第18話 美少女

それから、シスターな妹を呼んで貰うと……


「…………オイ! フィン!!!

何だ!? あの白髪の美少女は!!!」


「僕の妹ですよ。」


なんと!!! これは、たまげた!!!

フィンの妹は、絶世の美少女だった。


確かに、フィンも男にしては可愛い顔をしていると思ってはいたが……

妹は、まごう事なき美少女!!!


これは、俺の男心がくすぐられる。


「おかえりなさい。お兄ちゃん!」


「ただいま、サラ!」


なんと、彼女はサラと言うのか!!!

その見た目に合って、なんとも素晴らしい名前だ!!!


「サラ、君の病気を治せるよ。」


「…………ほんと……」


そう言うと、サラは泣き出してしまった。


それはそうだ!


サラも10歳、自分の病気の事は分かっている。

そして、その病気を治す為に両親やフィンが頑張っている事を……



それからフィンは、妹の病気を治す為に

魔吸石で、サラの魔力を吸い出すと……


魔吸石は、砕け散った。


「成功したのか?」


「分かりませんが……何か変です。

普通は、魔吸石は壊れませんから……」


「ちょっと、俺にサラちゃんを見せてくれないか!!! 変な意味じゃないんだぜ!

病気を見ようと思って……本当に、やましい気持ちなんて無いから。」


「何も言ってませんよ。

ドック、僕からもお願いします!

サラを見て下さい。」


「おう! 任せろ。」


そして、俺はサラに触れてみると……


「…………何だ!? これは!?

この子、物凄い魔力量だ!!! 俺より凄いんじゃないか!?」


『はい。

サラ様は、マスターより多い魔力を保有しています!

しかし、その為に長く生きる事が出来ない模様です。』


「いや、でも……魔吸石で、魔力を吸収したはずでは!?」


『魔力量が多すぎた為に、全てを吸い尽くす事が出来なかった様です。』


「いや、まて! 魔吸石で吸ってこの量って……ヤバくないか!?」


『はい。

しかし、魔吸石の効果により。

サラ様の寿命は、少しばかり伸びた模様です』


「少しばかりって……

正確には、サラは後どのくらい生きられる?」


『大まかな予想ではありますが……17歳前後だと思われます。』


17歳……17歳のサラちゃんは見れるのか。

いや、まて……大人になったサラちゃんも見たい!!!


「大賢者! どうすれば、助ける事が出来る!?」


『もっと、大きな魔吸石があれば治療可能かと思われます。』


それなら、俺の取るべき行動は一つ!

ラサちゃんの成長した姿を見る為に……


「フィン!!! 聞こえてるか!!!

もっと、大きな魔吸石を探しに行くぞー!」


「ありがとうございます。

ドック!!!」



それから俺達は、サラに病気は少しは良くなったが……完全には完治してない事を説明する。


そして、病気を完全に治す為に、すぐに旅に出る事を伝えると……


ラサは、少し寂しそうな顔をしたが


「無理はしないで……」


そう言って、送り出してくれた。


そして、さらに大きな魔吸石を求めて!

新たなダンジョンを探す旅に出た。

俺達は、元居た街とは反対方向に森を進むと……モンスターに襲われている人を発見した。


「……何だあいつ!? さっきのフードの奴じゃないか? 戦っているのか!?

フィン! 面倒だから一気に仕留める体を貸してくれ。」


「分かりました。」


そうして、フィンに体を借りた

俺は……魔法を連発!!! 

一気にモンスターを排除した。


「……ハァ…………ハァ………………貴方達は、さっきの。

助けてくれたの!? レベル2が……」


毒にかかっていて顔色が悪かったので、解毒魔法をかけると……

ついでに、ヒールと汚れていたのでクリーニングとクリーンをかけた。


クリーンとは、クリーニングの応用みたいな物で、人に対して使えるクリーニングである。


「……何これ!? 貴方がやったの?

モンスターも一瞬で、倒したし。

もしかして、貴方って強いの?

なら、お願い私の仲間になって!!!」


「嫌だ! 先を急ぐらか、じゃーな。」


「ちょっと、待ってー!!!」


フードの女は、しがみついて来た!!!


「何だよ! 急いでんだよ。

離せ!」


「嫌! 話を聞いて!!!」


「俺は、急いでんだよ!」


「お願い! お願い! お願いお願い!!!」


「ドック……話くらい聞いても良いんじゃないですか!?」


『嫌だよ! めんどーな事に巻き込まれるだけだろ。』


「彼女、困っていますし……」


「たく……しゃーねーな! 話を聞くだけだからな。」


「ありがとうございます!

実は、私は魔王を倒す為に強い仲間を探しているのです。」


「そうなの……良かったね!

頑張って、じゃーね。」


「ちょっと、待って!!! 魔王ですよ。魔王!!!

魔王が世界を滅ぼそうとするのを止めたいんです。」


「興味がありません!

今は、魔王とか世界より大事な事がありますから。」


「世界より大事な事って、何よ!!!」


「サラちゃんの命!!!」


「…………確かに、妹さんの命は大事ですが……

世界と天秤にけると」


「お前、ふざけてんのか!? 殺すぞ!

俺からすれば世界なんて、どーでもいい。

それに俺はレベル2だ! お前が言ったんだろ。俺なんて役に立たないから興味ないと!」


『ドック……この子は、この子で必死に頑張っているのですよ。

それに、世界が滅んでしまっては、元も事もありませんし。

でも、まぁ……僕達の手に追える代物ではないと思いますが……』


『フィン……良く聞け! 俺は、俺が命を賭けるのは、世界の命運なんかより。

美少女の為に、命を張りたいんだ!!!」


「……それは……ごめんなさい!

謝ります! この通りです。」


フードの女は、深々と頭を下げてくる。


しかし、そんな事をされても俺の気持ちが変わる事は無い。


「ふんッ! いくら謝られても、俺の気持ちは変わらないね。」


そして、下げていた頭を上げるとフードが外れて少女の顔があらわになった。

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