異世界転生したけど、スキル『選択肢』がウザすぎる。

あるたいる

プロローグ

『正義』の逆は別『正義』だと、昔誰かに聞いた気がする。そして、同時にこうも思った。『正義』の反対が別の『正義』だと言うのならば、『悪』とはなんなのだろうかと。


昔は幾ら考えても答えなんて出なかったけれど、今なら少し答えがわかる。この世界にはきっと『正義』も『悪』も存在しない。あるのは最後に残るのは、『選択』と『結果』だけなのだ。




▼△▼△▼△▼





『言葉は抜き身のナイフである』


我々はこの言葉の指す意味を、本当に理解しているのだろうか。理解出来ていないのであれば、ソレは間違いなく言葉を扱う存在に有るまじき怠惰であり、『罪』でもあるのだろう。







▼△▼△▼△▼









※これから起こることは全てノンフィクションであり、諸君等の如何なる選択に我々は一切の責任を持たぬ事をここに記す。




______夢だ。そう、はっきりと分かってしまう位には、意識と体の輪郭が薄明でふわふわとしていて、ぼんやりしている。


手と身体はあるのに足は見当たらないし、おまけに顔も触感も匂いもしない。その癖して『立っている』感覚だけはあるものだから、認識してるものとの齟齬に頭が変に混乱する。まぁ、認識的に言えば頭も無いので、一体全体が混乱しているのかは分からないが。



※以上の事に同意した者にのみ、この先に進む権利がある。


Q.同意しますか?


《YES》 《NO》



状況が理解出来ていない俺を置いてけぼりにしながら、目の前の巨大なモニターに次々と文字が浮かんできては、最後の問い(?)の様な物を最後に画面が止まる。


他に注視するべきものが存在し得ない部屋だからなのか、それとも俺の夢だからなのか、モニターから目が離せない。


それにしても『先』とはおかしな事を言うものだ。俺には、『先』なんて無いはずだ。


_________何故なら俺は、これから起こりうる全ての先を諦めたのだから。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る