No title

人類最弱

第1話 別れ

分厚い雲が輝いていた空を覆っていく。間もなく雨が振り始めた。雨粒が地面に叩きつけられる音は痛みに嘆く声のようだった


「なんで全員が幸せになれないんだろう」


そうつぶやいた。当然だ。誰かが笑ってる裏では誰かが泣き、誰かが幸せになっている裏では誰かが苦しむ、そんな世界だ。


 目を覚ましても雨は降っていた。俺はどうも雨が好きではないらしい。心がざわつく。何も考えずスマホを開く。しばらくニュースを眺めていると鈍い通知音が鳴り響いた。彼女からだった。


「私達もう別れよう。今までありがとう」


そう書かれていた。抵抗する気は起きなかった。涙さえも流れなかった。そんな別れからこの物語は始まる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る