ホワイトKiss。〜未成年だけど子供じゃないから〜

猫野 尻尾

第1話:ラブドール。

取り憑かれたように天使の話ばかり書いてるので天使がどうやって天界から

やって来たか他の話しとカブらないようにするのが大変。

いろいろ考えあぐねてもう普通でいんじゃねって思って・・・。


なことで、また天使か?って言わないように。


あ、3話完結です。



河合 曽良かわい そら」は某商社に勤める25歳の男子。

某商社って言うのはラブドールを作ってる「ヘヴンズ・ドア」って会社。


ラブドールとは主に男性がセックスを擬似的に楽しむための実物の女性に

近い形状の人形であるがセックスに限らず愛玩、観賞、写真撮影などにも

使用されることがある高級嗜好の等身大のフィギュア。


曽良そらは、そう言う会社に勤めている。

とくにラブドールを作ることに興味があったわけじゃなく飲み屋で知り合った

おっさんが、たまたま「ヘヴンズ・ドア」の社長さんだったと言うだけ。

その頃の曽良は仕事を持たずプラプラしてたから、それならうちへ来るかって

社長に誘われて就職した。


だけど毎日可愛いラブドール施作に携わってるうちに彼女たちに感情移入

してしまった。

で、今度の企画で新材料を使っての新しいラブドールを試作することになった。

その試作品の企画製作を曽良は社長から任された。


全ての工程を曽良がひとりが初めて携わるわけだ。

試行錯誤、苦労した末に試作品「プロトタイプ」は完成した。

ラブドールが自分で作ったんだから、そりゃ自分のタイプの顔をしているわけで。

そして彼女の名前は「絵留える」になった。


あとは完成披露を待つだけ・・・その間、曽良が作ったラブドール「絵留える」は会社のショーウィンドウに飾られた。

外からも見えるように・・・。


だけど完成披露を待たないうちにヘヴンズ・ドアは倒産した。

せっかく頑張ってラブドールを作ったのに・・・。

で、会社からはスズメの涙くらいの退職金が出た。


曽良は自分が作った「絵留える」がこれからどうなるのか考えると気になって

このまま会社を去る気にはならなかった。


(きっと、会社の粗大ごみと一緒に処分されるんだろうな)


そこで曽良は社長に、せめて自分が作った「絵留える」だけでも引き取らせて

もらえないか交渉した。

どうせ、処分するつもりだし、河合君が作ったラブドールだから持って

帰ってもいいよって社長から承諾を得た。


だから会社の軽トラを借りてウハウハで「絵留える」をアパートに持って帰った。

そして、服も着せて愛玩用として毎日、鑑賞することにした。


本来ラブドールとはセックスを擬似的に楽しむための人形なんだけど

曽良は自分が作ったラブドールをとてもセックスの道具としては扱えなかった。


そして「絵留える」を持って帰ったその日の夜にそれは怒った。

風呂に入って一息入れた七星は、さあ寝るかって思って「絵留える」になにげに


「おやすみ」


って言った。


そしたら


「おやすみなさい」


って「絵留える」が応えたんだ。


「え?・・・なに?・・・なに今の?」

「今の誰が言った?・・・もしかしてこの部屋幽霊でもいるのか?」

「それとも僕の空耳?」


そしたら、いきなりだった。

絵留える」が動いたのだ。

そして曽良の顔を覗き込むように首をかしげると言った。


「幽霊でも空耳でもありません、私です」


「わっ・・・・わわ、「絵留える」が動いた?・・・でもって言葉を

しゃべってる・・・うそだろ?」


曽良は、あまりの状況に腰が抜けそうになってソファにへたれ込んだ。


しかも見た目、もうラブドールでも「絵留える」でのないし、見たことない

まったく知らない女がそこにいた。


絵留えるじゃない・・・君、だれ?


「私、そんな変な名前じゃありません」


「私の名前は絵麻えま


「えま?・・・える・・・えま?・・・一文字違うだけじゃないか・・・」


「ごめんなさい驚かせて」

「だけどラブドールのまま、じっとしてるなんてできなくて・・・」


「なに?どういうこと?」

「なんで?さっきまでラブドールだったのに、絵留だったはずなのに・・・」


「私、天使です」


「て?てんし?・・・・てんしって?」


「だから天使ですって・・・天界に住んでる可愛い天使です」


「天使なんて、そんなのいるわけないじゃん」


「天使はいます」


「おっと、スタッフ細胞はあります、みたいな言い方」


「とにかくあなたに信じてもらうために、これから事実をお話ししますね」

「聞いてます?」


「あ・・・聞いてるよ・・・ちょっと放心状態気味だけど」


つづく。

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