圧倒的な面白さは、もはや呪いだ

呪い。
地味で暗くてドロドロしてて、常に負のイメージが付き纏う、例えるならば闇より深い漆黒か濃くて暗い絵の具を混ぜたマーブル模様。明るくて楽しい雰囲気など皆無である。
そんなマイナスイメージのA級戦犯みたいな概念がこの物語のテーマだ。

それなのにほんの少しも暗い気分にならない。むしろ鬱々とした気分なんか吹っ飛ぶ。読めば読むほどにドロドロと溶岩のような熱が胸の内に湧き上がってくる。

面白い。面白い。そして滅茶苦茶かっこいい。

呪術という一見取っつきにくそうで何がなんだかよく分からない概念を、しっかりとした土台の上で軽快で楽しく、なにより深い語り口で描いている。軽妙な文章にさらりと織り込まれた呪術の概念の説明には舌を巻く。

登場人物たちのコミカルな掛け合いも楽しいが、刮目すべきは熱い呪術バトルだろう。
謎かけと欺瞞に詭弁を添えて、一行後には戦況がひっくり返る。何が本当で何が嘘で、誰が強くて弱いのか予測不能で、一瞬たりとも気を抜けない。気がつけば息を殺して食い入るように文字を追っていた。

 ――人を呪わば穴二つ。

この言葉は物語における重要なキーワードだが、この作品を読む読者についても言えることだと思う。

塞がりのカースコードを読むのなら、その面白さに呪われる覚悟をした方がいい。

二章が楽しみです!!!!

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