「人」という字

 会社の上司をやってきて早5年。

 俺の仕事は、新社員に仕事を教えることだ。

 新入社員は、俺と違い若々しい。

 まあどうでもいいけど。

 いや、悔しいとかそういうのじゃないからね?

 まあそれはともかく。

 今日は、部下へのお説教だ。

「このグラフを見てくれ。山田くんと田中くん」

「はい」

「このグラフが何だって言うんです?」

「山田くんと田中くんは同じ部署だよね?山田くんしか仕事をやっていない!これは一体どういうことなんだ!!!説明してくれ!」

「えーと・・・」

「たしかに、田中はやっていませんでしたね、仕事」

「なっ・・・なんでそれを言うんだよ!」

「だって、やっていないのは事実ですし」

「二人の言い分はわかった。二人共、『人』という字を知っているか?この字はな、支え合ってできている字なんだ。二人共、協力して仕事をしなさい」

「おかしいです!」

「なんだね、山田くん」

「『人』というじは、一つの棒がもう一つの棒に寄りかかっているように見えます!これではぜんぜんきょうりょくしてないではありませんか!」

「ほんとですね山田」

「てことで、どうすればいいんですか上司」

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