでしょ?」

「えっ」

 ハナが動揺する。が、すぐにいつもの仏頂面に戻る。 

「まぁそうね。残念な事にあの現場、そして火災に至るまでの状況には不審な点が多かった。今から説明するわ」

 

 すでに客は居なかったので、3人で客席に腰掛ける。


「さて、どこから話せばいいかしら」

「あ、ヒメちゃん、俺ビールね!」

「ちょっと!」

 厳しい顔で結城を叱るハナ。

「私が話すんだから、邪魔しないで」

 そっちか。

 すかさずヒメが瓶ビールの大瓶とコップ3つを盆に載せて運んでくる。

「俺は飲まないぞ」

「私も付き合い以外では飲まないわよ」

 と、俺とハナ。

「まったく2人ともノリが悪いなー」

 果たして結城はこんな性格だっただろうか。未成年飲酒なぞするような奴ではなかったと思う。疑問を口にしようとしたが、やめておく。そんな話をする余裕はないのだ。


「まず私の意見を言うわ」

 神妙な面持ちでハナが言う。室内の雰囲気がガラリと変わる。

「爽平、あんたは間違いなく無罪よ。そして、火災は人為的に引き起こされたもの。つまりこの事件には真犯人がいて、そいつが爽平を利用して犯人に見立てたのよ」

 胸に衝撃が走る。発言を噛み砕いて理解するのにしばし時間がかかった。

「じゃああの火災は単に煙草の不始末でもなく、俺は駒にされただけ、ってことか!?」

 ハナは無言で頷く。

「なんでそんなことが言い切れる?」

 結城が質す。

「じゃあ情報の整理をするわね」

 コホン、と咳払いしつつ、続ける。

「まず火災について。火災の原因が煙草なのかどうかは消防の判断によるから現時点では不明よ。でも火元以外に節位な点があるの。火の回りの速さよ」

「たしかにあれは変だった。火災の広がりが速すぎる

 目を離した数分のうちに、部屋全体に火が回る。これはおかしい。あの日、ヒメもそう指摘した。

「畳が乾燥してたからじゃないのか?」

 結城が呟く。

「畳が乾燥……?あんな劣悪な環境でそんなことが起こるかしら?」

 おい、今すぐあそこの寮生に謝れ。

「あそこは工学部棟の裏に建てられてるわ。しかも北西の位置にね。これが何を意味してると思う?」

 ビールの泡を口につけた結城が口を開く。

「ああ分かるぞ!物件選びでまず重視するのが窓の位置だ。南に向いてると家賃が高いんだ。なんで高いか分かるか?」

 質問に答えつつ新たな問いを俺に向ける。

「分からん。俺は寮だからな。窓の向きなんて気にする余地もないんだ」

「日照時間だよ。窓が南に面してるほど太陽の光が多く届くって訳さ」

 なるほど。さすがにここまで言って貰えばわかる。

「つまり、北西向き且つ工学部棟の裏にあったあの寮は極端に日の入りが悪かった。前日に雨が降ったにも関らず畳が乾燥してるってことはあり得ないってことか」

「そう」

 やはり火災現場の立会いにハナが居たのは好都合だった。俺だけでは到底そんな事、気にも留めないだろう。

「まだあるわ。誰が出前の電話をかけたのかってことよ」

「あれは間違い電話だろ?」

 至極もっともな事を言ったつもりだったが、ハナは明らかに呆れたような口調で返してきた。

「あんたって本当おめでたい人間ね。あれは明らかに犯人が仕組んだものよ。嘘の出前が来たことで結果的にあんたは部屋から出た。これは犯人にとって好都合なことよ」  

 ハナの口ぶりに俺と結城は気圧されていた。火災を手引きした真犯人がいる、この仮説によってあの時の異常性に説明がついていく。

「でもここまでね。私たちには重大な点がわからない」

「重大な点?」

 結城が聞き返す。

「犯人の動機よ」 

 動機。確かにさっぱり見当がつかない。

「寮が燃えて、いったい誰が得をするの?」

「確かにな。寮生の誰かが犯人に近いと思ったが、わざわざ自分の住む場所を焼こうなんて普通に思わない」

「考えられるのは怨恨ね。犯人は部屋を燃やすことでそこの住人、すなわちあんたを殺そうとしたのよ」

 ハナはそう言って俺に指を向ける。やれやれ。

「俺が誰かから恨みを買う?そんなのは絶対にあり得ない」

 感情的になるハナの横で、結城は悲しげに俯くのが見える。

「なんでそう言い切れるのよ!あんた、別に性格がいいわけじゃないわよ?」

「俺はまだ結城以外に友達がいないんだ」 

「え」

 ハナの目が大きく開く。この回答は予想していなかったのだろう。

「なんで友達がいないのよ」

「なんでと言われても、出来なかったものは仕方ないだろう」

「学部別ガイダンスは?キャンパスのどこかでサークルの勧誘ぐらいあったでしょ?」

「誰からも話しかけられなかったし勧誘のビラももらわなかったぞ。だから今俺が友人と呼べる奴は結城しかいない」

 とうとうハナが押し黙る。この時、俺はハナが自分のことを勘定に入れないことに異を唱えるかと期待したが、

「……なるほど」

 その予想ははずれたようだ。

「まぁもし仮に爽平に友人ができたとして、呆れられることはあっても決して恨みを買うような事にはならないさ」

 微妙なフォローの言葉で結城が話をまとめる。 

「つまり今回の火災は別に犯人がいる可能性が高い。だが動機は不明そういう事だな」

 ハナは頷く。が、そこで疑問が生じる。

「待て、じゃあ犯人の目的はどうなった?寮に放火は出来たが、それは俺が消した。犯人の目的は完遂されたのか?」

「そこも疑問点ね」

 もし犯人の目的が『男子寮の全焼』であるなら、それは達成されていない事になる。

「考えられるのは2つだ。1つは犯人の目的は男子寮の全焼、これは未遂に終わった。だがもう一つ、犯人は単にボヤ騒ぎを起こしたいだけの愉快犯だった、これなら犯人の目的はすでに達成されてる」

 結城が腕を組み、眉間にしわを寄せる。

「しかし前者の方なら事は大事だ。相当な動機が要る。イデオロギーや経済的なステークホルダーが存在してるのかもしれない」

 どっちにしろ今となっては分からない、か。現時点では判断材料が不足しすぎている。決断は後回しにすべきだ。

「それにしても、もし全焼していたら大変な事になってたわね。ただでさえこの大学はつい最近大問題が話題になったのに」

 そう。ハナの言う通りこの満城大学は危機的状況に陥っている。事件が明るみになったのは4ヶ月ほど前。俺たちが合格通知を受け取り、入学金を支払った後だった。そのまま入学するか、浪人するかの2択しか選択肢が残されていなかった。きっと多くの学生が親から入学を反対されただろう。

 近年、地方大学にしては珍しく入学者数が増加していた中で、俺たちの年だけは入学者数が格段に減少した。

「しかもその事件を受けて警察の捜査が入って、さらに重度の経営難ってのが暴露されるわで、本当今年の1年生はついてないよなぁ」

 結城がビール片手に顔を伏す。

「でも無理もないわよね。少子化だし、今や学生のほとんどがアルバイトで生活費を稼ぐくらいだもの。そこそこ知名度はある、っていうのがこの大学の唯一の救いね」

 そこそこの知名度が、あの一大スキャンダルで悪い方に振り向いてしまったわけだが。……と、それをとやかく言う資格は今の俺には無い。

「あの時は大学も相当揺れたもんだ。責任者は辞任に追い込まれるわで」

「そりゃ今回の事件には敏感になるわよね……」

 ハナの一言が俺の琴線に触れる。

「だからって退学にするか?証拠が定まらないうちから俺を犯人に決めつけ、挙句退学処分を仄めかすってのはいただけないぜ」

 それなら去年に寮を燃やすのなら退学にはならないってことになる。ふざけるな。

 総務部で詰問された時の光景が怒りと共に湧き上がってくる。

「結城!俺もビール!」

「お、爽平も飲むか!」 

 俺が差し出したコップに、結城が酌をする。ずいぶん手慣れているようだ。

「しかし、あの結城が酒とはね。一体どうしたんだ?」

 気になっていた疑問を口にする。

「そりゃお前、俺は昨日まで投資部の新歓合宿に行ってたからな。そこでしこたま飲まされたのさ。大学生の空気ってやつにあてられたのさ」

「教授や職員が聞いたら卒倒するだろうな」

 極めて厳しく言ったつもりだったが、結城は笑って答える。

「まぁ職員に関してはそうかもしれないがな、こと教授に関しちゃ学生と共犯だぜ。俺たちも数ヶ月したらゼミが始まるだろ、その時は決まって飲み会をするんだ。一年生交えてな」

「本当か?」  

「経済学部の一部ゼミに関しては、だけどな。民間上がりが多いから畢竟飲み会も多くなる。銀行と証券会社上がりの教授には気をつけたほうがいいってのはもっぱらの常識さ。ま、文学部と法学部には関係ないがね」

 そう言って結城はぐびっとビールをのに流し込む。俺も合わせて飲んでみる。

「うん、なかなかいける」

 疲れた時に飲むビールは最高、という言葉をどこかで聞いた覚えがある。それは身体的疲労だけでなく精神的疲労にも効くのだろうか。

「ちょっと、いくら教授が認めてても私たちは未成年よ。飲酒は法律で禁じられてるの。特に爽平、あんたは放火の嫌疑がかけられてるのよ?それに加えて未成年飲酒まで公になったら誰もあなたを擁護できなくなるわ」

 その瞳に遠くツンドラの銀世界が見える。こんな時まで雰囲気を盛り下げないでほしい。

「私は絶対飲まないわよ」

 ハナは腕を組み、そっぽを向く。

    




    *



「っていうかあんたら仲良すぎてキモチ悪いんだけどぉ」

 赤ら顔のハナは若干舌ったらずになっていた。

 議論が犯人の動機と大学の経営難を辿り、膠着状態になってから数十分後、机の上にはビールの空き瓶が5本も置かれていた。いや、6本か?視界がぼやけて俺にもよく分からない。

「まぁ爽平は昔っからこういう性格なんだよ。俺が着いてなきゃ絶対クラスでも孤立するだろうし、将来も不安だったからなぁ」

「ああー、保護欲ってやつね。確かにこいつの間の抜け方は時々イラっとくるけどそれがしっかり者にはたまらないのかしら」

 本人を前にしてよく発言にそこまで無遠慮になれるなこいつら。

「おいちょっと待て。つまり俺に構うのはお前らの勝手じゃないか。まぁ今回に限っては助かるが、それ以外は俺が頼んでるわけじゃないぞ」

 思考が曖昧になりながらも反撃を試みる。

「ほらやっぱり捻くれてる~。だから結城以外に友達ができないのよー」

「うん、だがそう言いつつも爽平は心のどこかで感謝を忘れていないんだ。この前だって……」

 こいつら、完全に俺のことをバカにしていやがる。 

「ヒメちゃ~ん、ビールもう一本追加で~」

 ハナが上機嫌に注文をする。注文を受けたヒメは店の掃除を中断しすぐに品を卓に届ける。

「ヒメちゃんも一緒に座りなよー。片付けなんて後で私たちが手伝うからさ~」

 ハナは本気でこの後店の手伝いなぞ出来ると思っているのだろうか。俺は無理だ、絶対に。

「いえいえ、私はいいんですよ。ハナさんはお客さんなんですから遠慮せず楽しんでください」

 流石と言うか、酔っ払いの絡みに卒なく対応するヒメを見て感心する。

「あら、そう~。と言ってもこいつらと飲んでてもあんま楽しくはないんだけどね~、アハハ」

 と言いつつ極楽に浸ったような笑みで目の前の男2人にケチをつける。

「まったく、お前のボスに今の醜態を見せてやりたいよ」

 ヒメが酔客をあしらって厨房に消えてから、今度はこちらがからかってみる。

「ふん、それは無理ね。私は今でさえこんなだけど、自治会ではその行動に責任と誇りを持ってるわ。だからきちんと公私は分けるし1年にして会長からの信頼も篤いわ」

 ハナは胸を張るが、別に酔っているからではなく心の底からそう思っているのだろう。

「なんでそこまで本気になれる?自治会に入ったところで何を得られるってんだ?」

「ま、意志薄弱な上オツムの弱いあんたにはわからないでしょうね。いい?私は大人になりたいの」

「大人?さっき自分で未成年がうんたらと言ってたくせに……」

「そういうことじゃないの!年齢で大人になるなんて誰にでもできるわ。でも周りから大人として接せられるかは別よ。問題は経験や知識、それに人格よ。私は法律を学んで、物事にはっきりイエス、ノーを言いたい。学生だからってモラトリアムの陰で放蕩する奴らとは一緒にされたくない。自分のことは自分で決める。だから自治会に入ったの」  

 言い終わると同時にコップ一杯のビールを一息に呷る。

「俺もそうさ!大学で経済と投資を学んで父親の会社をさらにでっかくしてやるんだ!」

 そう言う結城はコップではなく瓶のままラッパ飲みをする。

「よくもそんな熱くなれるよなぁ……」

 俺もつられて飲もうとする。が、コップのビールは空だった。


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