第四十二幕 再度去来する蝉音



 ミーンミンミンミンミン……


 梅雨もすっかり終わり、六月の夏真っ只中の蝉の声が、江戸の町中に響いていた。


 暦の上では、既に六月の十三日になっている。


 俺は稲荷社いなりやしろの朱色の大鳥居おおとりいの前にて、竹箒で掃除を行っていた。


 時刻は昼四つ半(午前十一時ごろ)を過ぎたあたりで、そろそろお昼ご飯かという頃合である。


 俺は、夏の抜けるような青空にこんもりと浮かぶ入道雲を見上げていた。


――もうちょっとで、俺がこの時代に来てから一年が経つんだな。


 そんなことを考えていると、いきなり講堂の方から子供たちのざわめきが聞こえてきた。


――どうしたんだ?


 俺がそう思いつつ、土間段から畳敷きの講堂の方を覗くと、すずさんが腹を抱えて苦しんでいる様子が目に入った。


「どうしたんですか!?」

 俺は土間段を急いで駆け上がり、心配そうにお師匠さまを囲む子供たちをかき分け、腹に手を当ててうずくまるすずさんに近寄った。


 すずさんは、下腹部を手で押さえて痛がっている。


「すずさん!? 大丈夫ですか!?」

 俺がそう尋ねると、すずさんは苦しみを顔ににじませながら俺に伝える。

「あはは……大したことじゃぁないさ。ただ不浄ふじょうだよ……あいた! いたたた!」


――不浄ふじょう? 何だそれ?


 何が起こったかわからずに戸惑っている俺の傍らにて、すずさんは悲痛なうめき声を上げ続ける。


 俺は苦しんでいるすずさんが心配になって大声で尋ねる。

不浄ふじょうって何ですか!? 病気ですか!?」


 すると、すずさんは青ざめながら俺の方を向いて口を開く。

「女が股から血を流す奴だよ……まさか知らないのかい……?」


 その言葉に、俺は自分が何を叫んだかを理解して顔を赤らめた。

「す、すいません!」


 俺は集まっている子供たちに、しばらく手習い所は休みになることを伝えて帰ってもらった。






 徳三郎さんに聞いたところ、この時代において女性が不浄ふじょう、つまり生理になるということは、けがれにちた血を垂れ流す状態になってしまうというむべきことであるらしい。


 よって、巫女としての神職に関わる行事は勿論もちろんのことながら、料理などの家事仕事などをも一切合切いっさいがっさい休まなければいけないらしい。けがれている者に仕事をさせるということは、この江戸時代では相当に忌避きひされる行為なのだという。


 夕飯を終わった俺は、間借りさせてもらっている客間にてスポーツバッグの中をまさぐっていた。


 このスポーツバッグは、葉月が女子バレー部の合宿のために用意したものだった。だったら当然、今のすずさんに役立つ物があるはずであった。


 しかし、スポーツバッグの中にあるはずの物は、どこにもなかった。


「……ああ、そうか」

 俺は大きく息を吐き出す。


 一年ほど前に、この稲荷社いなりやしろに初めて来た日にスポーツバッグの中身を調べたときに感じた不自然さの正体が、ここにきてやっとわかったからだ。


「……そうだよ、生理用品がないんだ」

 葉月が用意したこのスポーツバッグは、女子バレー部の合宿用荷物だ。だから、途中で部員の異変に対していつでも対処できるように、生理用品が入っているのが自然なはずだ。


 しかし、このスポーツバッグの中にはそれらしきものはどこにもなかった。


 俺は仕方ないと思い、救急箱から出したアセチルサリチル酸入りの鎮痛薬の箱を手にとった。そして、生理痛で苦しむすずさんの元へ向かった。


 廊下をつたい座敷に入ると、すずさんとおあきちゃんが寝起きしている部屋のふすまがある。


 俺はその部屋の前で、すずさんに尋ねかける。

「すずさん。よく効く薬を持ってきたんですけど、入っていいですか?」

 俺がそう言うと、ふすまの向こうから気だるそうな声で「いいよー」とすずさんの声が返ってくる。


 俺がふすまを開けると、畳の上に寝転んだ寝間着のすずさんがいた。すずさんは目を閉じて、苦しそうな表情を見せている。


 俺は下に弟がいるだけで、女姉妹おんなきょうだいがいない。だから、こういうデリケートな問題はどうしようかと思っていたが、足踏みしている訳にもいかない。


「すずさん、痛みが引く薬を持ってきました。飲んでもらおうと思いまして」


 俺がそう言い、箱から錠剤を取り出してみせると、寝転んだままのすずさんが俺の言葉に返す。


「……痛みが引く? 悪いけどさ、あたいは酒は呑むけど阿片あへんは吸わないんだよ」

「いや、阿片あへんとかの麻薬じゃないですよ。鎮痛薬ちんつうやくっていうれっきとした薬屋で売られている薬です」


 俺が憮然とした表情で返すと、すずさんは半身を起こす。そして、近くにあった鉄瓶を手に取り湯呑ゆのみにお茶を注ぐ。


「そうかい。じゃぁお言葉に甘えて飲んでみようかねぇ」

 すずさんはそう言うと、俺の手の平から錠剤を受け取る。


 そして、そのまま湯飲みのお茶でアセチルサリチル酸入りの錠剤を飲んでしまった。


 すずさんは、気だるそうに返す。

「しっかしさぁ、こういった日ばかりは女に生まれて損だって思うよねぇ。男のりょうぞうにはわかんないかもしれないけどさ」


 俺は応える。

「いや、それはしょうがないですよ。じゃぁ、俺はこれで」


 俺が立ち去ろうとすると、後ろからすずさんが俺に声を掛けた。

「りょうぞう、ちょいと待ちな」


「なんですか?」

 俺が振り向くと、座ったままのすずさんは俺の目をまっすぐ見ていた。そして口を開く。

「……いや、なんでもないさ。おあきの事をよろしく頼んだよ」


 すずさんはそこまで言うと、再び横になって寝転んだ。そして一言加える。

「今、あたいがつけてる赤褌あかふんどしは後でまとめてあたいが洗うからさ、おまいさんは洗わなくていいよ。血でよごれててきたないからさ」


「た、頼まれたって洗いませんよ!」

 俺は頬を染めて、その場を離れふすまを閉める。


 ふすまを閉めて、気持ちを落ち着けようと大きく深呼吸する。心臓がまだドキドキ鳴っている。


――すずさんは、想っていいひとじゃない。


 そう俺は自分に言い聞かせると、座敷から廊下を伝って、間借りさせてもらっている客間に足を運んだ。



 ◇



 その日の夜、俺は夢を見ていた。


 高校生活の初日、入学式の日の夢だった。


 忠弘ただひろと一緒にクラス分けの掲示を見て、忠弘ただひろと同じクラスになったことを安堵していた俺は、二人して教室に向かって廊下を歩いていた。


 そして俺は自分のクラスのドア付近にて、不審な動きをしている女子生徒を見つけたのであった。


 その黒髪を肩で切り揃えた女子生徒は、ドアの近くで外から教室の中を恐々こわごわと覗いているようであった。


 俺はその女子生徒の後姿に「君もこのクラスの人?」と声をかけた。すると女子生徒はこちらを振り向いたと思ったら、顔を真っ赤にして「う、うん!」と言って逃げるように教室の中に入ってしまった。


 恥ずかしがりやなんだな、というのが俺と隣にいた忠弘ただひろとの共通見解だった。そして教室に入って席を確認した直後に、その女子生徒が顔を赤らめながら人懐っこい声と共に俺たちに近寄ってきた。


 それが、俺と葉月とのファーストコンタクトであった。



 ◇ 



 目を覚ました。


 俺の体を布団の上から、ゆさゆさとおあきちゃんが揺らしていた。

「りょう兄ぃ、起きて。起きて」


 俺は寝ぼけた感じで上体を起こす。

「ああ、おあきちゃん、おはよう」


 欠伸あくびをしながら外を見ると、まだ随分と薄暗い。朝六つを過ぎたあたりだろう。六月の朝六つなので、午前五時くらいの時刻だといえる。


「どうしたの? こんな早くに」

 俺が尋ねると、おあきちゃんが返す。

「昨日言ったじゃない。ご飯炊かなきゃ」


 ああそうだ、すずさんが料理を作れない間、飯炊きを代わりにすると約束したんだった。


 俺はおあきちゃんに部屋から出て行ってもらうよう伝えて、寝間着から着物に着替える。その間に、先ほどまで見ていた夢を思い出していた。


――葉月、俺はどうすればいいんだろうな。


 もう少しで、俺がこの江戸時代に来てから一年が経過する。そして今なお、俺が二十一世紀に帰れる保証などどこにもない。


――どうせ会えないのなら、諦めたほうがいいことだって。


 諦めは心の養生、そう屋次郎さんは言っていた。俺が葉月のことをきっぱりと諦めれば、こっちでの生活ももっと楽しくなるのかもしれない。


 こちらで好きな人を見つけて、家族をつくって、人の役に立つ仕事をして、色々な楽しみを味わって、この江戸時代に骨をうずめることだってあり得る。そんなことを思っていた。


 もうこの一年間という歳月さいげつの中で、俺の弱い心はそんな誘惑に負けそうになってしまっていた。 


――俺は、どうするべきなんだろうな葉月。


――君の声が聞きたい。


――君の気持ちが聞きたい。


――俺は遠く離れた所にいる人の気持ちを見抜けるような超能力を持った覚神さとりがみでもエスパーでもなんでもない。


――ただの弱い一匹の人間に過ぎないんだ。


――君が言ってくれないと、君が教えてくれないと、何も気持ちはわからない。


 俺は迷っていた。葉月を諦めて、この江戸時代で生きていくか。それとも、二十一世紀に帰ることを諦めずに生きるか。


――それは間違いなく、俺の人生の岐路だ。


 その振り払えない迷いと共に、俺は台所に向かった。




 その日の日中の家事を差障さしさわりなく終えて、俺は夕暮れの薄明かり差し込む中で夕飯の載ったぜんを運んでいた。高く盛られた白飯に、浅蜊あさり出汁だしの味噌汁、沢庵たくあん、そしてメインのおかずが一品ひとしなである。


 この膳の上の料理はすずさんの分であり、生理で血を失ったすずさんにぴったりの料理が盛り付けられている。


 俺は、すずさんがいる部屋のふすまの前に膳を置いて声を上げる。

「すずさーん、晩ご飯を持ってきましたー。入っていいですかー?」


 すると、ふすまの向こうから「いいよー」と声が聞こえてきたので、ふすまを開け、膳を持って中に入る。


 俺が入ると、寝転んでいたすずさんは体を起こし、胡坐をかいた格好となる。俺は声をかける。

「どうですか? 調子は?」


 すると、すずさんが応える。

「ああ、随分と楽になったよ。未来にはよく効く薬があるんだねぇ」


 すずさんはそこまで言うと、目の前に置かれた膳に視線を移す。膳の上に盛り付けられた一品ひとしなのおかずに興味が沸いたようである。

「なんだいこりゃぁ? 見たことない料理だねぇ?」


 その料理とは、まだ江戸時代では日本人に広く知られていない中華料理だった。


 俺が近くの〆鶏屋しめどりやにてにわとり肝臓かんぞうを手に入れて、八百屋で買ったニラと一緒にたっぷりの菜種油で炒めつつ、醤油や酒や味醂を入れて味を調えて作ったものであった。


 おろし金でろした生姜しょうがにんにくも入れてあるので、食欲をそそる芳香も抜群ばつぐんに際立っている。


 俺は、すずさんに伝える。

「俺が作った未来の料理です。『レバニラ炒め』って言うんですけどね。食べてみてください」


 その言葉に、すずさんは箸を手にとってレバニラ炒めを口に含む。


 すずさんが、感激の声を上げる。

「へぇえ、こりゃぁ美味うまいねぇ! きもにらを油で焼いてタレで味付けているのかい? 白飯しろめしと一緒に食べるとたまらないねぇ!」


 すずさんは、レバニラ炒めを嬉々として飯の友にしている。


 俺は伝える。

「モヤシとか片栗粉とか手に入らない材料も結構あったんですけど、なんとか料理になって良かったです。それに、てつが入っているから血を失った体にはぴったりですよ」


 すると、すずさんが不思議そうな顔を見せる。

「妙なことを言うねぇ? 食いもんの中にてつなんか入っているわけないじゃないのさ?」


 その言葉に、俺は苦笑いをした。






 すずさんにレバニラ炒めを食べてもらって、俺は夕暮れの明かりで照らされた間借りしている客間にいた。そして生徒手帳の裏に貼り付けてある、葉月とそのお母さんの写真を眺めていた。


「……葉月、今ごろ君は何をしてるんだろうな」


 俺が江戸に迷い込む日となったのは、夏休みの初日の七月下旬だった。それから一年近くが経過しているので、二十一世紀で同じ時が流れているとしたら、もう葉月は二年生になっているはずだ。


 江戸の暦での今頃は夏が盛んになってきた頃合であり、丁度七月下旬くらいの気候となっている。


 俺は、この時代に来る前日に葉月が伝えてくれた言葉を思い出す。


――私の誕生日、来月の十五日。覚えておいて――


 俺は七月に教室で、来月の十五日が葉月の誕生日だと告げられた。


 つまり終戦記念日、八月十五日が葉月の誕生日だということだ。


 そこで俺は、小三郎が言った言葉を思い出した。一月は睦月むつき、二月は如月きさらぎ、三月は弥生やよい。これらは古文の時間に習った、日本古来の月の名称だ。


 小三郎は、八月の旧称を葉月はづきと呼ぶということを俺に教えてくれた。


――八月生まれだから葉月はづきって名前だったのか。


 そう納得し、生徒手帳を畳に置いてからスマートフォンをナップサックから取り出し、電源を入れる。


 俺の胸の内にある迷いを振り切りたくて、葉月と交わしてきたRINEラインのトーク履歴を開き、過去に遡ってスワイプする。


 四月に初めてラインをやり取りしたときの、たどたどしい交信を流す。


 五月に初めて定期テストがあったときの、不安に満ちたやりとりを流す。


 六月に体育祭があったときの、一緒に準備をしていたときの会話を流す。


 そして、七月に行った夏休みに向けての対話を流す。


 トーク画面の一番最後まで到達したところで、葉月が俺に最後に伝えたメッセージが目に入った。


はづき『迷わないでね』


 それは、あの七月下旬のあの日に、俺が江戸時代に迷い込む直前に、葉月から送られたものであった。


 それに対する俺の対応はこうだった。


りょう『わかりました』


 何気なく約束をしていたという事に気付いた俺の心の中に、複雑な想いが沸き起こる。


――迷わないでね、か。


 俺がそう思ったところ、後ろの障子がすっと開いた。そして、おあきちゃんが入ってきた。


「りょう兄ぃ、ちょっといい?」


 俺は振り向いて応える。

「ああ、別にいいけど? どうしたの?」


 すると、おあきちゃんは悲しそうに口を開く。

「すずねぇに聞いたの、りょう兄ぃが迷ってるって。未来に帰れるかどうかわからなくって、心の中で泣いてるって」


 その言葉に、俺は息を吐き出す。


――なんだ、やっぱりばれてたのか。


「大丈夫だよ、俺は大丈夫。迷ってなんかない。気に病んでなんかいないよ」


 俺がそこまで言うと、おあきちゃんはしゅるりと葉月の姿に変身した。そして俺に近寄り、俺の胴体に両腕を回して、葉月と座ったまま正面から抱き合う格好になった。


「ねぇ、りょう兄ぃ、もし未来に帰れなければ、あたしが葉月さんの代わりになるよ。だから泣かないでよ。りょう兄ぃが泣いていると、あたしも辛いの」


 俺はおあきちゃんの気遣いに感謝したが、そういう訳にはいかない。おあきちゃんを葉月の代わりにすることなんてできない。それは、おあきちゃんと葉月の両方への冒涜ぼうとくになるからだ。


「ありがと、気持ちだけ受け取っておくよ。でも、俺は葉月を裏切れないんだ。ごめんね」


 俺がそう言って肩を掴んで離すと、葉月の姿をしていたおあきちゃんは、俺の前でしゅるりと元の小さな女の子の姿に戻った。


「そっか……そうだよね。あたしは葉月さんじゃないものね。あたしは……葉月さんの代わりになんか……代わりになんか……ひぐっ……ひぐっ」


 おあきちゃんが、肩を上下させて泣き出した。小さな女の子なりに、懸命に俺に思いを寄せてくれていることが伝わってきた。


 おあきちゃんは、俺の正面で立ち上がり、離れようとした。


 俺は、速やかにおあきちゃんの肩を掴んで引き寄せ、もう一度抱き合う格好となる。


 ただし今度は、葉月の姿ではない。おあきちゃん本来の、小さな女の子の姿のままであった。

「おあきちゃん、俺も君のことが好きだよ。家族としてだけどね」


 俺はそう言いつつ、おあきちゃんを抱きしめた。


 それは、俺が精一杯できることであった。おあきちゃんはまだ子供であり、男女の関係になることはできない。だけど、確かに俺はおあきちゃんの事が好きであった。葉月とは異なる次元ではあるが、紛れもなく大切であって、傷つけたくなくて、かけがえのない存在であった。


 俺は、おあきちゃんの想いに応える事はできない。それは、おあきちゃんを傷つけることになるからだ。もし、おあきちゃんが子供ではなく大人であったら、俺は葉月を見限っておあきちゃんの想いに応えていたかもしれない。


 そして間違いなく、今の俺にとっておあきちゃんは大切な存在であった。


 だからこそ、大切な存在であるからこそ、俺はこうやって誤魔化すことしかできなかった。


――ごめん、君を傷つける訳にはいかないんだ。


 俺はそう思いつつ、おあきちゃんを抱きしめ続けた。


 すると、俺の胸元でおあきちゃんがこんな事を言った。

「ありがと、りょう兄ぃってやっぱり優しいね」


 その言葉に、俺の良心がチクリと痛んだ。


 俺はもう一度、抱きしめ続けているおあきちゃんに伝える。

「いいんだ、俺こそありがとう。おあきちゃんの気持ち、嬉しいよ」


――俺はひょっとしたら、もの凄く残酷なことをしているのかもしれない。


 でも、俺はおあきちゃんを縛るわけにはいかない。そして、おあきちゃんを傷つける訳にもいかない。おあきちゃんにとって大切な思い出になってくれたら、俺が未来に帰ってしまった後に、いい思い出があったと思い返してくれるようであれば、俺は充分だ。


――俺は、おあきちゃんには幸せになって欲しいから。

――大切な、大切な、家族だから。


 俺はもう、迷わない。葉月が言ってくれたように、迷わない。俺は、あの日に葉月と何気なにげなくわした約束を守ってみせる。


 その思いと共に、俺はおあきちゃんを家族同然の幼い女の子として抱きしめ続けた。


 六月の十四日、蝉の羽音が鳴り響く季節の、涼しい夏の夕暮れのことであった。


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