第6話 さらわれたカーラを助けろ!

エリーナは仲間の女の子から、カーラが男子たちに連れ去られたと聞き、

愕然とした。友人を助けなければと決意し、男子たちを追跡し始める。


エリーナが必死で街中を駆け巡っていると、街外れの古びた倉庫街でカーラの姿を発見した。

カーラは倉庫の中に監禁され、ザリスの子分である男子3人に囲まれていた。


「離せ!カーラに傷をつけたら許さないわ!」エリーナは怒りに任せて男子たちに突進していった。


男子たちはエリーナの勢いに怯むも、すぐに反撃に出る。

男子の一人が拳を振り上げエリーナに襲いかかるが、エリーナはその腕を掴み、体を大きく捻じることで男子を地面に叩きつける。

「ぐぁっ!」

地面に叩きつけられた男子は、激痛に顔を歪めながら、うめき声を上げる。


さらに、もう一人の男子が背後から組み付いてくるが、エリーナは逆に後ろに大きな手のひらを回すだけで男子の首を締めあげた。

「う、やめ・・・」

手のひらの握力だけの締め上げでも一瞬で小鳥のように失神する男子。

下手すればりんごも潰せそうな握力だ。

エリーナの力の前には、同年代の子供では抵抗することもできない。


残る男子はカーラを人質に取り、彼女の首に腕を回して締め上げた。


「近寄るな!こいつの首を絞め上げるぞ!」


エリーナは一瞬躊躇するが、その隙にカーラが男子の顔に肘打ちを見舞った。

鋭い肘が男子の顎を捉え、男子は苦痛に顔を歪める。その隙に、カーラはさっと振りほどいて脱出した。


だが、そこにボスのザリスが姿を現した。


ザリス・ガンドルフ。11歳にして、すでに上級生ぐらいの体格を誇る。

身長162cm、体重60kg。鍛え抜かれた筋肉と、屈強な肉体を持つ。

ザリスは、サウスタウンきっての暴れん坊の兄の弟として知られ、その強さは同年代の中で随一。ジュニアの黒人男子グループの番長だ。

文明時代の取引場での遺伝子相場もエリーナと同格のランクであった。


「お前ら、なかなかやるじゃねえか。俺と勝負しろ。勝ったら強い男である俺が付き合ってやる。」


そう言ってザリスは不敵に笑う。エリーナは怒りを抑えきれない。


「あんたのような卑怯な男に興味はないわ!でも、カーラを傷つけた責任は取ってもらうわ!」


エリーナとザリスの対決が始まった。162cmの長身から繰り出される重くて速い攻撃の連打に、

エリーナは圧倒される。ザリスの右ストレートがエリーナの頬を捉える。

その衝撃で、エリーナの顔が大きく歪む。続く左フックが腹に深々と沈む。

エリーナは苦痛に歯を食いしばりながらも、必死で踏ん張る。


エリーナも負けじと反撃に出る。重い右ストレートを放つが、ザリスは身をかわし、その拳は空を切る。

続けて放たれた左フックも、ザリスの俊敏な動きに翻弄され、的を外してしまう。

対するザリスは、その隙を突いて、エリーナの腹にミドルキックをドスッと叩き込む。

その衝撃に68kgの重い体ですら宙に浮く。さらにザリスは、連続で膝蹴りを叩き込み、エリーナを地面に沈める。


「がっ!」


エリーナは少し吐血しながらも、なんとか立ち上がる。

だが、ザリスはその隙を見逃さない。

低く構えた姿勢から、一気に距離を詰めると、エリーナの顎を真上に向けて蹴り上げる。


「きゃっ!」


その衝撃に、エリーナの体がゆらぐ。追撃したいザリスだが、蹴り上げた足が痛み動きが止まる。


「痛ぇ?」


まるで銅像の顔を蹴り上げたような重さと痛みを感じた。

顔を蹴り上げただけでの痛みに疑問に思うが、気を取り直して攻撃を続けるザリス。


太もも、腹部、胸部、すべてがザリスの標的となった。

エリーナは反撃しようとするが、ザリスの動きはあまりにも速い。攻撃が当たらない。


「くっ...!」


エリーナは膝をつき、荒い呼吸を繰り返す。額には汗が滲み、

顔は苦痛に歪んでいる。対するザリスは涼しい顔で立ちすくむ。


「諦めろ。お前では俺には勝てない。俺の女になることを考えた方がいい。」


だが、エリーナは諦めない。ゆっくりと立ち上がると、再びファイティングポーズを取る。

足は震え、体は傷だらけだ。それでも、エリーナの瞳には決意の炎が宿っている。


「私は...負けない!」


エリーナは全身の力を振り絞り、ザリスに向かって突進する。

その勢いは、まるで自分の体を顧みない特攻のようだ。

ザリスは余裕の表情で構えるが、エリーナの拳は彼の頭をかすめ、砂の壁に激突する。拳は壁に食い込み、粉々に砕け散った。


「な、なんだ...!?」


ザリスは驚きを隠せない。もしもエリーナの拳が当たっていたら、一体どうなっていたことか。

砂と土の壁でも子供の打撃で粉砕される強度ではないからだ。

パワーは男子の自分と同格ぐらいかと思っていたザリスは驚いた。


再び、激しい打ち合いが始まった。エリーナは必死でザリスの攻撃をかわし、

反撃のチャンスを伺う。

一方、ザリスはエリーナの異常な破壊力を警戒しつつ、着実に攻撃を繰り出していく。


エリーナの拳がザリスの顔面をかすめ、ザリスのキックがエリーナの体を抉る。

蹴られた衝撃で、エリーナの体が軽く吹っ飛ぶ。だが、エリーナは床に手をつくと、勢いを殺して再びザリスに向かっていく。


「おりゃぁ!」


エリーナの右ストレートがザリスの顔面を狙う。しかし、ザリスはわずかに頭を動かし、

パンチをかわすと、右の蹴り足をエリーナの左腰に叩き込んだ。


「ぐぅっ!」


エリーナはわずかに吹き飛ばされ、倒れる。

だが、エリーナは立ち上がる。ザリスを睨みつけ、再び突進する。


「はぁぁぁぁ!」


壮絶な打ち合いが続く。エリーナの拳の一撃がザリスの顔面をかするも、

返す刀でザリスの膝蹴りがエリーナの腹部を抉る。

その衝撃に、エリーナは息を呑み、苦痛に顔を歪める。それでも、ザリスに向かって突進し続ける。


「まだだ...まだ終わらない!」


一方、カーラは肘うちを当てた黒人の男子と激しい打ち合いを繰り広げていた。

互いに一歩も引かず、壮絶な戦いが続く。

カーラのキックが男子の顎を捉え、男子のパンチがカーラの脇腹を抉る。


「くっ...!」


カーラは苦痛に耐えながら、男子に向かって突進する。怒りに燃える瞳で、男子を睨みつける。


戦いは長く続き、カーラもエリーナも、疲労の色が濃くなっていた。

体中には無数の傷が刻まれ、息は上がっている。だが、2人とも決して諦めない。友情を胸に、戦い続けるのだ。


「エリーナ...!」


「カーラ...!」


お互いに呼び合う2人。ボスのザリスとの戦いに苦戦するエリーナ。黒人男子との打ち合いに身を削るカーラ。2人の少女の戦いは、予断を許さない展開が続くのだった。果たして、エリーナとカーラは、この窮地を乗り越えることができるのか。

少女たちの命運は、彼女たち自身の手に委ねられていた。

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