第17話 大会1日目:団体戦予選②

長い開会式が終わり、まもなく団体戦の予選が始まる。くじの結果私たちは第3試合にD組と対戦することになった。


「それではお待たせ致しました!魔術大会1日目、1年生団体戦を開始致します!!」


その言葉にワーーー!!っと歓声が上がる。


「司会・実況は放送部3年、ダリオ・ブロードが担当致します!それでは早速予選第1試合へと移っていきましょう、第1試合はE組対G組です!」


司会者がそういうと選手たちがコロシアムのフィールド内に入場し、コロシアムの中央上空に浮かぶスクリーンにはクラス名と選手たちの似顔絵、選手の名前が写る。数日前に絵師に数時間拘束されたのはこのためだったのか。正直ちょっと恥ずかしい。


そしていよいよ試合開始だ。


「選手の入場が完了しました!それでは参りましょう!制限時間は30分、始め!!」


「ファイアボール!」

「グランドアーミー!」


試合開始の合図と共に選手がいっせいに魔法を繰り出す。双方特別作戦がある訳では無いようで、ほぼほぼ乱戦状態だ。


「すごい迫力だね!」

「そうだね、やっぱりみんな入学当初より魔法の扱いが上手くなってる気がするよ。代表だから特にうまいっていうのもあると思うけど。」

「あの中のどっちかと当たるかも知れねえから、しっかり見ておかねえとな!」


「隙あり!ファイアボール!」

「うわあああ!!」

「おおっと!G組1人ダウン、失格だ!」


選手を観察している限り、剣を使おうとする選手がほとんどいない。間合いを詰めるのが怖いのか、単純に魔法に自信があるのか、みんなひたすら攻撃魔法を打ちまくっている。そうすると完全に魔法の威力勝負なので、自然と全体的に魔力の高く、傾向が闇寄りのE組が優勢となる。


「ウインドショット!!」

「アースウォ……くそっ!」

「E組ベルガー選手のウインドショットが炸裂しG組が場外へ!」


実際E組がだいぶ押している。試合開始から15分経った現時点でE組は1人だけ場外、G組は1人は戦闘不能、1人は場外で残るはあと1人だ。


「ファイアランス!」

「ウインドカッター!」


「ぐはっ!」


勝負あったようだ。


「G組全員失格!勝者E組!」


「よっしゃ!」

「やったぜ!」


――――――――――――


「いやー凄かったね試合!」


「そうだね。」


「カナはあの試合見ててどう思った?なんつーかこう……選手の傾向とか、あいつらに勝つにはどうするかとか。」


「うーんそうだな……とりあえず、アランが結構キーになりそうってことはわかったかな」


「俺??」


「うん、そう。さっきの試合、結局誰も剣を使わなかったでしょ?帯刀はしてたのに。」


「それはただ単に剣術が苦手なんじゃ?」


「私も最初はそう思ったんだけど、実は前にG組の剣術の授業見たことあって、代表の人覚えてたから観察してたんだ。そしたらアランやジーク程でないにしろ、結構うまかったよ。それならどうせE組に魔法で負けそうなんだから、多少賭けでも剣で仕掛けた方がいいと思わない?」


「えーと……そうするとどうなるの?」


「要するに剣術スキルがある程度あっても、いざ実践になったときに使える人間は限られてるってこと。だから剣術で実践慣れしてるアランが前に出れば、良い牽制けんせいになる。確かアランは道場の師範のお父さんに散々しごかれてたんだよね?」


「なるほどな!そうそう、親父に比べりゃ学院の生徒なんて可愛いもんだぜ」


「頼りになるよ。でももちろんそれだけじゃ厳しいから、残りは私たちでカバーしないとね?ジーク」


「うんそうだね、頑張ろう!」


――――――――――


「さあでは皆さん!続いて第2試合はC組対H組の試合です!」


「それでは始め!」

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