転生した私は推しと結婚したい!!
萃玥
第1話
「フィリックス様結婚してください!!」
この物語のヒロイン、マリア・ルノワールが言うと困った顔をした陛下はこう言った。
「俺はお前などと結婚する気は無い、出ていきたまえ。」
「えー!結構いい仲までいったじゃない!ここで終わりなの…作者様酷すぎるよ。いくら脇役のルーシェが好きだからと言って。私ならマリアを幸せにできるのに。」
25歳独身。私、佐藤 彗はブラック企業で働いているため毎日0時に家につく。寝落ちるまで小説を読むことだけが生き甲斐だった。そんなある日、「今日は早く帰れたー!」と思いながら横断歩道を渡った時信号無視をしたトラックがこちらに突っ込んできた。
チュンチュン…
外からの鳥の鳴き声とともに眩しいほどの光が入ってきた。
「マリア様!マリア様!起きてください、今日は待ちに待ったデビュタントですよ。準備が山ほどあるんです。」私は目を擦りながら「もう少しだけ…」と言った。
少しして、マリアと呼ばれたことに驚いて飛び起きた。
「やっと起きましたか、おはようございます。今日はいい天気ですよ。」
ちょっと待って、マリアって言った?聞き間違いかな?
目を擦りながら辺りを見渡すと、小説の表紙で見た深緑色のソファがみえた。
てことは、私はあの日トラックに轢かれて死んでしまったのね。まだ会社の書類を整理し終えていなかったのに!タイミングが悪すぎる。
「貴方誰?」
「マリア様?私はヴェルですよ!寝ぼけてないで早く顔を洗ってください。時間が無いんですから。」
そう急かされ急いで洗面所に向かうのだった。
3時間後…
「出来ましたよ。今日は薔薇色のドレスにパールを使ったネックレスです。」
日本ではドレスを着る機会はなかったので、コルセットのキツさに驚いた。それに、ドレスはオーダーメイドでつくっているので職人が一着つくるのに20日ほどかかってしまう。そのため普通は会場準備を始める頃につくりはじめるらしい。ただ、今回は私が海に落ち寝込んでしまったせいでギリギリになっていた。職人が頑張ってくれたおかげで何とか間に合うことが出来た。
「マリア行くぞ。」
そう声をかけたのはルジェロ公爵、つまり私の父だ。冷血公爵だと皆から恐れられている。
「はい、お父様」
馬車に揺られてしばらくすると皇宮が見えてきた。
「貴族が沢山集まる場だ、くれぐれも言動には気をつけるように。では行こうか。」
深呼吸をして、前を向いた
「ルジェロ・ルノワール公爵様、マリア・ルノワール令嬢が入場します。」
公爵家に関わっている方々への挨拶が終わり、
「私は他の令嬢方とお話してきますね。」
「あぁ、行ってこい。私は陛下が来るまで待つとしよう。」
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