最弱と言われていた陰キャ、実は世界最強だった!

@ronron115

第1話

 僕の名前はろんである。高校一年生で、人と話すのが苦手な、ただの陰キャ。勉強が特別できるわけでもなく、運動もたいしてできず、コミュニケーションだって取れない。つまり、僕には長所がないのである。


 しかし、ひとつだけ能力のようなものがあった。それは、正夢を稀に見れるということである。これのおかげで、何かしらの衝撃的な出来事が現実で起きたとしても、常に冷静でいられた。しかし、能力は当然完璧ではない。見る夢のすべてが正夢ではないため、知ってはいても何もできず、自分にしか恩恵がない能力なのである。


 そんな僕だが、高校に入る前に、せめて1つだけでも長所を作りたいと思い、今年から勉強に頑張ろうと決意した。理由はそれだけではなかった。どうせ高校3年間を陰キャのまま過ごしても、何も得られないんだから、せめて将来役に立つことをしたいという思いもあった。


 そんなわけで、勉強を始めると、思っていたより早く成績が伸び、学校の先生からの評判も良くなった。そして、なんと、高校生になってから初めての「友達」ができた。教室で一人で勉強していたら、声をかけられて仲良くなったのである。相手は、とてもやさしい人だった。僕がなんて返事をしようか考えている間も気長に待ってくれたし、僕が陰キャであることにも言及しないでくれた。


 彼女の名前は、あおいというらしい。最初の友達が女子なのは、違和感があったが、話していくうちにその違和感は完全になくなった。そして、友達ができて、僕の心はうれしさでいっぱいだった。


 入学式が終わったので、すぐに教室に戻り、自分の席について勉強を始めた。ちなみに、幸運なことに僕の席はあおいの隣である。神もたまには優しいな、なんて考えていると、教室で担任と副担任の紹介がはじまった。担任は歳をとった男教師だった。だが、副担任はまだきていない。初日から遅刻しているらしい。


 次の瞬間、僕はただならぬ雰囲気を感じた。手が震え、全身が「危険だ」と訴えてくる。なんだ、この感覚は……!?


 そして、奴は入ってきて、元気よく挨拶をした。「副担任のアヤコです。一年間よろしくお願いいたします」と。

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