赤い激情、まるで燃えるような愛憎劇。

何よりも、その『赤』が目を焼いた。

文字で描かれた情景が、脳を通じて視界に映し出されるような、迫り来る表現力。此処ではなく、何時でもない世界を現実に見せ付ける写実的な文章。

それらが描き出すのは、人の愛と、その末路。燃えて燃えて、やがて我が身も焼き尽くす感情の焔だ。

読んだはずなのに、見た気になる――鮮やかすぎる色に、魅せられた、気になる。

文字に過ぎない筈の『赤』が、何だか視界の隅にちらつくのは、果たして気のせいなのだろうか。

それとも?

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