第4話
おっさん、弟子と向き合う①
翌朝。
洋一は昨晩から行方をくらませた弟子のヨルダの捜索を始めた。
「全く、あいつめ。まだやってもらいたいことはいっぱいあるっていうのに。どこいったんだ?」
洋一はどこかで隠れて息を潜めてるヨルダに向けて声をかけて回った。
昨日は迂闊だった。
まさか女の子だったとはな。
相変わらず人を見る目がないものだと愚痴が口をついて出る。
洋一とて、別に相手が女の子だろうと態度は変えやしないのに。
そんな考えではあるが、それは男であるがゆえに至らぬ考えでもあった。
かつて相棒の
能力が低い、搾取される側の女は、男とは求められる需要が異なると。
それが尊厳に向くとは思いはしても、男であるが故の危機感の低さが招いたすれ違いでもあった。
「まったく。ヨッちゃんに慣れ親しみすぎて一般女性との距離感の取り方を忘れちまった」
焼きが回ったものだ。
それを一般人女性にやればどうなるかなんてわかっていただろうに。
「怖がらせちゃったな、会ってきちんと謝らないと」
自身と同様に屈強な男に怖い思いをさせられた過去があったのかもしれない。
そこに考えを回せなかったのが敗因だ。
見つからない焦燥、そしてこの間違いがきっかけで疎遠になったら自分を許せなくなる。洋一はヨルダの名前を呼びながら、森を駆けた。
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