急患です!

双葉紫明

第1話

先生、急患です。

ふむ。

やあ、はじめまして。

うん、40歳。

罹患率が高まる、いや、抱えてた病根が症状として表出しやすい頃合いだね。

なに?離婚してる?

安心したまえ、僕もだよ。

うん。

異常なし。

あなたは立派なIAN1患者だよ。

末期だね。

ステージ4だ。

手の施しようがない。

カウンセリングに週に1度か2度通うと良いよ。

あと、やっぱり酒は控えるべきだね。

時々吐き出してれば、なんとか生きて行けるんだから。

ひとりで抱え込んで拗らせたら厄介だ。

最悪通常の生活に支障を来たし、死に至るだろう。

なに?

ヤブ医者?

そうかも知れないね。

けど、この病気を治せるかは別にして、診断してくれる医師は僕以外には居ないんだ。

安心するんだろ?

病名付ければさ。

しょうがないやって。

馬鹿に付ける薬はないし、馬鹿はしななきゃ、いや、死んでも治らないんだ。

その中でももっとも重篤な症例。

i am No.1症候群。

まあ、誰もがそうだから、僕は食いっぱぐれないんだ。

どうだ、賢いだろ?


あれ?

患者さんは?


先生、怒って帰っちゃいましたよ。

これで今日も5人。

わたしのお給料、出るのかしら?


ぎくり。

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