第22話 演舞台へようこそ
「はぁ~、なんだってー?」
「だから、劇場の中はすごいねって言ってんだよ、おっとぅ」
「はぁ~、なんだってー??」
「イチ、劇場の中は演奏で声が聞こえないから、耳の遠い父ちゃんには聞こえないよ!」
劇場の中は熱気と興奮で沸き立っている。
空中には無数のホタルがお尻から
その中央にいるのがかぐや姫だった。
かぐや姫は美しい黒髪をなびかせながら踊り、豪華な着物はキラキラと輝いていた。
かぐや姫の
そして心の底まで
―――こうして一時間に渡るかぐや姫の
「みんな〜。今日はありがとう! すごく楽しい
「ハッハッハ〜! かぐや姫、待たせたな! この
観客をかき分け
「
「何をいうかぐや姫!
突如現れた男の出現に、観客席の怒号が飛び交い収集がつかない。
この状況に危機感を感じた劇場の館長でもあるかぐや姫の父竹取の翁はすぐに
最初、
わずかな時間の間に観客席は落ち着きを見せていた。
「さー、ご覧あれ!」
その鉢は細かな細工が鉢全体に彫られ、表面は石とは思えない光沢があった。
「いかがかな。 これがお望みの品、仏の
その鉢を見たかぐや姫の表情は曇り、不安な表情へと変わっていった。
かぐや姫は誰にも聞こえない声でつぶやく。
「……そんな、ありえない……本当に見つかるなんて……」
鉢を受け取るかぐや姫の手は微かに震え、鉢をなかなかしっかりと受け取れなかった。
「どうだこの立派な鉢は、異国へ行きやっとの思いで手に入れた品だぞ! この鉢はかつて仏が使用し、その後異国の女王がその生涯を終えるまで使ったと謂れ《いわ》がある一級品だ!」
そこへ竹取の翁が
「
腕組みをし
「かまわん!」
竹取の翁は鉢をかぐや姫から受け取ると鉢をまじまじと見た。
―――かぐや姫はその美貌から多くの求婚の誘いを受けている。
その中でも高貴な立場の五人が熱心に求婚をしてきた。
男であるかぐや姫はその求婚を受け入れることは当然できない。
そこである品を五人それぞれに注文した。
その品を最初に持ってきた者の求婚を受け入れると。
その注文の品が、1人目の求婚者の
2人目の求婚者の
3人目の求婚者の
4人目の求婚者の
5人目の求婚者の
しかしかぐや姫が注文を出した品は、架空の一品。
すなわちこの世には存在しない品だった。
そして
「……
その言葉を聞いて歌舞伎化粧の顔は凄まじく歪んだ。
「なんだと、竹取の翁! もう一度言ってみろ! この鉢は異国の商人から千両箱を三つで買ったものだぞ! それが偽物な訳があるか!」
「……非常に申し訳ないのですが……その商人に騙されたのだと思われます……」
「……わ、
その時竹取の翁の手元にある鉢がまるで自我が
「……妬ましい……妬ましい……」
「え?なに?」
かぐや姫が戸惑いの声を上げると、そのかすれそうで怪しげな声は鉢の底から徐々に大きく聞こえだした。
「……妬ましい……妬ましい……
次の瞬間、青白く半透明な物質が鉢の底から湧き出してきた。
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