第14話 場違いな敵
初心者向けのダンジョンとして知られるグリーン・バレーに突如現れた場違いなほど強力なモンスター……
他の生物をアンデット化させて使役するというタチの悪い相手なので、まだ冒険者としては駆けだしの彼らには荷が重い。
今のところまだ実害が出ているわけではないようだが、早急に対応しなければ大惨事になってしまう。ライソンにも伝えなくちゃな。
「君たち、悪いがギルドへ戻って、この件をギルドマスターのライソンへ伝えてくれ。『デレクがそう言っていた』と話せばすぐに動いてくれるはずだ」
「は、はい!」
巻き込まれてもいけないので、若い冒険者たちには避難兼伝達として外に出てもらう。
だが、それをさせまいと
「あなたの相手は私たちがします」
相手は上位クラスのモンスターだが、彼女に怯んだ様子は見られない。
ミレインの場合、相手が強ければ強いほど燃える武人気質だからなぁ……この前戦ったドネスたちは弱すぎて消化不良だったのだろう。
しかし、今回の
思う存分暴れ回ってもらうとするか。
「ミレイン、遠慮は無用だ。派手にやってくれ」
「了解です!」
言い終えた直後、ミレインは恐るべき瞬発力であっという間に敵との距離を縮める。
驚いた。
以前よりさらに速くなっている。
俺と鍛錬だけじゃなく、自主的にいろいろと取り組んでいるようだし、その成果が着実に出ているな。
感心している間に、ミレインは
「成長したなぁ……」
さらに頼もしくなった弟子の姿に感動していると、こちらに忍び寄る不穏は気配が。
「あの子に勝てないからと、俺を襲いに来たか? 悪知恵の働くヤツだと言いたいが――それは悪手だったな」
俺は炎をまとわせた剣で近づいてくる蔓を焼き払うと、
「ミレイン! 離れろ!」
「はい!」
攻撃する前にミレインへ注意喚起。
その直後――
「むん!」
ダンジョンの地面に深く絡みついた根を焼き尽くすように、炎の剣を
さらに炎は
ただ、このままだと延焼の恐れがある。
「メルファ、手伝ってくれ」
「えっ?」
「水魔法も使えたよな。あいつを鎮火しないとダンジョン全体が焼け野原になっちまう」
「分かった」
ここからは待機させていたメルファと協力して火を消していく。
すでに
「とりあえず、駆除は完了だな」
「イエーイ!」
「いえーい」
ハイタッチで勝利を喜び合うミレインとメルファ。
しかし、メルファの方は相変わらず表情も声色も平坦でいまいち感情がつかみきれん。まあ喜んでいるのだとは思うけど。
ともかく、他にも似たような事態が起きていないか周囲を警戒しつつ、ダンジョン内にいる他の若手冒険者たちとも情報を共有し、念のため外へ出てもらおう。
その間、俺たちはギルドマスターであるライナンの到着を待つとするか。
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