ライジング

おきた

1話 恩寵の儀式

勇者が死んでから1000年たち、勇者によって封印された魔王の眠りがさめようとしていた。

そして新たな勇者となるものも誕生していた。



◇◇◇



「ノアーーー」

大声で俺の名前を読んでいるのは幼なじみのエリーだ。

「ノア、明日は恩寵の儀式だね!」

「そうか、もうか。」

10歳になった子供は全員恩寵の儀式を受けることになる。

恩寵の儀式とは生まれた時に神に与えられたスキルを確認する儀式のことだ。

底辺の能力なら一生スキルコンプをこじらせることになる。

いい能力ならカースト上位でいい気分になれる。

「お互いいいスキルだといいな。」

俺は子供の割に頭がいいから頭脳系の能力かな?もしそうなら金儲けが楽そうだなー。

「エリーはどんなスキルが欲しいの?」

「とにかくすごいの。」

そんな話をしているうちにあっという間に時間はすぎ家に帰った。

そして疲れて寝た。

次の日俺は両親と教会に向かった。

もう既にエリー一家は着いているようだ。

順番を待っているとどよめきが起こった。

「聖剣戟、ゴールドスキルが出たぞー」

誰が叫んでいる。

ちなみにスキルの序列は

ミレニアム

プラチナ

ゴールド

シルバー

ブロンズ

の5段階ある。

「ゴールドはすごいな。」

1000万人に1人のスキルだ。

基本1人3つ程能力を持っている。

恩寵の儀式では1番のレアスキル以外は分からない、生きていく中でほかのスキルは見つけていかなければならない。

人によっては恩寵の儀式でわかったスキルよりもっと使うスキルを見つける人もいる。

そうこうしているうちに、エリーの番が来たようだ。

スキルを見た司祭が慌てたような顔をして奥に引っ込んだ。

そして見るからに偉そうな人を引き連れて戻ってきた。

「ミレニアムスキル」

厳かに読み上げられる。

ミレニアムスキルはひとつしかなく現状名前がついていない。それは勇者の力だ。

エリーが勇者だと?

信じられない

遠目からだがエリーも困惑しているようだった。

例の偉そうな人に連れていかれていた。

そして俺の番が来た。スキルが読み上げられる。

「ブロンズスキル、ライジング」

1番下、最下層のスキルだ。

打ちひしがれている俺を無視して司祭は次の人を読んだ。

その夜俺は両親に慰められていた。

でも両親はシルバースキルだ。俺とは違う。

胸が苦しくなって風に当たろうと思い外に出ると、エリーがいた。

「ノア、私この町を出ることになっちゃった。」

「....」

「勇者は王都の学校に通わないといけないらしいの。」

「だから今から準備するんだって。」

少しさみしそうにエリーは言った。

「俺も行くよ。」

「王都の学校は13歳からだろ。」

「それまでに俺強くなるからさ。強く」

涙が溢れてきた。「だから学校で待っててくれないかな。」

見ればエリーも泣いている。「うん、もちろんだよ。」

次の日すでにエリーはいなかった。

朝早く王都に向かったらしい。

「俺も追いつくからな。」

あと3年の間で必ず強くなってみせる。

絶対に強くなるからな。



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