寝すぎたオッサン、無双する〜親友カップルをかばって昏睡から20年、目覚めたら俺のハズレスキル〈睡眠〉が万能究極化してて最強でした。超人気配信冒険者の親友の娘姉妹が、おじサマと慕って離してくれません〜

ミオニチ(コミカライズ・電子ノベル)

20年の眠りから覚めた男、万能究極になる 編

寝過ぎ1 昏睡、目覚め、再会……って、20年ん!?

「が……はっ……!?」


「いやあぁぁぁっ!? ネルトさんっ! どうしてっ! なんで、私たちをかばって……!?」


 ダンジョンの奥。叫び、衝撃波を全身に強く叩きつけられ背中から倒れた少年を抱きかかえる魔力の尽きた少女。


 だが、思った以上に少年の容態は悪いらしい。でなければ、泣きじゃくる少女の豊満な胸に顔をむぎゅっと押しつけられ、少し口もとをにやけさせる程度では済んでいないはずだ。


 ――へへ。あー、こりゃマジでやべえかもな……。フィーリアももう回復かける魔力残ってねえみたいだし……。まだ15歳。ようやく念願の冒険者にもなって、これからだったのによ……。


「おおおおおっ! よくもネルトをっ! フィーリアをっ!」


 ――まあ、でも、いいか……。


「へ、へへ……。親友と惚れた女を守って……最後にその胸の中で……俺の最高の親友……ハワードに託して……逝けるんだからよ……」


 そして、少年は同じく身を挺してかばった、託した親友が渾身の一撃で元凶の魔物を斬り裂くところを見とどけると――


「いやあああっ!? ネルトさんっっ!?」


 ――最後の力を振り絞り、弱々しく微笑みながら右親指をグッと立てると、眠るように意識を。


 ――っと、どうせ落ちるんなら、無駄かもしれねえけど、万が一があるかもしれねえし、やっぱり一応これ使っておかねえと、損だよな……?


 あーあ。安眠できるだけのスキルなんてハズレじゃなかったら、俺だって……もっと……2人の……役に……あ……だめ……だ……。限……界……。


「スキル……〈睡眠〉……………」


 最後の力を振りしぼり、淡い緑の光が全身を包む。そして、今度こそ少年は完全に意識を失った。








 ***



 ――そして。



「うっ!? わあああああぁぁぁっっっ!?」


 朝方の、ほのかにまだ薄暗い病室の中。


 飛び起きたは、あまりの痛みに叫び声を上げた。


 ――があああぁぁっ!? 頭が、頭が割れるように痛ぇぇぇっ!?


 ――はあっ!? スキル〈睡眠〉の熟練度がマックス!? 継続使用によるボーナスに、超睡眠学習とか睡眠時肉体強化(永続)とか魔力増加(永続)とか、わけのわからねえことっ! 俺の頭の中でがなるんじゃねえぇぇっ!?


「はあっ……!? はあっ……!? はあっ……あ……? ここ、どこだ……?」


 長い時間寝ている間に蓄積されつづけていた自身のスキルに関する膨大で強制的な情報処理が終わり荒い息を整えた男は、ようやく辺りを見まわす余裕を得る。


 それから、自分がいまいる部屋がまるで見覚えのない場所で、腕に栄養補給用の点滴が刺さっているのと、その雰囲気からなんとなく病室らしいことにあたりをつけ――


「ん、んん……。オジ……サ……」


「んんぅ……。ネ……じ……」


「ひぅえぇぇっ!?」


 ――そして、そのまま硬直した。


 左右の椅子。自分がいままで寝ていたベッドに寄りかかるようにして眠る、快活と静謐、対象的な印象を受けるふたりの目の醒めるように美しく、けれどまだあどけない寝顔の少女の姿を目にして。


 もちろん、男に身に覚えなどまったくないはずだった。


 軍服に似た――どこかそれを可愛らしくしたような白い制服を身につけたふたりの少女に。


 ただ、その流れるようなゆるく巻いたツインテールの金の髪と、肩までで美しく整えた銀の髪。それからあどけないふたりの少女の寝顔を見ていると自然に手が伸び、そして指先でそれぞれの髪に触れながら思わずこうつぶやいてしまう。


「パフ……? スピー……?」


 がばっ!


 その瞬間。はじかれたようにふたりの少女がその身を起こした。


「オジサマっ!」


「ネルおじっ……!」


「うひぇっ!?」


 さらにそのまま左右から感極まったように涙をぽろぽろとこぼしながら男に抱きつく。


「パフね、パフね……! ママをかばって、オジサマが死んじゃったかと思った……!」


「ネルおじ、起きた……! やっと、やっと起きた……!」


「ぱ、ぱぱ、パフ……!? すす、スピー……!?」


 ――って、いや誰だよ!? っていうか、なんで俺は見たことないのにこのふたりの名前知ってるんだ!? いや、それどころかどこか懐かしい気すらして……むぎゅっ。


 ――いや、いまそれどころじゃねえぇぇっっ!?


 左右から少し背丈の違うふたりの、ふたつの甲乙つけがたい見事に育ったふくらみが抱きついた拍子に、ぱふむにゅ、すぴむにゅっと男の体に押しつけられていて、男の精神はもういろいろと限界寸前だった。


 ガラッ!


「ね、ネルトさんっ……!? 本当に、本当に……ネルトさぁんっ……!」


 むむぎゅっ。


 そして、男の精神に今度こそ限界が訪れる。


 新たに病室に現れた長い銀の髪のそれはそれは美しい楚々とした服装の成熟した女性。


 どこかすでに抱きついているふたりに面差しが似た、それを洗練したような美貌の持ち主。


 あろうことか同じように感極まったように泣きながら男に抱きつき、ふたりよりもさらに豊満なふたつのふくらみをままむにゅっとその顔に押しつけると――


「ふぇ……? ふぃ、ふぃーふぃあ……?」


 ――長い、長い眠りに落ちる前。かすかに覚えていたその至福の感触に、男は豊満な胸に埋もれ、とまどいながらもそうつぶやいた。


 コン、コン。


「目覚めの兆候ありとして急ぎ駆けつけたわけだけど、これはまたすごい光景だね……。こうして僕の無二の親友が目覚めたのは最高にうれしいけど、う、ううん……? 夫として、ふたりの父親としては、ものすごーく複雑だな……?」


 そうつぶやきながら最後に現れた身なりのいい金髪の男は、非常に複雑な笑顔を見せる。どこか泣きそうにも見えるその表情に、3人のふくらみに挟まれた男は見覚えがあった。


「へ……? ふぉまへ……? ふぁ、ふぁわーぼ……?」


「ああ……! そうだよ、ネルト……! 20年ぶりだね……! 僕の親友……!」


 こうして、ふたりの無二の親友は、ここに20年ぶりの再会を果たした。


 ――片一方は、感極まった親友の妻と娘姉妹のふくらみに、ぱふすぴままむにゅっと顔と体を挟まれたままで。






   ***


第一話にお付き合いいだだき、ありがとうございます!


まだ始まったばかりですが、期待値込みで、フォロー、★★★評価、いいね、等の応援ならびに感想いただけると、たいへんうれしいです! 正直、このために書いてます! 励みになります!


すでにいただいた方、ありがとうございます!

これからもよろしくお願いします!

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