第5話 デンジャラスな提案!
翌日。
「ちょっと来て」
クラスメイトの前で、すまし顔をしたユナは言った。健斗は、警戒しながら呼び出された非常階段へ向かった。
「何?」
「最近退屈しているの。だから、何か楽しいイベントを作ってよ?」
首をふった。「そんな。ぼくまだ転校してきたばかりで、学校になれるので精いっぱいって感じなんだけど」
「ダメよ」ユナは首をふった。「あなた、私の……奴隷でしょう?」
「奴隷になった覚えはないけど」
ユナは健斗のネクタイを引っ張ると自分の顔の前まで引っ張った。
「わたしの命令は絶対。私の言うことはすべて肯定しなさい。あなたは、わたしのペットなんだから、従えばいいのよ。もし、逆らったりしたら、あのときの写真を全校生徒の前に
健斗は見た。ユナの携帯に映った自分の写真を。女子更衣室で、ユナの体操服を握りしめ、鼻息を荒くしている自分の写真だった。
「分かった。それだけは勘弁して」
「なら、イベントを考えてよ」
「でも、何したらいいか?」
ユナは提案した。「あなた部活は何部になるの?」
「いや。決めてないけど」
「だったら、面倒臭いから部を新設しなさいよ」
「ぼく、そんなの苦手だよ」
ユナは胸ポケットから用紙を取り出した。「これに部の名前と、活動内容。それと、部員を数名を書き込んで先生に提出しないさ。あと、ちゃんと顧問も選ぶのよ。そうしないと、部を認めてもらえないから」
「だけど、ぼくやるって」
「やりなさい。命令よ」
健斗がっくり頷いた。「分かったよ」
「それじゃあ、わたし行くから。今日中よ。今日中に提出しておくのよ。もし万が一、逃げたり、放棄したりしたら、写真をばらまくからね」
夜桜ユナは、仲間たちのもとへ駈け出して行った。
健斗は、その場で座る込むと、後から田中と、鈴木がやって来た。
「大丈夫か」田中は言った。
「大丈夫じゃないよ」健斗は事情を話した。
「やっぱり、悪魔のような女だな」
廊下の先を見ると、仲間たちに従われながら楽しそうにおしゃべりするユナの姿があった。
「あいつは悪魔だ」鈴木は言った。
「それでどうする?」田中は言った。
「仲間を集めるよ」
「それで、もしそれをやるんだとして、どんな部で、仲間はどうやって集める気だ?」
考えた。方法は思いつかなかった。「とにかく、やってみる」
放課後。
「何よ、だ窯もなにも集めらなかったですって」ユナは激怒した。「あなた、本当にやる気あるの?」
健斗は打ちひしがれた。何だか、微妙に敗北感を感じる。
「悪かったよ」
「もう。だったら、わたしが部を考えてあげる」
ユナは、あれこれ提案した。正義の味方部……学校の悪を見つけ出し、成敗するという意味不明な部や、お願い部……困ったものの願いを聞き入れて、学園、それから外部にまで渡って、人を幸せるする部など。彼女は意味不明な部を幾つも提案した。
「そんなの無理だよ」健斗は言った。
「だったら、あなたが一つくらい意見を言いなさいよ」
「どうせやるんだったら、楽しい部がいいよ」
「具体的には?」
健斗は提案した。「ぼくは、不思議や、謎がが好きだから、調査部が良い」
「何それ? 面白いの?」
「面白いか面白くないかは分からなけど、ぼくはそういうのが好きなんだ」
「例えば?」
「本が好き。旅して、見知らぬ場所を回るのが好き。学校の七不思議とか、不思議なことに触れるのが好きなんだ」
「へぇ。そうね」ユナは
健斗は頷いた。「ぼくもこの学校に入学したけど、ぼくの能力はまだ一切知らされていないんだ。そうい言ったものも含めて、調査したら面白そうだ」
ユナはにやりと笑った。
「いいじゃない。部は、それで決まりね」
ユナは言うが早いか、書類をひったくると、『探検部』と、記した。
「それで、メンバーは?」
「それは、考えてあいけど」
「今すぐ考えなさい。なぜだと思う? そう、あなたは私の下僕であり、奴隷だからよ」
げんなりした。「うんん。まあ、田中と、鈴木はどう?」
「さえない
「ぼくは、ここに越してきたばかりだよ」
「はぁ。あなたって頼りないのね」ユナは首をふった。
「ぼくにだって、いいところはあるよ」
「何よ?」ユナは言った。
「ぼくの中には、すごい能力が眠っているらしい。僕もよく分からないけど、突然、その能力が開花したら、急遽この学園へ、特別待遇で入学してこれたんだ。親には多額のお金が払われたし、
「確かに。よくとらえれば、金の卵って事よね。気に入ったわ。あなたは、将来性有望な、卵って事よね。そうそう。田中と、鈴木と言ったけど、あいつらうまく利用すれば、なかなか優秀よね。田中は、新聞記事をしていて、わたしの影響力を高められるし、鈴木の能力は、能力は確か、探し物を見つけられる。この能力を利用しない手はないわね」
ユナは、書類に自分を含め、健斗、田中、鈴木と書き込んだ。
「それで、顧問は?」
「それならもう決めたわ。図書の館長をしている
言うが早いか、ユナは、走り去った。
「おい、健斗大丈夫か?」田中がやって来た。
この場に鈴木は居なかった。
「うん」健斗は成り行きで部を作った事、それに二人を
「う、噓だろ」
「ごめん」健斗は謝った。
「俺、死んだな。あの性格悪女に殺される!」
「大丈夫。三人一緒なら何とかなる」
しばらくして、ユナが戻って来た。一緒に、鈴木が連れられている。健斗と、田中は泣いている鈴木のもとへ駆け寄った。
「何があったの?」健斗は言った。
「ユナが、ユナが僕を利用できると言って、ぼくに酷いことをやらせようとしたんだ」
「何を?」健斗は尋ねた。
「その。生徒会を乗っ取る方法を探せと命令したんだ」
健斗はなぜと思った。
「ちょっとした、面接よ。彼も、我が部『探検部』の一員になったのよ。つまり、採用面接を実施したのよ」
「それで、なぜ、鈴木は泣いているんだ」
「それは」ユナはにやりと笑った。「私の指示に従わなかったから、ちょっとお仕置きしたのよ」
「どんな?」
「それは、近くにいた男子生徒に、鈴木君が私の体操服の匂いを嗅ごうとしたと
ひどい奴だ。「そう言うのはやめてほしい」健斗は言った。
「何よ急に」
「ぼくは、君との約束を守る。それに、部を作ったって事は、同じ部に所属す仲間になったんだ。これから、うまくやっていきたいというのなら、同じ部員には屋しくしてほしい」
ユナはたじろいだ。いつもは見せない健斗に気迫に押された。
「分かったわよ。その代わり、ちゃんと私の言うこと聞くのよ」
「分かった」健斗は約束した。
「なら、最初の約束として、わたしがこの部にいきなり入るのは、おかしいのよ。なぜだかわかる? わたしは超絶美少女だし、人望を厚い。それに、いくつも部をもう掛け持ちしているをやめなければならないの。だから、この部に入るのに至って、正当な理由がほしいの。だから、協力しなさい」
「何を」
ユナは三人にだけ聞こえるように耳打ちした。
健斗は耳を疑った。自身性が終わったと持った瞬間だった。「僕にそれをやれというの!?」
「ええ。そうよ。やらなければ、あなたは死ぬわ」
頭を抱えた。「どちらに転んでも死ぬ。ならば、急ぎよく、自ら死を選ぼう」
田中と、鈴木が駆け寄った。
「お前、本当に死ぬぞ!」
「ぼくたちのために、命を捨てる事ないよ」
「いんだ」健斗は涙をぬぐった。「ぼくは、やれば出来る子なんだ」
「たぶん、意味間違っているよ」鈴木は言った。
健斗は、覚悟を決めるとユナから携帯を受け取った。そして、みずからあのはずかしい女子ロッカーで、ユナの体操服を握りしめた画像を、クラスメイト達が見られる、共有フォルダに送信した。
つまり、自分は、ユナのヒミツを握り、脅し、彼女を部に入らなければと、脅したヤバい奴となったのだった。
それが、彼女からの提案で会ったのだった。健斗はこれを受け入れた。
「僕は、大切なものを失った……」
田中は言った。「お前は、ヒーローだ」
「君は、ぼくたちを救ってくれた」鈴木は涙を浮かべた。
そしてこの日、健斗は伝説となった。
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