悪評令嬢なのに、美貌の公子が迫ってくる
柏 みなみ/ビーズログ文庫
プロローグ
「……公子様。私たち、やっぱり合わないと思うんです」
「そうですか? 俺はとっても合うと思いますけどね」
国立公園を一望できるカフェのテラス席の風はこんなにも気持ちいいのに、私の心には暴風雨が
ここは広大なソレイユ王国国立公園の一画に造られた、四年に一度開かれる大規模
そこに
そんな中、
ラウル=クレイトン公子。
そんな令嬢方の視線を
カフェの店内にいる人たちも、公園を散策する人たちも、
「でも、公子様は無理に私に合わそうとしていらっしゃるでしょう? そういうのは長く続きませんわ。私も
ツンと
「それに私はお金がかかりますわよ。ええと。ほら、最近人気の……その、……『マダム=シュンリー』のドレスも
「あぁ、『マダム=シュンロー』ですね。妹も好きだと言ってました。話が合いそうだ」
「……それから、何でしたっけ……。ミッツ……いえ、『ヒッツベリー』の宝石もシーズン
「『ヴィッツベリー』の宝石は母も妹もよく身につけています。
〝パレンティアお
そんな
ここで
「そもそも、
「そんなこと言わずに、お
「何度も申し上げましたが、他の
引きこもりの私の遊び相手なんて、異性どころか同性にもいないけどね。と自分で自分に
目の前にいるのは数々の令嬢と
微笑んだ公子様が
「列に並んで大人しく順番を待つほど、出来た人間ではないので。その彼らには順番を
整いすぎた顔は、微笑んでいても
待って。本当に困る。
「……公子様なら、遊び相手にはお困りではないでしょう?」
「遊んでいただきたい女性はパレンティア
この世のものとは思えない美しい顔に笑みを
「なんで私が!」と悲鳴を上げたいのはこちらの方。
なんとしてでも私は自分で流した悪評を
私が、自由で、満ち足りた引きこもり研究ライフを送るためにも!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます