怪異レポート

月守夜猫

プロローグ

 まだ梅雨前だというのに寝苦しくなってきたある日の夜。俺は夢を見た。

 夢の中で俺はなぜか大通りの真ん中に立っている。あたりを見回してみるも特段変わったことはない。強いて言えば、大通りなのに車も人もいないことだろうか。そんなことを考えていると、前から背を丸めたお婆さんが歩いてくる。俺から少し離れた位置で止まる。顔を上げ俺の目を見て

「やっと見つけたよ」

そう言われた瞬間俺は目を覚ました。

 すごく短い夢だったがとても気味が悪かった。

 今思い返してみればこれが俺が怪異と関わった初めての出来事だった。

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