第12話 般若湯(日本酒)のつまみ

 世界で唯一、温度で味わいが変わる酒がある。味わいどころか酔い方まで変わるヘンテコな酒がある。


 日本酒

 

 米から作られる澄んだ酒であり、今や世界中で大人気の日本のワイン。


 上品に呑むのも良し。

 品無く呑むのも良し。


 社交界でも喧嘩をしない酒として知られる。酔い方が穏やかだからなのかどうかは解らない。ただ、日本には古来から和醸良酒の言葉のとおり。美味い酒を飲めば皆が仲良しになるという優しい文化が根付いている。 


 良き酒は和を醸す。


 これほどまでに日本人らしさを表す言葉もあるまい。

 但し。

 前述した通り。

 日本酒は温度で酔い方が変わる。

 最も美味しく最も酔い方が優しいのは人肌燗。40℃ぐらいの普通酒だ。

 んで。

 やべえのは冷酒。 


 冷やせば冷やすほどに美味いが。

 冷やせば冷やすほどに酔い方が悪くなる。


 花冷えや雪冷えと呼ばれる温度帯まで冷えた日本酒は毒だとする文献も少なくなく、急性アルコール中毒で亡くなった侍も珍しくない。

 アホかと思うが。

 昔からそんなもんだ。

 

 下町の 

 冷酒で遊べば

 安上がり

 花魁要らず

 要るは介錯


 ま。

 クソほど悪酔いすっから止めとけって話。

 唄に詠まれる程度には。

 歴史的な民俗文化だ。


 今回紹介するのは人肌嫺のつまみ。

 祇園の酒は基本的にヌル嫺。

 つまり、人肌嫺だ。

 喧嘩なんかされたら評判に傷がつくからな。

 簡単に出来るのでね。

 お試しあれ。


 ・材料

 長ネギ、ミョウガ、生姜、大葉、味噌、白胡麻、カンピョウ(あれば)、オカラ(あれば)


 ・調味料

 無し


 ①工程無し。全部刻んで味噌に混ぜる。作り方はそれで終わり。とにかく大量に刻んで味噌に混ぜるだけ。箸で摘んで酒を飲むの。


 これ納豆に混ぜても美味いし冷奴に乗せても美味いよ。

 安い酒でも温度で美味しくなるよ。

 40℃だけ忘れないでね。

 


 

 

 

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