少年少女の魂の歌、至高のスペースオペラ!

これは傑作。大きな敵に立ち向かう少年少女の姿を描いた本格派のスペースオペラだ。しかし少年少女の甘く切ない心の揺れ動きも描かれている。青春ジュブナイルとしても美味しい。

23世紀の初頭、人類は深宇宙より襲来した謎の敵性異星体グォイドに対し太陽系防衛艦隊を結成、太陽系を舞台に種の存亡を賭けた大宇宙戦の時代を迎えていた。航宙艦エンジニアの少年ケイジは二十歳前後の少女でしか扱えない航宇宙戦闘艦〈じんりゅう〉に救助される。しかし、〈じんりゅう〉も主機関が故障し危険な速度で最中であった。ケイジは〈じんりゅう〉の少女クルーと協力するが行く手に敵の影が潜んでいた。

 本格的なSF世界観の中で少年一人と美少女達によるラブコメも含まれて楽しめる。登場人物もみな個性的だ。台詞や「」内文章で上手く差別化できているのも面白い。戦闘シーンは熱量がある。日常シーンではニヤニヤできる。シリアスとラブコメをここまで上手く融合させた手腕は見事としか言いようがない。ただひとつ評価を落とす点はSF特有の専門用語の多さだ。特に戦闘シーンでは何を言っているかさっぱりわからない箇所がけっこうある。雰囲気で理解できる。説明が事前にされていないわけではない。しかし一度説明した専門用語が延々と繰り広げられてそれを覚えている読者が多いとは思えない。読み手を意識した描写にするだけで更にいい作品に仕上がるだろう。 アラフォー女の風子『75点/100点』

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