第16話 初めての報酬
グリーン・バレーでは今もギルド職員たちによる調査が行われている――が、すでに俺たちも可能な限り辺りを調べて異常なしという結果となっていた。
ライソンにもそれを伝えると、自身を含めた数人を通常業務へ戻す判断を下す。
ここの調査も大事だが、他のふたつのダンジョンは通常営業中。なので、このまま職員の多くをこちらへ導入しているとギルドの業務に支障が出てしまうのだが、
「君たちが調べてそう結論を出したというなら信憑性は高いだろう」
俺たちからの情報経由でそう判断して大丈夫なのかどうか。他での経験はそこそこあるとはいえ、冒険者に関してはズブの素人と言っていいのだが……念のためライソンに確認を取ってみるも「問題ない!」と押し切られてしまう。
「しかし、デビュー戦で早速素晴らしい活躍をしてくれたな。すぐにギルドへ来てくれ。君たちには報酬をやらなくちゃな」
「報酬……」
すっかり忘れていた。
というか、本来の俺たちのクエストは
発行されたライセンスにもその旨が記載されているとのことだが……あとでしっかり見直しておこう。
何はともあれ、こうして俺たちは初めての報酬を手に入れたのだった。
ギルドへ帰還後、俺たちはライソンから報酬をもらう――が、その額は俺が想定していたよりも高かった。
「おいおい、これ額を間違えていないか?」
「いいんだよ。おまえたちには感謝してもしきれないくらいだ。未来ある若い冒険者たちも救ってくれたみたいだからな」
どうやら、俺たちが助けたカーターとその仲間たちがライソンにいろいろと説明をしたようだな。
「デレクから見ればまだまだケツの青い若造どもと思うだろうが、なかなか評判の良い骨のあるパーティーなんだ」
「そうだったのか」
つまり優秀な人材というわけか。
ギルドとしても、若い看板冒険者がいてくれたらいい宣伝にもなるし、こちらのダンジョンに挑もうとする者も増える。実際、彼らとかかわってみて、とても爽やかで好印象を受けたのは事実だし、これからも頑張ってもらいたいな。
さて、せっかくもらった報酬だが、当然俺ひとりで使うわけにはいかない。
「この報酬は三人で山分けにしよう」
「っ!? い、いいんですか!?」
「やった」
ミレインは驚いているが、メルファの方は素直に喜んでいる。
実に性格通りの反応だ。
遠慮しているミレインにもしっかりお金を渡し、これでクエストは完了。
最初はどうしようか迷いのある顔つきだったミレインも、
「初めての報酬……へへっ」
最終的にはお金の入った麻袋を大事そうに抱きしめていたのだった。
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