老いてもナース

柚月

終生ナース、ここに爆誕

昭和ひと桁生まれの母は、田舎の高等女学校を卒業し、看護学校に入学。

まだ「看護婦さん」と呼ばれていた時代。

つば広の帽子をかぶり帰省する母は、ハイカラなべっぴんさんと言われていたそうだ。


無事に看護婦となった母は、同郷の「近所のお兄ちゃん」と結婚。昔から知ってたから安心だと思ったらしい。

そんな父の話は、また別のお話……。


個人病院から総合病院まで、いろんな病院でキャリアを積み、定年後も医師に請われて、老人看護の責任者兼訪問看護師として働いた。


私は忘れた頃に思いがけずできた次女。姉とは11歳差。今と違って、当時は高齢出産。

同級生の母親より年上なことを申し訳ないと思っていた様子。私は全然気にしていなかったけれど。


姉は心臓が弱く、20歳まで生きられるかどうかと言われていたので、母曰く「貧乏嬢ちゃん」として大切に育てられた。

その甲斐あって、姉は無事に成長した。


姉を過保護に育てた反省と、歳を重ねた経験値から、私には放任主義。

父方の祖母と同居していたこともあり、物心ついた頃から、母はずっと働いていた。

専業主婦が多い時代、共働きで、しかも看護婦というのは珍しかったようだ。

小学生の頃、学校から帰ればお母さんがおやつを作って待ってくれている……そんな家庭に憧れはあったけれど、それでも、働く母は誇らしかった。


こうして普通の母親とはひと味もふた味も違う、ナースならではのエピソード満載の暮らしが始まった。

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