内輪ノリを世界へ。【配信者界隈を荒らすやべーやつら(男1女2男の娘1)、湿度高め発言のせいで恋愛リアリティーショー扱いされてしまう】
棗ナツ(なつめなつ)
第1話① 就職失敗俺、友達に黙って配信したらバズる
『ごめんなさい!弊社倒産しました☆
従って採用はできないんですが、貴様のさらなるブレイクスルーをフルマインドでお祈り申し上げるで候☆』
「…………は?」
3月某日。
大学院卒業を控えた俺、
「意識だけじゃなくリスクも高かったか……」
お笑いサークルの活動とネトゲとアニメとFPSとカードゲームとその他諸々に労力を費やし、見事に就活で出遅れた俺は、めっちゃ楽しそうなベンチャー企業にどうにか就職を決めたものの。
新卒入社1週前とかいうデッドラインで、「倒産したので採用できないよてへぺろ☆」というメールを送ってきやがった。
てか文面が一番腹立つ。パリピと敬語と意識高い言語と戦国言葉がローテーションしてる。いっそセ◯テンススプリングにでも送ってやろうか。
「いや………どうすっかなァ…………」
目の前に提示された、お先真っ暗な現実。
そんなリアルに対し、この物語の主人公たる俺は。
「とりま
―――即決で、現実逃避を始めた。
「今日もVTuberが配信してて草。百合ネタ提供乙。本日の眠りのお供にさせていただく」
フォローしている配信者、VTuber、芸人、その他諸々有名人の数多の告知に、オタクらしく合いの手を入れていく。
「…………お、これは」
そんななか、何気なくタイムラインに流れたとある告知を見て、俺は一つの決意を固める。
「…………とりま、あいつら呼び出すか」
そして、それが壮大で阿呆な喜劇の序章だとも知らずに、とある奴らに
◇
「うわー!!面白そうやるやるぅ!!乗るしかないよね、このビッグウェーブに!!」
業務中にも関わらず役員室で某動画サイトを見ていた女―――
◇
「今日は優しいラブコメの気分だったんだけどこりゃ話は別だね。全員ボコしてシメてやる」
自然豊かな公園でパンクロックを聴きながらラブコメを執筆していた女―――
◇
「あのさぁ………もう冬弥君の唐突さにも慣れてるけどさ………僕仕事中なんだけどな………ふふっ」
繁華街のカラオケで馴染みの客と同伴していた男―――
◇
そんな訳で、夜21時。
デスクの上には、ゲームの画面。
左に、
右に、
ボイスチャットを繋げ、ゲームを繋げ。
4人と、そして世界と繋がり。
いつもと変わらない、けど少し違う、俺らの宴
―――みんなでやるゲームの時間が、始まる。
◇
「しゃぁ!!俺等以外全員敵だぞォ!!」
『『『ふぉー!!!』』』
「という訳で、ご覧の通り今回は4人×25チームで行われるバトロワFPS―――『
『いぇーい!!楽しみ!!』
『ゲーム名和訳すると『盲腸』なんだけど。何処が盲腸なのコレ』
「なぁ秋那。そういうところにマジレスするのどうかと思うよ?所詮ゲームだよ?」
『所詮とか言ってるゲームのしすぎで就職失敗した男が何か言ってらっしゃるwww』
「失敗じゃねぇよ!来週から働く職場がたまたま倒産しただけだよ!!」
『大丈夫だ、問題ない』
「茉夏さんや。ネットミームで励ますのは逆にイジりなんですよ」
『僕は冬弥の気持ち、分かってあげたいけどな。大変だよな。つらいよな。僕の胸に飛び込んでおいで』
「おい黙れクソホスト。その甘い言葉で何人の女がホス狂になってると思ってる。イケメンは死ね」
『……ねえ、なんで僕だけ名前読んでくれないの?』
「めんどくさ」
『だから君は彼女ができない。女の子はディスれば良いとでも思ってるんでしょう?』
「お前男だろ。あー春河春河。これでいいっすか」
『合格』
「何様やねん」
『キマシタワー!!』
「ねえ茉夏、今の何処に百合要素あったのか教えてくれるかな?」
『なんで百合だったか、明日まで考えてきてください!』
「ミームだけで会話できると思うなよ?」
『YOU LOSE!!ふ◯っきゅー!!』
「秋那さん、小説家なら日本語放棄しないでください」
『え?私の日本語力にあんた程度が勝てると思ってんの?』
「そこまでは言ってない」
『
「急に方言出すなや。キレられても何言ってるのか分からんわ」
『はーつっかえ。ほんまやってられんわ』
「猛虎弁使う小説家とか聞いたこと無いんですけど?」
『冬川弥児www』
「いい加減黙れな◯J民」
『………冬弥、そろそろ始まりそうなんだけど』
「あっやべ………
えーっと、今回参加するアッペの大会は2回の合計スコアで競います。
拾った武器使いながら戦って、相手を倒していって、最後まで生き残れるようにしましょう」
『しゃー!頑張るぞ!!』
『急に大会って言われたからびっくりしたけど、みんなでやるなら本気出さないとね』
『それはいいんだけどさ……なんで今回こんなに説明口調なの?』
「…………まぁ4人揃ってアッペするのは初めてだしな」
『そーだね!わたしとアキちゃんとハルくんの3人ではよく潜ってるけど!』
『毎回マナが誘ってくれるからね。いっぱいボイチャで話してくれるし、私この子大好きだわ』
『茉夏さん、ハチャメチャなリードするんだけど意外とハマるんだよね………。僕も頼りにしてるよ』
「…………え?俺だけ仲間外れ?」
『おめぇの席ねぇから!』
「正しい使い方です。とても腹が立ちます」
『ごっめーん!私だけはそんなふうには思ってないよ!冬弥は、トクベツな友達だもんね☆』
「本性見てる俺には秋那の外面モードなんて効かねえんだよなぁ………」
『すまない、君を傷つけてしまった。けれど、悪いのは君だって分かるよね?うん、全て君が悪いんだよ?』
「うっわDVホストってこういうふうに女の子追い詰めるんだ」
『悪いなとや太、このヘリコプターは100人用なんだ』
「とや太って何だよ。の◯太くんに寄せるならもう少し捻れよ」
『きゃぁ☆私こわぁぃぃ☆一緒にスカイダイビングしてぇ☆』
「俺とタッグで行く時『しゃオラァァァ!!殺戮の天使がテメェらボコしてやる!!』とか言ってるよね。今さらぶりっ子しても遅いよね」
『取り敢えずマップ中に歌舞伎町を探して………と』
「ねぇよ。このマップが東京な訳ねぇよ」
『そっか。バトロワするなら瀬戸内海の島だよね』
「ん………?なんのことや………?」
『春河、今の時代本家バ◯ル・ロワイアル見てる人の方が珍しいと思うよ?』
「あー………元ネタを拾えなかった………俺は芸人失格だ………」
『あーほら言わんこっちゃない。自称芸人のニートが落ち込んじゃった』
『あ!わたし魔法少女同士でバトロワしたい!!絶対楽しい!!』
『マナそれもう先駆者居る。魔◯少女育成計画っていう』
『僕はニチアサでバトロワやったら面白いと思うんだけど』
『それもあるんだよ。龍◯っていう名作が。しかも20年以上前に』
『ラ◯サーが死んだ!この人でなし!』
『もうそれ確信犯じゃん……
てかツッコミ役どうしたのさ。私もうツッコミ疲れたんですけど!?ボケたいんですけど!?』
「…………あー、取り敢えず怒られそうなネタはお休みの方向で………」
そう言いながら、戦場を駆け始めるキャラたちを尻目に、俺は左の画面を見る。
そこに書かれていたのは。
【ドッキリ】友達をAppendix配信者チーム戦に無断で出場させてみた【俺以外配信されてると知りません】……というタイトルと。
1067人視聴中という、今日チャンネル開設した人間とは思えない同接数だった。
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