恥辱のサキュバススーツ 魔王の呪い

MenRyanpeta

第1話 魔王討伐 勇者の犠牲と引き換えに

キン!キン!ガキンッ!!ゴゴゴゴ!!!


魔王城最上階。

勇者リュート、魔道士のミラ、パラディンのガインは今まさに魔王との最後の戦いに挑んでいた。

両者実力は拮抗し、かなりの長期戦を強いられていた。

実際魔王もかなり疲弊しているようだ。

もう一撃、なにか強烈な一撃が入れられれば…


「く!人間風情が!」

「はぁ…はぁ…貴様を倒して…平和な世界を取り戻す!ミラ!ガイン!次で決めるぞ!」

「わかった!」「おう!」


リュートが魔王と大きく距離を取る。

ガインはリュート達の前に出て盾を構え、ミラはリュートに強化魔法を唱え始めた。

もちろん魔王がそれを見逃すことはなく、後ろに下がったリュートとミラに向けて闇魔法を放つ。

しかしガインの必死の守りの前に遮られる。


「くっ!ぐぅ!強い…!」

「猪口才な!砕け散れ!」

「ぐぅぅ!耐えきれん…ぐはぁっ!」


魔王の猛攻にガインは吹き飛ばされてしまった。

そのときミラの隣に一本の大きな光の柱がたった。


「はぁ…はぁ…ありったけを…注いだ!頼んだよ!」


ミラは全魔力を消費し、その場に倒れこんでしまう。

そしてミラの傍らの光の柱が消え、そこからリュートが現れた。

リュートはミラの最大限に盛り込まれた魔力を剣に一点集中させ、魔王に向かって突っ込んでいった。


「これで終わりだ!くらえぇ!」

「!!…く!まずい!」


魔王は瞬時に防御壁を展開したが、リュートの剣はその防御壁ごと魔王を一刀両断、胴体を真っ二つに切り裂いた。

上半身だけで這いつくばる魔王。

切断面から徐々に体が消滅していく。


「ぐはぁ!はぁ…はぁ…人間ごときに…負けるとは…ごふ!」

「はぁ…はぁ…くっ!しぶとい奴め!とどめだ!」


リュートは瀕死の魔王に斬りかかる。

しかし先の一振りに力を使い果たしたため、魔王に素手で剣を掴まれてしまう。

ガインもミラもその場に倒れこんでいて追撃をいれられない。


「やめろ!はなせ!この!」

「このまま…我は滅びる…がは!だが…」


魔王が不敵な笑みを浮かべる。

「我だけではなぁ…くっくっく…」

「な、なにを言って…!?」


その瞬間リュートの体に黒い触手が巻き付きついた。

必死に抵抗するリュートだったがどんどん足元に広がった闇に体が飲み込まれていく!


「ぐ!ぐむぅぅぅ!うぅぅぅ!!」

「永遠の地獄を…味わいがいい…がっはっはっはっ!」

「リュート!」「リュート!」


魔王は高らかに笑うと体が砂のようになり、消滅した。

そしてリュートは闇に消えてしまった。

ミラとガインはその様子をただただ見ていることしかできなかった。


大切な仲間を失い、打ちひしがれる二人。

ただその場で泣き崩れることしかできない。


「そんな…せっかく魔王を倒したのに…」

「くそ!くそっ!リュート…リュート!くぅぅ!」


魔王討伐によって国王軍と魔王軍の長きにわたる戦いは幕を閉じた。

多大な犠牲者と勇者リュートの命を犠牲にして。

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