第13話 初夜



結婚式の後、俺は王城の敷地内にある、いわゆる離れという場所まで来ていた。


ここはセイレーンがその夫と暮らすために兼ねてより用意されていた場所らしい。


周りには警備や兵士などがおり守りの体制も万全である。


俺はそんな建物で今日セイレーンとの初夜を明かすことになっていた。


作り自体は昨日使った部屋とほとんど変わらいが、広さは桁違いである。


3倍くらいはあるか?


俺は部屋の椅子に座ると、この帝国の特産品と呼ばれているワインを味わっていた。


(美味いな。王国ではこんなもの飲めなかったなぁ)


そうやって楽しんでいると、トントンと肩をつつかれた。


後ろを見ると……


「お風呂、入りませんか?大地様♡」


「いいよ」


そのときだった。


「もちろん、我々もご一緒しますよ♡大地さん」

「大地くん、今日もいっぱい洗ってあげるからね!」


そう言ってきたのはミーナとリエルだった。


彼女たちは引き続き俺の召使いを担当してくれることになっている。


俺は3人を連れて風呂場に向かう。


風呂の内装も昨日と同じだった。


どうやらこの帝国ではこの形式が一般的なものらしい。


「大地くん、私たちは昨日の反省点を改善しました」

「そうなのです大地さん。私たち2人で考えたんですよ。昨日の改善点」


「ん?改善点?」


すると2人は「じゃーん」と俺にあるものを見せてきた。


マットだった。


「椅子に座りながらだと洗いにくかったから大地くんには寝転がって貰おうかな、って」

「そうなのです。大地さんに寝転がって貰えば私達も洗いやすいのです!」


「俺が寝転がるんだったら、たしかにいいかもな。俺も楽だし」


ちなみにだがもう、あれを我慢するのは諦めた。


昨日はどうせ最後に見せることになったしな。


今日はもう最初からパオーンする。


というわけで俺たちは風呂場に入った。


リエルとミーナたちが率先して入るとマットを敷いてくれた。


「はい、寝転んでね大地くん!」

「準備完了なのです!」


俺はうつ伏せで大の字になって寝転ぶことにした。


すると、昨日のように2人が体を洗う準備をしてくれていて。


そのとき、ミーナがセイレーンを見た。


「セイレーン様もお洗いになりますよね?」

「もちろんです!」


ミーナとリエルは打ち合わせていたように俺の右手と左手の方に移った。


「セイレーン様は大地くんの足を洗ってあげて」

「了解です!」


2人は俺の手首くらいに跨った。


手は俺の上腕辺りに押し当ててた。


「んんっ……」

「あぁっ、これこれ……」


そのまま洗っていく。


「なにしてるんですか?ふたりとも?」


「洗ってるだけだよ?あっ……」

「そうなんですぅぅ……ビクン。こうすると2倍早く洗えるんですぅ」


「私もやってみましょう」


セイレーンは初めからやるらしい。


俺の足首あたりに跨ってきたけど。


「ん……ひとりだと思うように両足を洗えませんね……」


「やっぱりもう1人くらい欲しいかなぁ?この洗い方だと」

「ですねぇ」


俺の全身がおっぱいに包まれていく……!!


そのあと体を洗い終わった俺たちは湯船に浸かっていた。


食事だが今日は湯船に漬かりながら取る事にした。


映画とか漫画とかでよく見かけるトレーを湯船に浮かべてそこから飲み物や食べ物を取って、摂取していく形である。


「ちなみにですが、知っていましたか?大地様」


セイレーンは湯船のお湯を両手ですくっていた。


「こちらの湯に使われているのは純度100%のワインです。さきほどお飲みになられたものと同じものが使われていて実は飲めるのです」


「へぇ、それは知らなかったなぁ」


「この湯船には大地様の出汁が染み込んでいるのです。ふふふ、全部飲みたいー!」


「おなかたぷたぷになっちゃうよ?」


「はぅ〜、大地様のワインでたぷたぷになるなんてなんと幸せなことなのでしょうっ!」


そうして食事も終えて俺たちはしばらく湯船に浸かっていたのだが……。


「そろそろ上がりましょうか、大地様」


「セイレーン、顔赤いね。のぼせちゃった?」


「私の顔赤いですか?」


そう言うとしばらくの沈黙の後、更に顔を赤くさせた。


「これはひょっとしたらこれから起こることを想像した時の恥ずかしさによるかもしれませんね♡」


キャーッとモジモジしだしたセイレーン。


「これから起こること?」


「私たちは結婚したのです大地様。となると男女ひとつ屋根の下で起きることなど決まっているでしょう?」


「はっ……!なるほどな」


よく分かったぞ。


そうと決まれば俺も男である。


ここで覚悟を決めよう。


「ミーナ。リエル、すまないが部屋から出て行ってくれないかな?今日はセイレーンと過ごしたい」


「「はい」」


2人は聞き分けよく部屋を出ていった。


「セイレーン、いこっか」

「はい。どこまでも参りましょう」



やる事をやって俺は布団の縁に座っていた。


背後では横になったセイレーンが俺の手を握っていた。


「大地様。素敵でした♡はぁ、はぁ、」

「なぁ、セイレーン?そういえば指輪とかは送らなくていいのだろうか?」

「あぁ、それでしたら帝国に伝わる【誓約の指輪】というものがございますよ」

「へぇ、そんな指輪があるんだな」


「明日実物を見に行きませんか?この王城でも職人が皇族用にいくつか作っているのですよ」


「いいね、なら明日はそれを見に行こう」


「おやすみなさいませ大地様。明日が楽しみですぅ〜」


それからセイレーンは俺の首に手を回してきて


「おやすみのちゅっ♡」


「セイレーン……そんなことしちゃだめだよ。男ってさぁ、獣なんだから」


「もう一回愛してくださるのですか?なんて、嬉しいことなのでしょう。天にも登りそうですぅ」


「天に登っちゃだめだよっ?!」


しかし、思ってたのと違うなぁこの異世界。


呼び出されて早々の言葉が『戦争に参加しろ』だったのでもっとギスギスした世界だと思ってたんだけど。


(なんか知らんけど、めっちゃ甘々なハーレム生活送っちゃってるよー。でも、まいっか。戦争とかだるいしなー)

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