一次面接

 桃太郎は、中途採用面接を受けていた。お伽商事のキャリアに限界を感じていたからだ。もちろん、お伽商事には秘密である。面接官が桃太郎に質問を行っていた。

「桃太郎さんは、大学はでてないんですか?」

「養父母への負担を考えて、大学進学はしませんでした」

「養父母ですか」

「ええ、川で流されている私を拾って育ててくれました。ちなみに、ちなみに私は初任給では洗濯機を買いました」

「親孝行ですね。特技とかはありますか?」

「特技は、人と話すことです。部下との時間は大事にしています」

「すばらしいです。自己PRに日本一とありますが、どこが日本一なんですか?」

「御社を希望する気持ちは誰にも負けません。その点は日本一と思ってます」

 面接は順調だった。しかし、最後のやり取りは微妙だった。

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