第17話『新しい銃』

 異世界に来てから一週間、俺はいつも通りデグルの森で狩をしていた。最近は収入も安定してきて、今の所持金は六〇〇〇〇Gとなっている。これだけあればいつもの宿で今日の夜を超えることができるかなんていう不安を抱かなくて済む。

 そうそう、それ以外にも変わったことがある。


「セトラさん。こちらデグルウルフの魔石です! よかったら受け取ってください!」


 貢ぎマゾと化したアイリスが常についてくるようになった。

 銃の仕組みを話した時、魔石を動力に動いていると言ったらこの有様。デグルウルフの魔石で約三十発、デグルベアの魔石で約四十発の弾丸を撃つことができる。

 一体倒すのに一から三発の弾丸しか使わないので、実はそんなにいらないと言うことを最近知った。

 しかし、受け取らないわけにもいかず、受け取っている。


「ありがとう。でもアイリスの方はいいのか? 俺にくれてばかりで収入とか大丈夫か?」

「えへへ、大丈夫です! セトラさんの幸せを考えればもやし生活も豪華です!」

「それだけはやめてくれ……」


 こんな感じで、自分の生活すら捨てていそうな気がしてならない。


「まあ実はそんなに苦しいことはないです。この世界に生まれて十年くらいは趣味もありませんでしたから、お金だけは持っています。ですから遠慮せずに♡」

「だとしても自分の生活は大切にしろよ? アイリスが苦しむようなことは嫌だからな?」

「は、はい……えへへ」


 今まで受け取ってきた魔石の数を合わせて、今所持している魔石はなんと五十を超えている。大体がデグルウルフだが、発砲回数で換算すれば千五百発も撃つことができてしまう。


「……そろそろ新しい銃を作るか。アフエラ、今の骨の在庫とかで作れる銃ってどんな感じだ?」

〔基本何でも作ることが可能です。どのような銃をご所望ですか?〕

「えっとセトラさん……その銃って魔獣の骨で出来ているのですか……?」


 そう言えばアイリスは初めて知るのか。


「そう。アフエラ曰く、安価で魔力伝達性が良いそうなんだ。アフエラ、何かアサルトライフルとか無いか?」

〔アサルトライフルですね。こちらはいかがでしょうか〕


 そう言うと、前回同様画面にお勧めが表示された。


ー【お勧め】ーーーーーーーーーーーーーーー

AK-47-MC

89式5.56mm小銃-MC

フェドロフM1916-MC

H&K HK416-MC

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 AK以外聞いたことないな。いや、H&Kは見たことある気も……。うーん、どれが良いのかわからないな。前回みたいに一番上のやつを選んでしまってもいいが……。


「アイリス、どれが良いと思う?」

「わ、私が選んでも良いんですか!? え、ええっとじゃあ……あのゲームにも出ていましたし……私も結構使ってたので416とかどうでしょう?」


 やっぱりH&Kはあのゲームでも出てたんだ。AKも出ていたが、アイリス的にはH&Kの方が思い入れがあるらしい。


「じゃあアフエラ、H&Kでよろしく頼む」

〔了解いたしました〕

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る