第14話 番外編:そもそもこの世界は?

学院生活にも慣れてきたが、ここで頭から完全に抜けていた、いや考えないようにしていたことがふと頭をよぎる。それは




そもそもこの世界はなんなのか?




ということである。「乙女ゲームの世界って言ってたじゃん」と思うかも知れないが、なんというか、もう少し細かいところが色々分からない。


乙女ゲームに限らず、ゲームや小説、マンガなどの世界観やキャラクターというのは、当然だが創作物である。そのためその中身は筆者の思考に依存するし、何より筆者が考えなかった部分は存在しないことになる。


しかしそうするとこの世界の説明がつかない。なぜなら筆者は「キャラクターの見た目・性格」「魔術学院という学校の存在」は考えていても、「キャラクターがいつどこで何をするか」「魔術学院で実際どのような授業・イベントを行うか」などは考えていないはずだからだ。


例えば、私の友人であるジーク、マリー、アランは、少なくとも第1王子ルートでは一切登場しなかったし、他のルートで登場していたとしても一瞬だろう。なのに彼らは毎日学校に通い、自分の意志で行動している。筆者がその一挙手一投足まで描写したり考えたりしていたはずがない。


要するに、この世界は人間何人かが考えるにはキャパオーバーだし、明らかに乙女ゲームの構想には無かったであろう部分が多く存在するのである。例えるならば、ファイルサイズ500KBの写真をクリックしたら、ファイルサイズが20MB (≒20000KB)はあるはずの画像が出てくるようなものだ。


となれば有力となるのは


この世界はたまたま乙女ゲームの世界に似ているだけの、全く別の世界である


もしくは、


筆者はこの世界を知っていて、それを元にあの乙女ゲームを作った


この2つだ。だがこれも少々矛盾がある。


まず前者は乙女ゲームの世界とこの世界が似てるとかそういうレベルではない。第2王子なんて多少悪ガキ度が高かった気がするがほぼゲームのままだし、日常で見聞きする他の攻略対象者に関する情報も知ってる範囲では一致している。この似方は「たまたま」では済まされない。


後者は前者に比べると信憑性があるが、それはそれで筆者は何者なんだという話になるし、基本有名人揃いの攻略対象者たちについて知っているのはともかく、「ヒロイン」やママの一般市民の見た目や性格について知っているのは不自然だ。もっとも「ヒロイン」の人格に関しては私が取って代わってしまったので確認のしようがないが。


というわけで結局分からずじまいだが、そもそも乙女ゲームのシナリオは完全に無視しているし、かと言って私は元の世界に戻る気も無いのであまり関係ない話だ。もし考える必要が出てきたらその時はその時だ。


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