第3話 千里の道も一歩から

 授業を終え、真っ直ぐ家に帰った。ベッドに横たわると、今日の出来事が頭に浮かぶ。


 今日も今日とてぼっちにはつらい一日だった。


 グループワークをさせられて、結局誰も意見を出さずに、発表だけ押し付け合う。これじゃあ誰も何も成長しない。


 発表役は俺で散々だった。他の生徒や先生には馬鹿にされるし。まぁ、人の失敗を嘲笑う奴は、それと同時に自分自身を貶めているようなものだが。


 こんなことを考えても仕方がない。はっきり言って無駄だ。切り替えろ。


 まずは単語帳を開いて落ち着く。currency、通貨、はい覚えたと。それだけ覚えてから単語帳を閉じる。


 学校では休み時間ごとに単語を1つ計6つ覚えた。どうせボッチだから時間だけはある。この地道な一歩が俺を変えていくはずだ。


 単語帳を開くだけでも良い。持ち運ぶだけでも良い。1cmでも1mmでも、馬鹿にせず前に進むことが大切だ。


 さて、次は俺の環境を整えようか。自分を変えるには環境を変えるのが得策と聞いたことがある。


 環境といえば、スマホが思いつく。俺はスマホとの関係性を改めないといけない。なぜなら、スマホが俺の生活時間の9割以上を占めているからだ。寧ろ今はスマホが悪の権化のように感じている。


 スマホというよりもインターネットの方が原因だが。


 SNSとはほのぼのと関わるくらいの距離感が性に合っている。


 アカウントを削除っと。


 人と比較して勝手に傷つくのは、もうやめだ。


 低俗な劣等感などいらない。そんなものよりも、行動に移せる方が大切だ。


 社会を憂うのもやめだやめ。全く割に合わない。本気で変えたいならインフルエンサーや政治家になった方が何百倍も効率良い。


 口先だけの言葉を今の俺は求めていない。いや、もともと必要なかった。




 自分が少しずつ変わっていくのを感じる。それが良いか悪いかはまだ分からない。


 変化というのは精神を大なり小なり揺さぶらせる。生活習慣を整えることは精神の安寧に繋がるため、ひとまず今夜は早く風呂に入って寝ることにしよう。

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