あくまくんがてんしちゃんのわっかをとりあげました

水上透明

1プロローグ ぼくといっしょにいよ

 あくまくんがてんしちゃんのわっかをとりあげました。ひょい。

「どうしていじわるするの?」

「それはてんしちゃんがわるいこだからだよ。」

「どうしてわるいこなの?」

「それはてんしちゃんがやくそくをやぶったからだよ。」

「なんのやくそくをやぶったの?」

「それはぼくとなかよしでいるってことだよ。」

「わたしはなかよしでいるつもりなんだけどな。なにかいやなことしたかな?」

「ほかのこたちとたのしそうにあそんでるのをみたよ。いやだいやだ。ほかのことなかよくしちゃいやだ。ぼくとだけなかよくしていて。」

「みんながあそんでいるところをね、けがしませんようにって、わたしがかげでそっとみまもっていたら、そんなところにひとりでいないでいっしょにあそぼうよって、けがなんかしないよって、なかまにいれてくれたの。とってもいいこたち。あくまくんはどう?いじわるしたり、ひとりじめしたりすることはいいことかな?いいこかな?」

「あのね、ひとりじめがみんなのあいだでゆるされていることがあるよ。」

「そんなことってないよ、あくまくんはしってるの?」

「けっこんするってこと。」

あくまくんはてんしちゃんのほほにキスしました。

てんしちゃんはびっくりした顔をしてほほに手をあてて、つぶやきました。

「・・・こまったなぁ。」

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