第5話 よるは、ここですよ~……
「ひ、ひぐれ……どこぉ~? 出てきて~」
ひぐれがどこにもいない。
『僕から離れないで!』って言ってたのに、よるが手を離しちゃったから 怒ってるのかも。
ひぐれ、ごめんね。よるが言うこと聞いていれば……。ひぐれがしゃべってビックリしたんだよぅ。それに、ぴょーんって飛ぶなんて思わなかったんだもん!
夢だって最初っからわかってたらよかったのに。よるの
早くひぐれを探さないと。もしかしてひぐれを探すのがイベントの一つだったら大変。お父さんの遊んでたゲームがそんな感じだった。
お城に入るカギが見つからなくて、『もう寝ないと。明日もお仕事早いんでしょ?』って言うお母さんに『もうちょっと! もうちょっとで見つかるから!』って何回も言ってるうちに怒られて。
ぷぷぷ。
お父さん、可愛い。
さて、それは置いといて。
「よるは、ここですよ~……」
暗い森でひとりぼっちだと、夢でもヤダなあ……。
「ひぐれ~……にゃあにゃあ、にゃお~……」
スマホのライトでちょっとだけ見えた森の奥は、まっくらでブキミ。ゼッタイゼッタイ、何か出てきそう! ユーレイとか、おっきな動物さんがガオー、とか。
怖いよ。
ムリー。
あ!
カツオブシの袋出したら、ひぐれ気づいてくれたりして! 一つしか上げてないから、まだ残ってたよね!
あった!
いち、に……さん……むむ?
いっぱいある!
いちおう半分は取っておこっと。ここからお料理のイベントがあるかもしれないからね、うん。
あとは……カレールーはひと箱あるしみんなで少しずつニンジンとジャガイモ、玉ねぎを持ってくる約束だったから、頑張ればお肉なしのカレーが作れるね。
ピーラーもあるから、お母さんから教わったよる特製カレーを審査員のみんなに食べさせてあげましょう。むん!
と、いう訳で。
まずは、右手でカツオブシの袋をたかーく持ち上げて背のびして、ひぐれからよっく見えるようにフリフリしましょう。
「ひぐれ~、ごめんなさい。おわびに大好きなカツオブシをプレゼントしちゃいますので、こっちに来てえ~」
……しーん。
も、もう一回!
” 誰かあの子を助けてください! 『エルフの森』にいる銀色のオオカミの子どもです! 魔人のエリアでは、私の力が届かないのです! ”
え?!
また女の人の声!
さっきより近くから聞こえる!
やっぱり上の方から……神様?
それに。
森の奥にいるオオカミの子どもを助ける……。本当に、ゲームみたいになってきちゃった!
まさか。
ひぐれを探すっていうイベントと、オオカミの子どもを助けに行くイベントがいっしょになったってこと?
ど、どうしよう。
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