異世界ダンジョン転移!最強のダークロードが目指すのは快適な怠惰ライフ

うさぎ

プロローグ

目が覚めたとき、篠崎優斗は見知らぬ天井を見つめていた。正確には、見知らぬ洞窟の天井だった。天井には緑色に光る苔が生え、奥からは水の流れる音がかすかに聞こえてくる。


「ここは…どこだ?」


優斗は自分の声が洞窟内に反響するのを聞きながら、硬い石の床から体を起こした。ふかふかのベッドではなく、ゴツゴツとした石の床で目覚めたことに違和感を覚えた。


周囲を見渡すと、洞窟の構造が異常に明瞭に頭に浮かんできた。洞窟のレイアウト、モンスターの配置、罠の位置まで詳細にわかる。まるで自分がこの場所の一部になったかのような感覚だった。


「まさか、俺がダンジョンマスターに…?」


優斗は驚きながらも、次第に思い出してきた。彼は元々、VRMMORPG『ダンジョンマスターズ』の中で最強のダンジョンマスター、「ダークロード」として君臨していた。しかし、ゲームのメンテナンス中に突然意識を失い、気が付けばこの異世界にダンジョンごと転移していたのだ。


「働きたくないのに…ダンジョンマスターなんて、面倒くさそうだ…」


優斗の唯一の願望は、何もしないでのんびりと暮らすことだった。だが、この状況を利用すれば、思い通りの生活が送れるかもしれない。ダンジョンマスターとしての特権を駆使し、快適な生活を手に入れるための計画を立て始めた。


そのとき、洞窟の奥から足音が聞こえてきた。優斗の前に現れたのは、彼がゲーム内で作り上げた最強の部下たちだった。


「ダークロード様、ご無事で何よりです!」


先頭に立っていたのは、アンナという名のデーモンの女性だった。長い黒髪と鋭い目つきが特徴で、彼女は優斗が信頼する副官として数々の戦いを共にしてきた。


「アンナ、お前もここにいるのか?」優斗は驚きながらも安心した表情を見せた。


「もちろんです、ダークロード様。我々全員、あなたと共にこの異世界に転移してきました」とアンナは答えた。


続いて現れたのは、巨体を誇るオーガの戦士グロッグ。彼は圧倒的な力で敵をねじ伏せる頼もしい戦士だった。


「ダークロード様、俺たちがここにいる限り、誰もこのダンジョンを侵略することはできません」とグロッグは力強く宣言した。


さらに、優れた魔法の使い手であるエルフの魔術師リリアも現れた。彼女は知識と魔力でダンジョンを守る重要な役割を果たしていた。


「ダークロード様、この異世界でも我々はあなたのために尽力いたします。どうか指示をお聞かせください」とリリアは頭を下げた。


優斗は彼らの顔を見渡しながら、心の中で決意を新たにした。この異世界で快適な生活を送るためには、彼らの力を最大限に活用しなければならない。


「よし、まずはこのダンジョンを最強の要塞にするための計画を立てよう。アンナ、グロッグ、リリア、それぞれの役割を確認しながら動いてくれ」と優斗は指示を出した。


「かしこまりました、ダークロード様!」三人は一斉に応答し、行動を開始した。


優斗と彼の部下たちは、ダンジョンの中心部にある管理室に到着した。ここには、ダンジョン全体を監視し、管理するための魔法の装置が備えられていた。優斗はその一つ一つを確認しながら、計画を具体化していった。


「まずは、このダンジョンの地図を作成し、各エリアの役割を決めよう。安全な居住区、資源採取エリア、冒険者用のチャレンジエリアなど、効率的に分ける必要がある」と優斗は指示を出した。


アンナは手早く地図を描き始め、優斗の指示に従って各エリアを配置していった。彼らの目指すダンジョンは、単なる洞窟ではなく、鉄壁の要塞として機能する最強の拠点だった。


「次に、必要な設備と資源のリストを作成し、それを基に調達計画を立てよう」と優斗は続けた。


リリアは頷きながら、「すぐに取り掛かります」と答えた。


こうして、優斗の新たな挑戦が始まった。働きたくないという願望を持ちながらも、彼はこの異世界で最強のダンジョンを作り上げるために動き出した。果たして彼の計画は成功するのか?そして、本当に働かずに快適な生活を送ることができるのか?


異世界でのダンジョンマスターとしての試練と冒険が、今、幕を開ける。

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