第4話 召喚されちゃった


「おぉ! 成功じゃ!」


 美月麗羽は光の中を突き抜けたと思ったら豪華に飾られた部屋の中に立っていた。現状を正しく確認するために周囲をキョロキョロと確認する。


 目の前には王様らしい人物とその妃が王座に座っており、その横には大臣らしき人物が背筋をピンと伸ばして立っていた。


 美月麗羽の周囲には兵士らしき人物が列を作っている。これは世界の危機に対して異世界の勇者が召喚されるパターンに違いない。


「そなたが異世界の勇者か、まさかこんな年若い女子とは」


 勇者パターンは考えられる候補のひとつではあったが、美月麗羽にとって、できれば1番引きたくないカードのひとつだった。なぜなら勇者パターンだと魔王討伐がセットになる。

 つまり戦いが強制されるわけでこの世界の暮らしが命がけであることが確定してしまったのだ。


「勇者よどうかこの国を......いや! 世界を救って欲しい!」


(神様が言っていた困難とはこれを示唆していたのか、ココの世界で自由を手に入れるのは当分先になってしまいそうね。ここは割り切るしかないかな)


「私にそのような力があるのかは正直わかりませんが、できる限りの事は挑戦してみましょう」


「おぉ! よくぞ受け入れてくれた!」


「しかし、ひとつ条件があります」


「......うむ。条件とは......?」


「魔王討伐が終わった暁には、誰に縛られる事無く自由に生きたいのです」


「おぉ......そんな事か、もちろんじゃとも世界が平和になった暁には自由に余生を過ごすといい、わしもできる限りの協力をしよう」



 異世界転位は淀みなく進み、美月麗羽は勇者としての役割が与えられた。現時点でどれほどの力が備わっているのか確認するために兵士の訓練場へ案内される運びとなった。


 美月麗羽の周りに列になっていた兵士は一糸乱れぬ動きで体の向きを変え、先導すべく美月麗羽の前に並ぶ。


 美月麗羽の視線はある場所に釘付けになってしまったのは致し方のないことだろう。

 なぜなら兵士たちは重厚な鎧を身に纏っているのにも関わらず、お尻の部分だけはなぜかタイツの様な質感の履き物だけで剥き出しになっていたのである。


 それだけでもツッコミどころ満載なのだが、それだけでは終わらない。......やけにお尻のボリュームがあるのである。

 何を言っているのかわからないかもしれないが、引き締まった肉体に不釣り合いなほどお尻がプリっととして歩くたびに、バるんバるんと揺れるのだ。


 例えばこれが冒険者ギルドの美人受付嬢の巨乳であったなら、テンプレ展開と言えるのだが、兵士のお尻が揃いに揃ってEカップとか誰得? の状況なのである。


 美月麗羽はツッコミたい気持ちでいっぱいだった。


(っく......この兵士たちわざとお尻が揺れるように歩いてるだろ!! しかもなんでお尻だけこうも強調する服装なのよ!! ちょっと待ってカルチャーショックの初めがコレはないわぁ、異世界の感性にドン引き......)


 美月麗羽は強い意思を持って視線をお尻から外そうとするのだが、視界の端でお尻が揺れる度に視線が引き付けられ、今まで感じた事のないストレスを感じ始めていた。

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