要塞

要塞

私は人間が大嫌いだ!

私は小中高大と学業に専念してきたが、学んだことはただ一つである。

「人間を信用してはいけない」

愚かにも人間を信用していた中学生の私は大変愚かなことに女子中学生の「好き」というきまぐれを本気にし、それから3年間比喩でなく泥水を啜らされてきた。屈辱であった。

啜らされた泥水が存分に染み込んだ私の脳は徐々に、しかし確実に人間を拒否し始めた。

現代のすべての人間は本能によって動かされてるだけである。そこに高等文明を持つオエライ人類の影は無い。自分はそうではない、文明的な人間様であると言う奴はその膨大な性欲をガンジス川に流してから出直してこいである。

高校生活の悲惨さは書くまでもない。

大学では心理学を専攻し、人間の心理がいかに不確定で大衆意識に支配されているかという分厚い論文をしたためた。私の熱い思いが籠もった論文を読んだ教授はさぞ感銘を受け、人間が大嫌いなあまり自己嫌悪に陥り家から出られなくなっていることだろう。

私は壇上で熱烈に語る。「人間は信用できない。ゆえに、それぞれが孤高に生き、いつかは滅びるべきである!」

愚かな人間共から声が上がる。「それって、人間と関わらないための口実で、本当は人間が怖いだけじゃないの?恥ずかしい奴め」うるさい!これだから人間は嫌いだ。




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