私が私である前に。

@Yuki6621

第1話

彼女は自分がよくわからなかった。

女であることが分からない

その前に人であることを認識できないでいた。


信号は赤を指している。

彼女は考える。

人である条件とは何


それは二本の対の手足をもっていることだろうか。

高度な知能を持っていること、心をもっていること、道徳がある事、理性がある事、

人間の作りだした社会という箱庭で生きている事。


いや単純だ。


人と人の間に生まれた という事実のみが人を人間にする。


信号はいつの間にかみどりになっていた。


私は追い風に背中を押されるようにして歩く。今日は風が強い。

今日は。 きょう。

今日というものがなぜあるのか。


時は本当に進んでいるのだろうか。

実はなにも進んでなんかいないのではないか。


そもそも生き物の時というものは、各々の軸で進んでいる。

数字をつけてみんな同じ時間を過ごしているような気になっているだけなのかもしれない。

皆 違う時間をいきている。


その時間は実は進んでいるとは限らない。

実は地球は同じ時間の中をあらゆる可能性のパターンをあみだくじのように引き続けながら繰り返しているだけかもしれない。


そう。繰り返している。 


例えば人がけがをすると自然治癒が始まるけれど、その速度差は、個人差もあれば老化もある。

寿命は存在しているがそれはあなたが何年生きるとかそういうものではなくて、体の損傷に耐えられる回数なのかもしれない。


つまり時間は右から左へ進んでいるとは限らない。

逆もしかり。


矢印のないただの「一本の棒」なのかもしれない。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る