第17話・イベント期間:短杖作り

 戦闘面の強化はいまのところエアウイングファルコンのところに行かなきゃ大丈夫と思われる。


 というわけで魔法強化するため、魔法攻撃力を上げる杖を作る。剣と共に扱えるように短杖、ワンドという物作りだ。


 トレントの霊木を使用して作ろうとログインする。現実世界での時間が経ち、果物、野菜、タマゴとミルクが貯まっていた。


「ありがとうリファ」


「もーまんたーい」


 AI搭載型だろうけど色々あるな。


 自分が来たからしばらくお休みに入るリファを見ながら、おっと気づく。


「トレントの霊木か」


 庭に果樹とは違う立派な若々しい樹が生えている。こちらの反応するようにゆさゆさと葉を揺らす。


 テイムモンスター扱い、『レント』というユニーク個体のモンスターがいる。トレントの実から生まれたようだ。


 緑の光を放ち、分身体として使役する。畑の管理などできるようで、戦闘ではなく農業でレベルを上げるようだ。変わったタイプだが、霊木の枝と霊木の葉が手に入るようになる。邪悪なトレントのドロップ品だ。少しレアだから助かる。


 杖の作成もしたかったから、材料はあるようだ。丁寧に作ろうと準備に入る。とりあえず付与の練習から始めよう。


 ◇◆◇◆◇


 リファも手を貸す中、なにかリファがしている。フラワー系の花を煮込んで色のついた液体を作る。それを煮詰めて絵の具を作っていた。


「これどー?」


「んー浸けたりすると効果変わるのか」


 しばらく失敗作として普通の木材で作った杖で塗装を行う。しばらくして【塗装加工スキル】を覚えた。


 ただ塗るのではダメらしく、なにかしら紋章があるようだ。ちょうど夜になりそうだから、図書館でバイトして本で調べに行く。力ある紋章と文字というものがあり、何も書かれていない本を買い、模写しておく。


 その後は拠点に帰り、練習で紙に書き続けた。


「おっとスキルか。これは【紋章刻印スキル】か」


 それっぽいね。刻んだり、描いたりして文字やモチーフを入れ込むらしい。それらしいのは複数レシピにある。モチーフ探しも良いようだ。


「ん? 待てよ」


 そう言えば黒猫の本も。あった、絵柄が書かれているページ。モチーフが増えた。


 とりあえずこれらを使って、火属性の魔法効果など上げる短杖を作ろうか。


 丁寧に丁寧に、色々作ってみた。


「結構失敗作もあるけど、成功作もあるな。性能的は優秀だぞ」


 少なくてもよほどの失敗作以外、通常の店で売られているものより凄い。



 火炎の短杖 生産者ノート 完成度6 品質★6


 トレントの霊木に古代の紋章と意味ある言葉で強化した短杖。


 耐久値と火属性魔法の攻撃力を上げるだけでなく、普通に魔法による攻撃も上げてくれる。


 もう少し突き詰めたいな。これより下はフリマで売って、残りは厳選するか。


 霊木の枝はたくさんあるし、気を付けてやろう。


「ありがとなレント」


 ゆさゆさと揺れる葉っぱを見ながら、製作に入る。これが済んだら狩猟の森でイベントをこなすか。


 しばらくすると黒猫が様子見に来てくれた。短杖を見せたら、いくつか知り合いが買い取りたいと思うらしい。黒猫は杖無しの強化魔法使いとのこと。


 それなら【エンチャントソード】があれば作るよと伝えた。いくつかあるらしく、作り出してあげた。


「おおっ、ドロップした【フレイムウェポン】よりも僅かに性能高い!」


 必ずこれより上の強化魔法があるんだろうが、現在はそこまでだ。強化魔法は杖の恩恵が無い代わりに使いやすい。


 水や風、土の杖も作りながら、知り合いとフレンドチャットしている黒猫。そして杖もいくつか買い取っていく。


「それじゃ、お金のかわりに」


「はいはい」


 受け取ったのはエアウイングファルコンの素材だ。だいぶ貯まったな。隠密ローブが気に入ったらしく、手に入れることができて満足しているとのこと。


「良ければスカートの厳選してくれると助かる」


「うん。君だけなら問題ないかな?」


 さすがにたくさんになると無理。廃人とガチ勢は少ししか上がらない数値でもこだわるからね。付き合うのは少しね。


 黒猫は分かっているからか、こちらの都合優先にしてくれる。フルログインで装備厳選は無理だ。


 こうして一通り話し合うと、クラーラも来る。妖精のことのお礼を言いに来たし、気になるものが増えているから。


「んー掲示板に載せるのは無しで。動物小屋とかがな」


「分かりました。動物小屋ってどうすればいいかはこちらで調べます」


「世界語が分かれば、まあ。レシピも徹底的に情報仕入れようとすれば分かるし」


 魔法ギルドのGランクで入れる図書館フロアだからね。ホント頑張ればわかる。ただ分からないのはミルクタンク。こちらも自己責任なら自由にしてていいと思う。


「なるほど、小屋が無い状態でですか」


「ストレスとかあるって話だし、小屋がないとダメかもしれない」


「分かりました。その辺り掲示板で注意して載せます」


「ミルクはフリマに卸すから、特定は禁止でね」


 そういう話をして、大きな動物小屋のフリマで売れるか確認する。やはり狩猟の森で探索した方が良さそうだ。


 そうして別れた後、好きに過ごすのであった。

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