第6話 巨乳美少女を助けました


「んっしょ!よいしょっ!」


「なにしてるの?ティム」


「空を歩こうとしてるの」


その場で足踏みしてるけど、歩けるわけもない。


「どうやったら歩けるの?」


「魔法を使うんだよ。ティム、手を握って」


「うん、」


「空間魔法、スカイウォーク」


俺はその場で一歩前に踏み出した。


まるで、目の前に階段があるように、一歩上に上がることができる。


「これでいいのかな?」


ティムもおそるおそる似たようにやってた。


「すっごい!見えない階段があるみたい!」


「これが基本形のスカイウォーク、ね。次は上に吸い込まれるように考えてみると?」


スゥゥゥゥゥゥゥゥッと俺たちの体は浮き上がる。


「わぁっ!わぁっ?!」


ティムは驚いてた。


やがて俺たちは森の上くらいまで移動してきた。


そこで止める。


「すごい、一気に上がってこれたー」

「後はこのまま空中を歩いていくだけだよ」

「わー!!空を歩いてるーーーーー!」


俺も空を歩きながら下を見た。


日本では確実に見られなかった光景である。


「高いなー。人も町も豆粒みたいだ」

「風がびゅーびゅーだし、お股ひゅんひゅんしちゃうー」

「それはそうだね。怖いなら前だけ見てるといいと思う」


俺の言葉にティムが前を向いた。


「あっ、鳥がこっちに向かって飛んできてる」


ティムが指さした。

そっちを見てみると確かに鳥が1匹こっちに向かってきてた。


鳥と俺の目が合った。


「?!!!!!!ぎゃぴーーーーーー!!!!」


「はぅ、鳥が向こうに飛んでいっちゃった。どうしたんだろう?」

「さぁ?どうしたんだろうね」


「あの鳥と競走してみたいっ」

「鳥と競走するのはいいけど、あんまり無理しすぎないようにね。空でも転けると危ないからね」

「うん!待てー!!!」


「ぎゃぴーーーーーー!!!!!」


鳥が悲鳴を上げてさらに逃げる速度を上げていた。


「はぅぅぅぅ……早すぎーーー」


ティムは早々に諦めて膝に手をついて息を荒らげていた。


当然顔は下を向いてる。


「大丈夫?ティム」


俺は高さを合わせてティムの背中を撫でてあげた。


「お兄ちゃん優しぃ♡」


「とうぜんだよ。ティムがしんどそうにしてるんだから」


そのときだった。


ティムが固まった。


「どうしたんだ?ティム」

「お兄ちゃん、あれ」


ティムが森の方を指さした。


「ん?なにかあるの?」

「大きなモンスターが小さな人(?)を追いかけてるよ」

「なんだって?」


俺は下を見た。


「たしかに、あれは?なんだろう?青いモンスターだね」


「うー、なんだかよく分からないけど、追われてる人がかわいそう」


そうだな。


追われてるのを見てしまった以上は、助けたい。


「お兄ちゃんの魔弾で助けられないの?」

「あの魔弾は爆発範囲が広すぎてここで使えば、追われてる方まで巻き添えになる」


だから助けるとすれば、俺が直接行くしかない。


「ティム、ここで待ってて。ちょっと助けに行ってくるよ」

「うん。ティムいい子にして待ってる」


俺はその場に軍団長を寝かした。


さっきからずっと寝てるような起きてるような、よく分からない反応をしている。困ったものだ。


「すぐ戻るから」


俺はそう言い残して森の方に落下していった。


森に着地。

地面にはたくさんの足跡が残っている。


「あのモンスターたちも移動しているな、追いかけないと」


足跡を追おうとしたら


「きゃぁああぁああっ!!誰かっ!」


悲鳴が聞こえた。


「そっちか」


俺は悲鳴の聞こえた方に弾丸のように走り出した。


俺が速すぎるせいか、一瞬にしてさっきの青色のモンスターの背中が見えてきた。


ドッ、ドッ!


「ブモォォォォォォォォォ!!!!」


っと走っているのは。

二本足で走り角が二本ある青いモンスター。


「これは、ミノタウロスってやつか?、殺すか」


俺は手刀を作るとモンスターの首を手刀ではね飛ばした。


ころっ。

断末魔をあげることすらできずに首から上が地面に落ちた。


その瞬間だった。


ゴォォォォォォォォォォォォォッ!


俺の手刀による風圧で風が巻き起こった。


草木が揺れるほどの風だった。


「きゃっ!」


その場に悲鳴の主はうずくまった。


女の子のようだった。

顔は、すごい美少女。


金色の髪の毛を背中くらいまで伸ばしていた。


それから、高そうな服に身を包んでいる。


ついでに言うと、結構巨乳だった。


(お偉いさんの娘なのかな?)


っと、そんなことはどうでもいい。

まずは無事かどうかを確認しないとな。


俺は近づいていった。


「大丈夫?」


顔を上げてくる女の子。


「はい。大丈夫です」


「良かった」


俺がそう声をかけた時だった。


「お嬢様?!」

「大丈夫ですか?!どこにいますか?!」


誰かを探しているのか、左右の茂みの奥から捜索の声が聞こえてきた。


この状況で探されている人物など一人しかいないと思う。


この女の子を探しているのだろう。


「はい、こちらです!」


目の前の女の子がそう答えていた。

それからこちらを見てきた。


「あの、お名前を教えてください」


「大地っていう名前だよ」


短く答えて俺は上を見た。


「またね。人をまたせてるから」


タッ。


「大地様。お待ちくださいお礼をしたいのです」

「ごめんね。ほんとに急いでるんだ、人を待たせてるし、行かなきゃいけないところもあるからさ」


それ以上会話するつもりはないし、上に向かって飛び上がる。


すると、一瞬でティムの場所まで戻った。


「お兄ちゃん、おかえり。あの子大丈夫だった?」

「うん、問題なかったよ。さぁ、行こっか。雨降っちゃうしね」


俺は軍団長を担ぎ直す。

それにしてもいつまで気絶してるつもりなんだろう。


ティムと手を繋いでまた城の方に歩いていくことにした。


雨雲は俺たち……というか城の方にかなり近付きつつあった。


早めに行かないとな、本当に降り出してしまう。


ティムの体を濡らすわけにはいかない。



そして、俺たちは歩き続けて、城の前までやってくる事ができたのだった。


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