7.現代ーあなたたちの時代

「次は、現代。当列車の終点です。なお、これ以降の駅は安全確保のため、すべて通過いたします。二十世紀は戦争が激しく、特に危険です。大砲の弾が列車内に入り込む恐れがありますので、窓閉めにご協力ください」

 付添人ベータが声をかけた。

「もうじき、現代。あなたの時代です。終点では、輝ける未来線に乗り換えられますが、どうしますか?」

 未来。そういえば、この列車に乗る前、何か試験を受けていた気がする。その時の会社の名前が確か、未来何とか・・・。『未来宇宙トラベル社』だった。あの時の試験は今頃どうなったのだろうか?

「閉鎖環境試験は、これから後ですよ」

 ベータに先にしゃべりかけられて、ケンジは動揺した。いま、閉鎖環境試験の話をしていたっけ?ケンジはとっさに答えた。

「未来線へののりかえですか?それはあとで考えることにしますよ」

「そうですか。いいと思います。あと、列車の窓の外はあまり見ない方がよいですよ。病気でたくさん人がなくなっていますから。天然痘、ペスト、スペイン風邪とかは特に悲惨です」

 ひょっとして、この時代に、現在の抗生物質を届けたら、たくさんの人の命が救えたのだろうか?ケンジはふと思った。

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