第7話
藤本要はわからせたい①
「やっぱりあいつら、家を乗っ取るために娘を探してたんだなー」
クソみたいな奴らだぜ、と吐き捨てながら要は昨晩の親子面談を思い返した。
継母のギーボのあからさまな態度。
連れ子の妹ヒルダも心の底からバカにしてたし。
実の父親であるワルイオスなんかは面倒な存在だ、と疎ましく思ってたようだ。
他人である要から見ても愛されてないのは一目で分かった。
さーてどうしたもんかなと部屋で考えている時、ガラスが割れて窓の機能を果たしてない木枠を突き破って外から氷の雨が降り注ぐ。
攻性魔法だ。
着弾地点をこの部屋にして仕掛けやがったな?
随分なモーニングコールだと身を伏せながら犯人を待ち伏せる。
ベッドにまでは届かなかったが、剥き出しの床は今のでズタズタになっていた。
これじゃ歩くこともままならない。
むしろそれが目的なのだろう。
イジメの度をこしてるぜと悪態をつきたくなった。
そしてノックもなしに入ってくるヒルダ。
ノックの代わりに攻性魔法でのノックだ。
ズドドドド、と煩わしいったらありゃしない。
そんなに魔法を自慢したいのか?
「お姉様、おはようございます! 昨日はゆっくり眠れたかしら?」
やっぱりこいつか、妹のヒルダ。
表向きこそ、可愛げのある妹だが、選択する魔法がいちいち攻撃的だ。
魔法とはイメージである。これは要の言い分だが、魔法には感情がストレートに現れるものなのだ。
表向きはどんなに繕っても、こういうところでボロが出る。
さーて、ここはどう対処しようかね?
いや、普通にやり返そう。
むしろ昨日の今で堪忍袋の緒はとっくに限界を迎えていた。
この女は実に堪え性がない。
「ええ、おかげさまで」
表面上では一切動じず、笑顔で相対する。
今何かしたの? ぐらいな余裕を持っての挨拶だ。
むしろ、いいことを閃いたとばかりにその場で指を鳴らして見せる。
ただそれだけ。
先に吹き出したのはヒルダの方だった。
「ぷ、なあに、それ?」
心の底からの嘲笑。
その油断が命取り。
要はニコリと笑いながら、答え合わせをした。
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