第2話 教室
高校の入学式が終わり、今日から授業も始まる。俺と姫乃は幼馴染みだが家は多少離れており、学校までの道は途中からしか同じでは無い。だから、俺は一人で登校し、教室に入った。俺たちの高校は3クラス。姫乃はやっぱり同じクラスだ。俺と姫乃はなぜかいつも一緒のクラスになる。まさに腐れ縁と言うやつだろう。
クラスでは自己紹介が始まった。
「佐原圭です。藤中出身。趣味は読書です。よろしくお願いします」
俺は無難に自己紹介を終わり、まばらな拍手が鳴った。しばらくして姫乃の順番になった。立ち上がると、みんなが注目する。
「二宮姫乃です。藤中出身、好きな教科は国語、苦手な教科は数学。趣味は料理とピアノかな。よろしくお願いします」
割れんばかりの拍手だ。もう注目されてるな。美人で、気さくに誰とでも話すから中学の頃から人気者だった。ここでも同じだな。
休み時間になると早速、姫乃の周りには女子も男子も集まっていた。
「すごい人気だな、二宮さん」
隣の席のやつが俺に話しかけてくる。こいつは確か
「そうだな」
「お前、同じ中学なんだろ? 仲いいのか」
「うーん、まあ普通だな」
とりあえずお茶を濁す。俺は学校で姫乃と親しくするかどうか、迷っていた。どうせ姫乃は人気者になる。だとしたら、俺のようなやつが関わると迷惑かもしれないし、やっかみも来るだろう。最低限話すぐらいにして、休日や放課後に一緒の時間が取れればそれでいい。
と思っていたら、姫乃が俺の席に近づいてきた。みんなが注目している。
「ね、圭」
「なんだ?」
「消しゴム忘れた」
「またかよ」
姫乃の忘れ物はいつものことなので俺は余分にいろいろ持っている。
予備の消しゴムを姫乃に渡した。
「ありがと」
姫乃は自分の席に戻った。早速、周りの女子たちが姫乃に聞いているのが耳に入る。
「姫乃ちゃん、佐原君と仲いいの? 名前で呼んでたけど」
「うん……幼馴染みだよ」
「へぇー、そうなんだ」
気がついたら隣の席の永井巧が俺をじっと見ていた。
「なんだよ」
「詳しく聞かせてもらおうか」
「べ、別に何も無いぞ。ただの幼馴染みだ」
「名前で呼ばれてたのに?」
「幼馴染みなら普通だろ」
「怪しいな。隠そうとしてただろ」
「こうなるからな。あいつは目立つから」
と、そこに女子が1人来た。茶髪っぽいボブの明るい感じの子だ。
「私も詳しく聞きたいなあ」
「だよなあ」
永井と親しい感じだ。
「こっちこそ、お前たちの関係を聞きたいが?」
「俺と
「はあ?」
こいつら、付き合ってるのかよ。
「そうだよ。私は
うらやましいやつらだ。
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