異世界ガチャポン日誌! モンスターコインで回してモンスターや武器を手に入れろ! 

ナイトジョーカー

第1話 能力はガチャポン

 「よ~し! 今日こそ狙いのものを当てるぞ!」


 俺こと鈴木大輔は狙いのものを当てるためにコインを入れてガチャガチャをひたすら回していた。100円玉が次々とガチャに吸い込まれていきやがる。


 だがやめることができない! ここでやめたら百円玉を2000円分使ったのが無駄になっちまう!


 俺はさらに金を使った。5000円分使っただろうか、すると目当てのものが出てきた。


「よっしゃあ~! ようやく狙いのものがきた~! は、早くとらなくては!」


 早速、ガチャの取り出し口から狙いのものを手に取る。


「はあ~! ようやく手に入れたぞ! これだけお金をかけて手に入れたから嬉しさもひとしおだぜ!」


 俺は手に取ったものを持ってガッツポーズをした。


 その時だった! ”キキ―”という音が聞こえてきた。俺は音のする方向に振り向いた。すると、車がこちらに向かって猛スピードで進んできたのだ。


 こちらは突然のことで身動きがとれない! そのまま車は俺を引いて、その先にあった店舗に激突!


 大勢の”キャー”という悲鳴が聞こえてきた。俺はというと、引かれて意識がもうろうとしていた‥‥‥もう死ね‥‥‥そんな最後の時に思っていたことは、手に入れたものの心配!


「が‥‥‥ガチャでようやく手に入れたこれは傷つけはさせなかったぞ! ただ‥‥‥心残りはガチャをもう引くことができな‥‥‥い‥‥‥こと‥‥‥」


 俺はそのまま意識がなくなり‥‥‥視界が真っ暗闇に‥‥‥そんな暗闇の所で何やらぶつぶつと声が聞こえてきやがる!


「要望を受け付けました。ガチャで能力や装備品、モンスターを手に入れるようになりました。能力名はその名もガチャポン!!」


 ナビゲーションのような声で能力名がなんだの聞こえてきやがった‥‥‥しかし、次第にその声も聞こえなくなったのだ。


 やがてどこかの場所に不時着したような衝撃を受けたのだ。


 俺は、何が起きているのかわからなかったが、じょじょに目を開けれるようになってきていた。


 少し時間をかけてじょじょにじょじょに目を開けた。すると、目の前には森が広がっていた!


「なっ‥‥‥さっきまで人通りの多い所にいたはず‥‥‥なんで森にいるんだ!?」


 頭の中がクエスチョンマークでいっぱいになっていた。俺は目を開けた場所から一歩も動かずにいて困惑していたのである。


 しかし、しばらくたってこのまま突っ立っていても意味ない! そう判断した俺は、森を歩いて行った。


 たくさんの木が生い茂っているうっそうとした森の中をひたすら歩き続けた。


 結構歩いていたその時であった”ギャー”という悲鳴が聞こえてきたのである! 俺はその悲鳴があったほうに野次馬感覚で向かった。


 悲鳴が聞こえたところに着いた。俺は茂みに隠れながら様子を伺う! すると目の前に女性一人が立っていたのである。女性の目線の先には槍を持ったオークのような化け物がいやがった!


 立派な牙が生えていて、体毛が分厚く図体がプロレスラーのように太い体をしたオークがいた。


 その周りには、護衛であろうか。何人もの男が倒れていたのである。俺は大の男が倒れている様子を見て恐怖してその場から動けずにいた。


 その時、女性の方からぶつぶつと声が聞こえてきたのである。


「な‥‥‥なんでこんな目に‥‥‥悪役令嬢と悪い噂を流されたあげく‥‥‥婚約破棄されて‥‥‥しかもこんな化け物に出くわすなんて‥‥‥なんて最悪なの!!」


 女性は絶望していた。よく格好を見るとその発言通り高貴な方の服装をしている。だが、倒れている男も、令嬢と思われる女性もまるで中世のような格好をしていた。


「だ‥‥‥誰か助けてはくれませんか!!」


 女性は叫んだが、誰も駆け付ける者はいなかった。


 俺は助けに向かいたかったが‥‥‥大の男数人程でも歯が立たない化け物に俺なんかが勝てやしないと思い動けずにいたのだ。


「く‥‥‥くそ、目の前に助けを求めている人がいるのに何も出来やしない‥‥‥俺に力があったら‥‥‥」


 その時であった。突然声が聞こえてきた。この声には聞き覚えがある! そう意識がなくなった時に聞こえてきたナレーションの声だ!


「この異世界に初めて来られて困っているようですね!?」


 俺はその声にこたえた。


「当たり前だ。ここは一体どこだ。」


「ここはあなたがいた世界とは別の世界、異世界です。魔物が居たり、魔法もあります。」


「異世界‥‥‥魔物‥‥‥魔法まるでRPGの世界だな!!」


「RPGその言葉の意味はよく分かりませんが、この世界は恐らくあなたが想像しているような世界です。」


 う‥‥‥嘘だろ‥‥‥俺はRPGのような世界に飛ばされたっていうのか‥‥‥そんな世界で俺みたいな人間がどうすればいいっていうんだ。


「あなたが今悩んでいる通り、この世界ではなんの能力もない人では生きてはいけません。そこであなたに与えた能力を発動させたいと思います。」


「俺に与えた能力‥‥‥!?」


「そうです。あなたにはこの世界に来る際に能力を与えました。その能力は”ガチャポン”です。」


「が‥‥‥ガチャポン!? なんだそのふざけた能力は‥‥‥」


「ふざけた能力とは失敬な! あなたが死ぬ寸前の願いを聞きつけて与えた能力ですよ。」


「そういえば‥‥‥意識失う前にガチャ回したいって願ったな! まさかその願いを聞きつけるなんて‥‥‥」


「とにかく、その能力を発動させます。このモンスターコインを持ってください。」


「何だよ‥‥‥そのコインは!?」


「このコインはあるモンスターを討伐するともらえるコインとなっております。まあそんなことはこの際どうでもいい事です。さあ、このコインを持つのです。」


「どうでもいいって‥‥‥」


 とりあえずモンスターコインを持った。


 すると奇妙な音が聞こえてきた。


”ガチャ、ガチャ、ガチャを引こうぜ、G・T・Y・A・P・O・N、”ガチャポン”!!”


 奇妙な音が鳴り終わるとガチャガチャが目の前に現れた。


 なんじゃこりゃ!? なんでガチャガチャが目の前に‥‥‥。


「さあ、そのガチャにコインを入れて回すのです。さすればあなたは大きな力を手に入れるでしょう!!」


 なんで大きな力を手に入れるのにガチャを回すんだよと思ったが、この際何でもいいから力が欲しかった‥‥‥。


 俺はガチャにモンスターコインを入れて回した。すると、大きなカプセルが出口から出て俺に落ちてきようとしていた。


「う‥‥‥うわ~! カプセルが俺の頭上に落ちてくる~!」


 俺はよけようとしたが‥‥‥間に合わずカプセルは俺を踏み潰した。だが痛みがない。どうなっている!?


「そのカプセルがあなたに与えられる新しい力です。その力を使い魔物を倒すのです!!」


 すると、声が聞こえなくなった。ちょ‥‥‥カプセルを俺の上に落としてそれでいなくなるな! 無責任だろう! ちゃんと最後まで説明しろ!!


 俺がそう思っているとき、頭上のカプセルが開かれて光に包み込まれた。そして、光が消え去ると目の前になにやら特撮で見るようなアイテムが見えたのだ!


 そのアイテムは俺の右腕に絡まった。な‥‥‥何だこりゃと思いながら引き離そうとしたが全然とれねえ! 


 その時であった。女性が”きゃーこっちに化け物が向かってくる”と叫び声が聞こえてきていた。俺はこのままでは先ほどの女性が危ないと思い、その場に出た。


 その瞬間オークの化け物と女性は誰という顔をしていた。そして女性が一番に口をひらいたのである。


「あ‥‥‥あなたは一体何者ですの!?」


「俺ですか! 俺はあなたを守るために現れたものですよ。」


 格好つけながら女性に対していった。しかし、目の前にいるオークをどうやって倒そう‥‥‥このアイテムで何とかなるのか‥‥‥。


 そう思っているとオークが突っ込んできた。女性は悲鳴をあげ、俺はどうすればいいかあたふたしていた。


「何とかしてください!!」

 

「何とかしてくださいと言われても‥‥‥」


 困惑していたが、オークが突っ込んできていた。もう困惑しているわけにはいかない。


「くそっ‥‥‥こうなったらどうにでもなりやがれ!!」

 

 俺は右腕についていたアイテムを触った。するとアイテムが光りだしこう言ってくださいと聞こえてきた。


 聞こえた通りに、俺は発言してみることに!


「”変態”」


 すると、外見が真っ黒のスーツアクターのようなものになっていた。


「こ‥‥‥こりゃなんだ!」


 その時、オークが突っ込んできて槍をふるってきた。俺はそれを腕でガードした。大ダメージをおうと思ったが痛みが全くない!! どうなっている!!


 オークも相手に痛みがなく不思議そうな顔をして立ち止まっていた。俺は攻撃するチャンスと思いパンチを繰り出してやったのだ。


 オークはパンチを槍で防げずもろにくらいよろめいた。今が倒す絶好のチャンスだと思い、”必殺技で倒してやる”と叫んだ。


 その時、何やら不思議な力に満ち溢れ再び声が聞こえてきた。俺はその発言通りに”アブノーマルキック”と言った。すると、身体が勝手にジャンプした。


 足に炎のようなものが見えながら、そのままオークにキックをくらわせてやった。


 すると、オークは叫びごえをあげた。


「ぐぎゃばばばばばばば―――――!!」


 その後、キックをくらったオークは四散したのである。なんという恐ろしい破壊力。


「なんと‥‥‥あのオークをたった一人で倒されてしまわれましたの!」


 女性が声をかけてきた。


「助けていただきありがとうございます。わたくしはアーク・オリビアと申します。オークに襲われた所を救っていただいて感謝のしようがございません。」


「ハハハハハ、な~に目の前に困っている人がいれば助けるのは当たり前のことです。それより、あなたはこれからどうしますか!?」


「そうですね‥‥‥わたくしの護衛達はこの通り倒されてしまいました。しかもわたくしは婚約破棄をされて、実家に帰っている最中です。一人で歩いて帰れば襲われてしまうかもしれません。どなたか実家まで守っていただける方がいると助かるのですが‥‥‥」


 すると、オリビアは俺の方を見てきた。どうやら俺に守ってもらいたいようだ。守ってほしいと願われたら断れるはずがないだろう。


 俺はこう言った。


「わかりました。私があなたの実家まで送り届けましょう!!」


「本当ですか。そう言ってくださるとありがたいです。」


 その後、改めて俺達は自己紹介をして、オリビアの乗っていた馬車を戻した。馬は生きていたので、馬車を進ませることができた。


 護衛達は死んでいたので必要なアイテムだけもらって埋葬した。

 

 その間、オリビアはオークの素材を回収していたようである。


 そして、私は馬車にオリビアと回収した素材を乗せて歩みを進めたのである。


 歩みを進めながら自分の能力について考え込んでいた。


 能力”ガチャポン”にはどうやら他のシリーズもあるようである。モンスターガチャ、精霊ガチャとかがあるもよう!


 果たして次のガチャのシリーズは!? 何が排出されるのか!? そして、どんなモンスターが出てくるのか今後に期待と不安が押し寄せていた。


こうして、期待と不安を抱えながら俺とオリビアの冒険の物語が始まる。

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