第8話 イヴとアルテミス
一通りアルテミス様の「サイズ確認?」が終わり、アルテミス様は、再度別空間へと両手を入れ、ガサゴソと何かを始めた。
聞くと服作りを始めると言う。
私も裸姿で、恥ずかしかったが、サイズ確認が終わったあとにアルテミス様が大きなタオルを一枚貸してくれた。
私はそのままもらった借りたタオルを体に巻き、服の出来上がりを待つことにした。
「も〜、なんで同性に体を見せるだけでそんなに恥ずかしがってるの〜?」
「同性だって…恥ずかしいものは恥ずかしいんです…」
「そういうものなの〜?」
「そういうものです…」
私はタオルを巻いたまま、アルテミス様の作業を見ている。時折、「こうしたほうがエロいか…」など言っているのが非常に気になるが、服を作ってもらってる以上何もいえない。
とりあえず軽く圧だけかけておこう。
…ジーーーー…
アルテミス様にジトっと視線を送り、軽く圧をかけていると、こちらに気づいたのか私の方を向きニコッと笑った。その顔は何か楽しくて仕方がないといった顔が窺える。
きっとロクでもないことを考えている…それは間違いない。
「そんなに気にしなくても、変なものは作らないよ〜だ。これからのこともあるしね〜。それとイヴはなんだか胸とかスタイルを気にしてる節が見えるんだけど、これも気にしなくても大丈夫。『私の力を受け取る条件』として『私と限りなく相性が合う』ことだからね。断言できるよ!イヴは将来、私と同じ美人さんになる。だから気にしなくてだいじょ〜ぶ!」
何か大事なことを言われた気がしたが、それを打ち消すように、服作り中のアルテミス様は手を止め、私のほっぺに顔をスリスリしてきた。
「アルテミスさまっっ!?」
「ふふっ!イヴはかわいいねぇ…」
しばらくスリスリが続いたが、スリスリを終えると、アルテミス様はまた服作りの作業へと戻っていった。
※ ※ ※
しばらく服作りとアルテミス様のセクハラじみた行動を繰り返していると、アルテミス様が作業をしながらではあったが、口を開いた。
「ねぇ、イヴ?服作りはもうちょっとかかりそうなんだけど…その間ちょっとだけ真剣な話をしようか?」
今までとは変わり、少し声のトーンが下がった気がした。これはきっとちゃんとした話な気がする…そんな気がした私は真剣な面持ちでアルテミス様の話を聞くことにした。
「まずは〜…イヴは私が予言として『メリル』に言葉を送ってるのは知ってるね」
私はコクッと頷いた。メリルとは大婆様のことだ。
「じゃあ…これは知ってる?私の言葉はね。メリルだけじゃなくて、この大陸を含めた4大陸に1人ずつ…私の言葉を受け取れる者に予言を送ってるの。だからイヴが生まれるのは各地に伝わってるんだ」
「え?」
それは初耳だった…大婆様しかアルテミス様の予言は聞けないものかと思っていた。世界各地に私が生まれたことが知れ渡っているとは…
だとするならば…
「アルテミス様、お言葉ですが…なぜ私の誕生を世界に知ってもらう必要があったのですか?それに予言には私が旅立つって…」
そう言うとアルテミス様の手がピクッと止まった気がした。
「それはね。単刀直入に言うと君に成してほしいことがあるんだ。だからイヴをこの世界に転生させたんだよ」
「え?……てん…せい?」
私、転移じゃなくて転生だったんですか。私はあの日何事もなく寝たはずだった。転生ということは死んだということになるのか…一体何があの夜にあったのだろうか…
「なんでって顔をしているね。君の元の世界での死因は、一酸化炭素中毒…夜遅くに放火魔が現れてね。それで君は煙を吸いすぎて死んじゃったんだよ」
「はぁ…」
アルテミス様の話を聞いてポカンとしてしまった。死因はどうでもよかった。「私…死んじゃったんだ…」それしか頭に出てこなかった。
だが私は、1度死んだはずなのだが、今この世界で現在進行形でこの世界で生きているため、『死』という言葉に実感がわかないというのも事実である。死んでしまった以上、切り替えるしかない。
とりあえず話を続けることにしよう。
「それで…なぜ私がこの世界に転生されたのですか?」
「それはさっきも言ったね。この世界で成して欲しいことがあるのと、私の力を託せるのは全ての世界において君しかいなかったんだ。それで君が死んだ直後にこの世界に転生させてもらった。まぁ…生きてても無理矢理転移させてたけどね。それとこれからはイヴ…君に成してほしいことを話そう」
アルテミス様はそう言うと、私の方へと寄ってきて、頭に手を置き言った。
「これから起こる未来の世界…自分で見てくるといいよ」
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