第3章 山頂で
山を登りながらローバートは先を進むヒガンバナに尋ねる。
「ヒガンバナは……誰かの未来が夢であふれてほしい、と願ったことある?」
「……」
「僕は妹、カレンの未来が明るくて希望に満ち溢れたものであったほしいと願う。だから本当は怖がりだけど、鬼と戦うと決めたし悪魔にだって魂を売れる」
「言っとくが」
「悪魔じゃない、だろう。それでも君を呼んで良かった」
「……鬼に会って、どうするつもりだ?」
「鬼を……」
鬼を殺せば村は破滅する。なぜか昔からそう言われてきた。
だが、鬼がいる限り、生贄という悪習はずっと残り続ける。
「悪習をここで終わらせる。カレンには未来を見てほしいんだ」
たった一人の、愛する妹のためなら。
「それでいいと思う」
もうすぐ山頂に着く。
ヒガンバナとローバートが山頂に着くと、そこには人一人が入れる小さな神殿があった。
その神殿の中に鬼がいる。あとはその鬼を退治するだけだ。
心臓の鼓動が速くなる。これから鬼と戦うのだ。
(大丈夫……)
ローバートにはヒガンバナがいる、きっと大丈夫だ。
ローバートは腹を決めて神殿の扉を開けた。
「!」
神殿の中心にうなだれている女性がいる。ローバートは神殿の中心に進み、うなだれている女性の前に立つ。
すぐに分かった。彼女はもう生きていない。
ミシミシ
微かに女性の下腹部から音がしている。ローバートが女性の下腹部に耳をあてた時だった。
お前、違うな
その瞬間、ローバートは後ろで尻餅をつく。
だが、怯むわけにはいかない、と奮い立たせて立ち上がった。
鬼を退治する……否、鬼はどこだ?
「違う、だと?」
再び声が頭の中に響く。
特別だ。お前に真実を話してやろう
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます